西浦教授 “インドで見つかった変異ウイルス 急拡大を懸念”

インドで見つかった変異ウイルスについて、京都大学の西浦博教授は、海外での拡大の状況を分析した結果をもとに、日本国内でイギリスで見つかった変異ウイルスよりも、速いスピードで広がる可能性があるという見方を示しました。

西浦教授は、19日に開かれた厚生労働省の専門家会合にアメリカのウイルスの専門家がインドで見つかった変異ウイルスの海外での拡大を分析した資料を提出しました。

それによりますと、インドではことし3月から4月にかけてゲノム解析が行われたウイルスのうち、イギリスで見つかった変異ウイルスの占める割合が前の週の0.75倍のペースで減った一方で、インドで見つかった変異ウイルスのうち、「L452R」という変異はあるものの、「E484Q」の変異がないタイプのものが1.59倍のペースで増えています。

ゲノム解析が行われたウイルスは感染が確認されたうちのごく一部ですが、このタイプの変異ウイルスは、2月から3月にかけてはわずかだったのが、3月以降急増し、4月に入ると60%近くを占めていて、急速にこれまでのウイルスからの置き換わりが進んでいるとしています。

また欧米の6か国での分析では、インドで見つかった変異ウイルスの占める割合は、ほとんどで1%ほど、最も高いイギリスでも10%ほどで、大半を占めるイギリスで最初に見つかった変異ウイルスより少ないものの、急増する傾向となっています。

西浦教授によりますと、この変異ウイルスがこれまでのものと比べてどの程度広がりやすいのか、各国の専門家の間でも意見は分かれているということですが、イギリスで見つかった変異ウイルスと比べてさらに50%感染力が強いという試算もあり、詳しい分析と対策が必要だとしています。

西浦教授は「インドで見つかった変異ウイルスは、イギリスで見つかったものより感染性が高く世界中で置き換わる可能性が高い。イギリスのものが日本に侵入するのには2か月ほどかかったが、それによりも短いスパンで、突如として流行が始まり拡大すると考えられる」とコメントしています。