コロナ変異ウイルス“高齢者に流行拡大なら重症リスク高まる”

新型コロナウイルスの重症患者が全国で1200人を超えて過去最多の更新が続く中、治療に当たる病院では、今は若い世代で変異ウイルスの感染が広がっているものの、今後、流行が高齢者に広がっていけば、さらに重症リスクが高まると危機感を募らせています。

川越市にある埼玉医科大学総合医療センターでは、大型連休明けから新型コロナの患者が急増し、重症患者用の集中治療室は3つの部屋がすべて埋まり、中等症の患者の病棟で人工呼吸器を使用するなど、対応に迫られています。

変異ウイルスの患者も急増し、取材した17日、入院していた14人のうち、検査中の4人を除く10人が変異ウイルスに感染していて、これまでみられなかった基礎疾患のない40代の患者が重症化するケースも出ているということです。

感染症科の岡秀昭教授は「第3波とは患者の様相が大きく異なり、40代、50代など、社会で働いている人が多い。若年でも重症化する人がいて、当然、救命に向かって積極的な治療を希望する。よって、重症者の病棟が常にひっ迫する状況になっている」と話しています。

岡医師は、今後、流行が高齢者に広がっていけば、さらに重症リスクが高まると危機感を募らせています。

実際、この病院では、先月下旬、同居する50代の息子から変異ウイルスに感染した80代の女性の治療が続けられています。

女性は高熱などの自覚症状はなく、検査を行ってはじめて肺炎が悪化していることが分かり、人工呼吸器の装着も検討しなければならない状況に陥っていたということです。

岡医師は「今は20代から40代で感染が広がっているが、それが高齢者に広がっていくと、間違いなく重症化してしまう。すでに重症患者の病床は満床に近く、今後、集中治療の希望があってもそれに応えられないことが起きてしまい、そうすると死亡率が上がる可能性を避けられなくなる」と危機感を募らせています。