東京都の緊急事態宣言 専門家「5月末の解除は厳しいのでは」

5月末までが期限となっている東京都の緊急事態宣言について、京都大学の西浦博教授は「今月末までに国が示す感染状況のステージ2相当に到達するのは到底難しいと考えている」と述べ、変異ウイルスの影響などもあわせて考えた場合、予定どおりの解除は厳しいのではないかという認識を示しました。

東京都の感染状況や繁華街の人の流れの分析などを続けている都の専門家は19日、記者団の取材に応じました。

この中で、数理モデルを使った感染症の分析が専門の京都大学の西浦教授は、今の都内の感染状況について「1日の感染の確認はちょっと減少している兆しが捉えられるが、その評価がとても難しく、ちょうど過渡期にある。本当に下がるのか、再度増加するのかは、もう少し見ないといけない」と述べました。

そして「減少のペースはものすごくゆっくりだが、緊急事態宣言でこのレベルだ。今の措置で本当にいいのかどうか考えるうえで極めて重要な時期ではないか」と述べました。

そのうえで「東京都では『まん延防止等重点措置』を早めに打つことができたので感染の急増は避けられているが、減少傾向に向かっているわけではない。より感染力が強いとされるインド株が、ほかの国や日本でもまん延すれば、これまでどおりの対策で感染を制御するのは厳しい」と述べました。

そのうえで「緊急事態宣言が出ているのに、実効再生産数が1未満になるかどうか明確にわからないのは初めてなのでドキドキしている」と述べました。
そして、今月末までが期限となっている東京都の緊急事態宣言について「東京の実効再生産数が1未満になるとしても、今月末までに国が示す感染状況のステージ2相当に到達するのは到底難しいと考えている」と述べ、変異ウイルスの影響などもあわせて考えた場合、予定どおりの解除は厳しいのではないかという認識を示しました。

別の専門家は…

開幕までおよそ2か月となった東京オリンピック・パラリンピックについて、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、「どういう感染状況であればできるのかを示すのは難しい。1日の感染確認が1000人、2000人になってくると、医療体制としてはとても難しい。対策をして開催自体はできたとしても、何かが起きたときのオペレーションは非常に大変だ」と述べました。