新型コロナ中和抗体 1年後も回復者の9割以上で持続 横浜市大

新型コロナウイルスへの感染を防ぐ「抗体」は体内でどこまで持続するのか。去年、感染して回復した人の9割以上は、感染を防ぐために必要な量の「中和抗体」が、1年たっても体内に残っていることが横浜市立大学などの研究グループの調査で分かりました。

「抗体」はウイルスに感染した人の体内にできるたんぱく質で、このうち「中和抗体」はウイルスの働きを抑え、感染を防ぐ力があるとされています。

横浜市立大学などの研究グループは、去年2月から5月までに新型コロナウイルスの「従来株」に感染し、その後回復した20代から70代の合わせて250人を対象に、「中和抗体」が体内にどこまで残っているのか調査しました。

その結果、従来株に対する「中和抗体」は、感染から1年たっても軽症や無症状だった人は96%、重症や中等症だった人は100%の人で感染を防ぐために必要な量が体内に残っていることが分かりました。
一方、変異株の感染を防ぐために必要な量の「中和抗体」は、重症や中等症だった人は90%以上で確認されましたが、軽症や無症状だった人は「イギリス株」で79%、「ブラジル株」は76%、「南アフリカ株」と「インド株」は69%と、割合が低下していました。

研究グループでは、再感染のリスクは、感染から1年たっても重症や中等症の人は低いままですが、軽症や無症状だった人は高まるとみています。

研究グループのメンバーで横浜市立大学医学部の山中竹春教授は「従来株については感染から1年たっても中和抗体を持つ人の割合があまり減らず、感染リスクは低いままだが、変異株については特に軽症や無症状だった人で割合が低下し注意が必要だ。抗体の持続性はワクチン接種のタイミングにも関わるのでさらに分析を進めていきたい」と話しています。

回復から1年たっても不安抱える人も

新型コロナウイルスに感染しその後回復した人の中には1年たった今も、再感染への不安を抱えながら生活している人もいます。

都内に住む66歳の男性は、去年4月に感染が確認され、一時はICU=集中治療室で人工心肺装置=ECMOを装着するなど命の危機に直面しました。

退院後、男性は新型コロナウイルスの解明に役立つならと今回の調査に協力し、感染から半年後と1年後に血液を提供しました。

そして今月、感染から1年後の中和抗体について調べた結果が自宅に届きました。

結果は陽性。感染を防ぐために必要な量の「中和抗体」が確認されました。

ただ、中和抗体の強さを示す数値は半年前は386でしたが、1年後の今回は210と低下していました。

男性は「中和抗体が残っていたのはよかったが、その強さが低下しているのは不安で、感染対策には十分気をつけていきたい。再感染しないよう一刻も早くワクチンを接種したい」と話しています。