日銀黒田総裁 「経済持ち直しもワクチンは不確実性のリスク」

新型コロナウイルスの影響が長期化している日本経済の現状について、日銀の黒田総裁は講演で、感染症の影響は来年度ごろにはおおむね収束していくという想定を明らかにしたうえで「ワクチンの普及ペースなどには不確実性がある」と指摘し、今後の動向を注視する考えを示しました。

この中で日銀の黒田総裁は日本経済の現状について「4月以降も感染症が拡大するもとで、一部の地域では緊急事態宣言が出されるなど、対面型サービス部門を中心に経済の下押し圧力は続いている」と述べました。

その一方で、世界経済がアメリカや中国を中心に回復ペースを速めていることなどを挙げ「日本経済は感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」という認識を示しました。

先行きについては、ワクチン接種が進むことなどによって、来年度=2022年度ごろには感染症の影響がおおむね収束していくとの想定を明らかにしたうえで「ワクチンの普及ペースや効果には不確実性があり、経済活動への下押し圧力が強まるリスクがある」と指摘し、今後の動向を注視する考えを示しました。

さらに、黒田総裁は新型コロナの影響を受ける企業への資金繰り支援策について、必要があれば、ことし9月末までの期限を延長することも検討する方針を重ねて示しました。