緊急事態宣言3週間 大阪の医師「病床ほぼ満床 依然厳しい」

大阪、兵庫、京都の関西3府県などに緊急事態宣言が出されてから3週間がたちましたが、新型コロナの患者を受け入れる大阪 泉佐野市の病院の医師は「重症患者の病床は満床に近く、厳しい状況が続いている」と危機感を示しました。

泉佐野市にあるりんくう総合医療センターは、新型コロナの重症患者用に15床、中等症の患者用に28床を確保し、多くの患者を受け入れています。

患者の治療にあたる医師で、府の専門家会議のメンバーでもある倭正也感染症センター長は「少し前の時期よりも重症患者の治療が1日、2日程度、早く始められるようになったり、病床が一時的に空く時間が少しずつ長くなってきたりしてはいる。自宅で療養中の人が重症化して直接病院に運び込まれるなど、医療の提供が後手に回ることは少なくなってきたが、患者そのものがどんどん減るような状況ではない。病床は満床に近く、厳しい状況が続いている」と危機感を示しました。

府内の医療体制については「中等症の病院で重症患者を診るケースも多く、現場に負荷がかかる状況が続いている。新型コロナ以外の一般の診療への影響も続いていて、自分の病院ではけさも病床が足りないために一般の救急患者が受け入れられず、ほかの病院に運んでもらったということがあった」と話しています。

また、今後の見通しについては「第一の目標は中等症の病院で診ている重症患者がゼロになることで、緊急事態宣言の期限である今月末までには達成できるかもしれない。ただ、重症患者が減っていくには時間がかかるため、先の見通しが立てられる状況ではない」と述べたうえで、現在300人を超えている重症患者の数が30人を下回るまで宣言を解除すべきではないという考えを示しました。

そのうえで「府民の皆さんに大きな負担をかけていることは承知しているが、まだ大阪の医療体制はひっ迫しているので、人流の抑制に引き続き協力をお願いしたい。特にマスクをしていても換気の悪いところにいると感染のリスクが高まるので、そうした場所は避けてほしい。そして、1人でも多くの人にワクチンを接種してほしい」と呼びかけていました。

一方、関西以外でも感染が急拡大する地域が出ていることについては「大阪の第4波への対応の失敗を参考にしていただきたい。病床を可能な範囲で広げて人の流れを抑制するなど、先手先手で対策をとって、大阪のように医療崩壊に近い状況にならないようにしていただきたいと強く思う」と訴えていました。