ワクチン大規模接種の予約始まる 東京と大阪で

政府が東京と大阪に設置する大規模会場での新型コロナウイルスのワクチン接種は、17日から予約の受け付けが始まりました。
大阪の会場は受け付け開始からおよそ25分で最初の1週間分の予約が埋まり、受け付けを終了しました。

政府が設置する大規模会場でのワクチンの接種は今月24日に始まる予定で、これを前に17日、予約の受け付けが始まりました。

予約には接種券に書かれた番号の情報が必要で、予約できるのは1回目の接種を受けていない人です。

また、予約は防衛省のホームページや通信アプリのLINEなどを通じて、インターネットでのみ受け付けています。

防衛省によりますと、大阪の会場については17日の時点で予約できる今月24日から30日までの1週間分、合わせて2万5000件が、午後1時ごろに受け付けを始めてからおよそ25分ですべて埋まり、受け付けを終了したということです。

一方、東京の会場の予約サイトの設定にミスがあり、本来、17日の時点で予約できないはずの来月12日から18日分の予約が、一時、可能な状態になっていたということです。

設定はすでに修正され、修正前に予約された722回分の接種については、有効にするということです。
アクセスの集中による不具合などの混乱を避けるため、受け付けの対象地域は段階的に拡大されることになっていて、
▽17日から1週間は東京23区と大阪市に住む高齢者、
▽今月24日からの1週間は東京都と大阪府、いずれも全域の高齢者、
▽今月31日からの1週間は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県と大阪、京都、兵庫の2府1県に住む高齢者が対象となっています。

一方、予約の受け付けが始まるのに先立って、東京の会場では17日午前、接種にあたる医師や看護師などの資格を持つ自衛隊員の部隊が発足し、発足式で自衛隊中央病院の福島功二 病院長は「ワクチン接種の促進に向けて任務を完遂したい」と述べました。

自衛隊は、医師や看護師などの資格をもつ隊員を東京の会場におよそ180人、大阪の会場におよそ100人派遣するほか、民間の看護師の協力も得ることで、東京と大阪を合わせて1日で最大1万5000人程度の接種が可能になるとしています。

一方、政府が行う大規模接種では自治体との2重の予約を防ぐ仕組みがなく、予約が重複した場合、ワクチンがむだになるおそれもあるとして、防衛省はいずれかの予約を速やかに取り消すよう呼びかけています。

東京会場 5万件の枠に約4万1000件予約

防衛省によりますと、政府が設置する大規模会場での新型コロナウイルスのワクチン接種について、東京の会場は17日の時点で予約できる今月24日から30日までの1週間分、合わせて5万件の予約枠に対し、午後8時の時点でおよそ4万1000件の予約があったということです。

中山防衛副大臣「準備は順調に進んでいる」

東京会場の大手町の合同庁舎で行われた発足式には中山防衛副大臣も出席しました。

中山副大臣は「自衛隊の歴史が始まって以来、初めてのオペレーションに臨むことになるが、これまで培ってきたノウハウと自衛隊の経験を結集し、オペレーションを完遂できるよう協力してほしい。国民の命と暮らしを守り抜く、わが国の最後のとりでとしてその力をいかんなく発揮し、何が何でもこの国難に打ちかっていこう」と呼びかけました。

中山副大臣は接種が行われる部屋などを回って準備状況を確認したあと記者団に「準備は順調に進んでいる。きょうから予約の受け付けが開始されるが、接種のスタートから任務の完遂に至るまで緊張感を持って力を合わせて頑張っていきたい」と述べました。

政府 モデルナのワクチン使用を検討

政府は東京と大阪に開設する大規模会場でモデルナのワクチンを使用することを検討していて、今月20日にも厚生労働省が開く専門家部会で承認の可否が議論されるのを待って最終的に判断することにしています。

予約を試みた高齢者は

政府が開設する大規模会場でのワクチン接種について、都内では多くの高齢者が予約を試みました。

このうち東京 新宿区の竹内洋一さん(78)は自治体のワクチン接種の予約をまだ済ませていなかったことから17日午前11時から、自宅のノートパソコンを使って防衛省のホームページから予約を試みました。

予約受け付けが開始した午前11時以降も「この画面を開いたままお待ちください」「サイトが大変混雑しています」という画面からおよそ30分間、切り替わりませんでした。

その後、予約フォームが表示されると竹内さんは区から届いた接種券に記載された番号などを入力し、予約を終えました。

竹内さんは「区の予約は取りづらいと聞いていたので予約をしていませんでした。自治体でまかなえない部分を国がこうして補完的にやってもらえるのは選択肢が増えていいかなと思います。意外とスムーズにできました」と話していました。

竹内さんは当初、区の予約と今回の予約の違いがよく分からなかったということで「案内が個別にあったわけではなくテレビのニュースなどで直前に知りました。情報も込み入っていて分かりづらかったです」と話していました。

