ワクチン接種の郵送書類 視覚障害者向けで点字表記なし 福島

新型コロナウイルスワクチンの高齢者への優先接種が進む中、福島県会津若松市が視覚障害者向けに郵送した接種の予約に関する書類に点字の表記がなく、書類が届いたことに気付かなかったケースがあることがわかりました。

会津若松市の菊池正光さん(66)は27歳のときに病気で視力を完全に失い、現在は1人暮らしをしながら自宅でしんきゅう院を経営しています。

4月下旬、市から新型コロナワクチンの接種券や予約窓口の電話番号などを記載した書類が郵送で届きましたが、書類には点字が無く接種券が届いていたことに気が付かなかったということです。

およそ2週間後に自宅を訪れたヘルパーが見つけたことでようやく書類の存在に気付き、その後、ヘルパーの助けを借りて接種の予約をとることができたということです。

菊池さんは「ワクチン接種という重要な内容なのに誰かの目で見てもらわないと全くわからない状況だった。点字や音声を一緒につけてもらうか役所から直接連絡してもらうなどの対応が必要で、きめ細かな対応をしていただきたい」と話していました。

会津若松市「大変申し訳ない」

会津若松市によりますと、市内には65歳以上で1人暮らしの全盲の人は菊池さんを含めて10人いて、郵送した予約の案内の書類や接種券には点字の表記をつけていなかったということです。

会津若松市健康福祉部の藤森佐智子部長は19日の記者会見で「視覚障害のある方への対応が不十分であると認識しており大変申し訳なく思っている。今後広報のしかたについてどういった対応が望ましいのか検討していく」と話しました。

また福島県は、視覚障害のある人がワクチン接種に関する情報を正確に把握できるよう、点字や拡大文字での表記を検討するよう自治体に周知していたものの、徹底されていないケースが見られるとして配慮した対応をとるよう改めて通知する方針です。