建設アスベスト訴訟 原告に和解金支払う 基本合意書調印

追加建設現場でアスベストの健康被害を訴えた集団訴訟で、国の賠償責任を認める最高裁判所の判決を受けて、田村厚生労働大臣は、原告団らとの間で、原告に和解金を支払うことなどを盛り込んだ基本合意書に調印しました。

建設現場での建材のアスベストを吸い込んで、肺がんや中皮腫などの病気になったとして、元作業員らが健康被害を訴えた集団訴訟で、最高裁判所は、きのう、国と建材メーカーの賠償責任を認める判決を言い渡しました。

これを受けて、田村厚生労働大臣は、今夜、厚生労働省で、原告団の代表らと面会しました。

そして、国が原告に、症状などに応じて最大1300万円の和解金のほか、長期間にわたる訴訟の負担を考慮した解決金30億円を弁護団側に支払うこと、さらに、訴訟を起こしていない被害者への補償制度を設け、和解金と同じ額の給付金を支給することなどを盛り込んだ基本合意書に調印しました。

田村大臣は「長年にわたり大変な思いをされてきたことをしっかり受け止めなければならない。被害者や遺族に心からおわびを申し上げる」と改めて謝罪したうえで、今回の合意を誠実に実施するため、最大限、力を尽くす考えを強調しました。

これに対し、原告団の代表で、電気工事の元作業員の宮島和男さんは「私たちはこれからも建設労働者として働きます。本当にありがとうございました。息が切れてどうしようもないので、これで終わりにさせていただきます」と述べました。

また、弁護団長の小野寺利孝弁護士は「これまで13年間、国との間で厳しい戦いをしてきたが、きょうからは、全面的な解決へ向けて、ともに働く関係になったことを深い感動と喜びをもって受け止めている」と述べました。

弁護団「メーカーも補償の仕組み作りを」

原告の元作業員と弁護団は、国との和解の基本合意書に調印したあと、記者会見を開きました。

このなかで原告を代表して調印した電気工事の元作業員の宮島和男さん(91)は、「13年に及んだ裁判は非常に長く、多くの原告がこの間に亡くなった。もしもっと早く合意を交わしていれば亡くなった仲間が見届けられたと思い、なんともことばには言い表せない気持ちになりました」と述べました。

また、弁護団長の小野寺利孝弁護士は、「これまで国とは、裁判の中で敵対する関係だったが、今回の合意によってすべての被害者の救済に向けてともに協力していく関係となった。私たちの期待を裏切ることなく誠実に合意内容を進めてほしい」と述べました。

一方、弁護団は国だけでなく建材メーカー各社も参加した補償の基金をつくるよう求めていますが、難色を示すメーカーが多いとみられています。

小野寺弁護士は「メーカーの法的責任もこれまでの裁判で明らかになっているにもかかわらず、補償制度に応じていないのは、企業としての社会的責任を無視している。私たちは今後も裁判の場で追及するが国にもメーカーが加わった形での補償の仕組み作りに向け、取り組みを進めてほしい」と訴えました。