名古屋市長 責任感じるも関与否定 愛知知事リコール署名偽造で

愛知県の大村知事のリコール・解職請求に向けた署名活動で、佐賀市内でアルバイトを使って署名を偽造したとして、活動を行った団体の事務局長の田中孝博容疑者(59)が地方自治法違反の疑いで逮捕されたことを受け、活動を支援した名古屋市の河村市長は、記者団に対し「私は精一杯、リコール運動を応援させてもらった。偽造に気付けなかったことは情けなく、その責任は感じている。署名してくれた人たちには申し訳ない」と述べました。

そして、署名の偽造へのみずからの関与を重ねて否定したうえで「田中事務局長の逮捕で全容が明らかになり、私が偽造に関与していないことがはっきりすると思う。田中事務局長にはなぜ、こんな犯罪行為に手を染めてしまったのか本当のことを話してほしい」と述べました。

また河村市長は、ことし2月に、署名活動に関わった知人を通して署名簿を確認し、筆跡が同じと見られる署名などが相当数あったとの報告を受けたあと、田中事務局長に「何か変なことをやっていないか」と聞いた際、田中事務局長が強い口調で否定していたことを明らかにしました。

さらに河村市長は、署名の偽造について、みずからが行っている独自調査の結果を今後、公表する考えを示しました。

大村知事「全容解明と厳正な処断を」

また愛知県の大村知事は、記者団に対し「大変驚いている。誰が何のためにやったのか、お金はどこから出たのかを一日も早く明らかにしてほしい。捜査当局には、こうした犯罪が2度と起きないよう、事件の全容解明と厳正な処断をお願いしたい」と述べました。

そのうえで、署名活動を支援した名古屋市の河村市長について「今回の活動は河村氏が言い出して始まったことだ。河村氏と高須氏が首謀者なので、人ごとのような言い逃れは通用しない。責任を取るべきだ」と述べました。

これに対し河村市長は午後、記者団の取材に応じ、「首謀者という言い方は犯罪を連想させる。リコール署名活動は国民の権利なので、それをやった人のことを首謀者と言ってはいけない」と反論しました。

愛知維新の会「維新とは関係ない個人の問題」

田中事務局長は、ことし2月まで、日本維新の会に所属し、衆議院愛知5区の支部長を務めていました。

日本維新の会の県総支部にあたる「愛知維新の会」の代表の杉本和巳衆議院議員は、NHKの取材に対し「田中氏は、ことし2月に離党しているし、愛知維新の会は、署名が始まる前の段階でリコール活動に組織として関わらないことを役員会で決めたので、維新とは関係のない個人の問題だ。ただ、今回の逮捕については、同じ組織にいた者として極めて無念だ。今後は警察の捜査や司法の判断を注視していきたい」と述べました。

署名活動団体の高須会長「関与していない」

署名活動を行った団体の会長を務める、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長は、田中事務局長が逮捕されたことについて「驚きはありません。やっと、そのときがきたと思った」と述べました。

そのうえで「法廷で(事実を)明らかにするのが正しい戦い方。包み隠さず、ちゃんと筋を通して、正確に話してくれればいい」と述べました。

また、自身の関与については「まったくありません」と、改めて否定しました。

官房長官「事件の動向を政府としても注視」

加藤官房長官は、午前の記者会見で「捜査機関の活動そのものになるので、具体的な内容についてのコメントは差し控えさせていただいているが、直接請求制度は、代表民主制を補完する重要な制度でもあり、本件の動向は政府としても注視している」と述べました。

そのうえで、愛知県選挙管理委員会が、不正の防止に向けて、制度の改善を検討するよう提案する文書を総務省に提出したことについて「今後、総務省において、提案書の内容を踏まえ、どのような対応を行うべきなのか検討がなされると承知している」と述べました。