大阪市の接種も予約の受け付け始まる

新型コロナのワクチン接種について大阪市は17日から85歳以上の高齢者を対象に予約の受け付けを始めました。

大阪市は自宅で暮らす高齢者を対象に今月24日から区民ホールなどで行う「集団接種」と診療所などで行う「個別接種」を始める計画で、17日から予約の受け付けを始めました。

大阪市では申し込みが集中するのを防ぐため予約できる年齢を1週間ごとに区切っていて、最初の1週間はいずれの接種方法でも85歳以上の高齢者およそ11万5000人に限定しています。

予約の方法は「集団接種」と「個別接種」で異なり、このうち「集団接種」は市のコールセンターとインターネットの専用サイトで受け付けます。

一方「個別接種」は直接、医療機関に電話などで申し込むことになっていて、医療機関は市のホームページで公開されています。

大阪市では今回の予約のために9万5000人分のワクチンを確保していて、このうち市内の30か所で行う「集団接種」に1万5000人分、1200の医療機関で行う「個別接種」に8万人分を割り当てる計画です。

市は、まずは「個別接種」を検討したうえで、かかりつけ医などがいない場合には「集団接種」を予約するようよびかけています。

区役所を訪れる人も

大阪市の平野区では区民センターで今月24日からの1週間、85歳以上の高齢者400人分の集団接種を行うことにしています。

17日午前9時から電話とインターネットで予約を受け付けましたが、30分ほどですべて埋まったということです。

平野区役所では問い合わせに訪れる区民を想定して、庁舎の中に窓口を設けて対応にあたりました。

窓口を訪れた85歳の女性は「予約しようと電話してみましたが、つながらなかったので区役所に来ました。ここでも予約はできないということで、どうしようか困っています」と話していました。

平野区役所の西岡隆地域保健担当課長は「市内のほかの区にある集団接種会場や自衛隊の大規模接種会場も利用できるので、そちらの予約も検討してほしい」と話していました。

愛知 県が行う大規模接種の予約受け付け始まる

愛知県が県内2か所で行う新型コロナウイルスワクチンの大規模接種の予約受け付けが、17日から、名古屋市と春日井市で始まりました。

このうち春日井市では、17日夕方の段階で割り当て分の予約が埋まりました。

愛知県は、豊山町の県営名古屋空港と、豊明市の藤田医科大学の2か所に、新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場を開設して、周辺自治体に住む高齢者を対象にした集団接種を今月24日から始める予定です。

これを前に、名古屋市と春日井市が、大規模接種の予約受け付けを17日から始めました。

このうち、春日井市役所に設けられたコールセンターには、市民からの予約の電話が午前中から次々とかかり、担当者が接種の希望日時などを聞き取って手続きを進めていました。

春日井市によりますと、春日井市の予約枠は、来月2日から11日までの接種分で、5000人分割り当てられたということですが、17日午後4時半に予約はすべて埋まったということです。

春日井市 新型コロナウイルスワクチン接種推進室の近田政典 室長は「7月末までに高齢者の接種を終える予定なので安心して予約をしてほしい。また、個別接種の受け付けも始まるので活用してほしい」と話していました。

愛知県によりますと、大規模接種の対象となっているほかの自治体では、小牧市が今月下旬、豊山町が来月上旬、刈谷市、大府市、豊明市、日進市、東郷町は、準備が整い次第、予約の受け付けが始まる予定だということです。

宇都宮市で高齢者対象の接種始まる

宇都宮市は17日から一般の高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種を始めました。

宇都宮市は、高齢者施設に入所していない一般の高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種を、市内およそ250の医療機関で行う計画です。

このうち、17日から接種が始まった宇都宮市桜の「さくらがおかクリニック」では午前中、事前に予約した25人が訪れ、医師の問診のあと次々に接種を受けました。

そして、接種後は15分ほど院内で待機し、副反応がないかなどを確認していました。

宇都宮市では今年度中に65歳になる、およそ12万6000人が今回の接種の対象で、このうちおよそ2000人が17日に1回目の接種を受ける予定だということです。

接種を受けた78歳の女性は「インターネット予約を自分でできなかったので隣の人にやってもらい予約できました。チクッとしましたが痛くはなく、接種できて安心しました」と話していました。

さくらがおかクリニックの依田祐輔院長は「想定していたよりワクチンに関する質問が少なく、皆さんきちんと調べたうえで接種を受けている印象です」と話していました。

宇都宮市は高齢者向けの接種をまずはかかりつけ医による個別接種で進め、6月下旬からは集団接種も行う計画だということです。

高齢者最多の横浜市でも

全国の市区町村で最も高齢者が多い横浜市で、17日から新型コロナウイルスのワクチンの集団接種が始まりました。

今年度中に65歳以上となる高齢者の数が97万人と全国の市区町村で最も多い横浜市では、施設に入所している高齢者への接種に続き17日から集団接種会場でのワクチン接種が始まりました。

17日は青葉区に設置された会場で80歳以上の220人ほどが接種を受けました。

82歳の男性は「予約は孫がとってくれました。2回接種するまでは安心できませんが、なんとなくほっとしました。みんなの接種が終わったら趣味の詩吟クラブの活動を再開するのが楽しみです」と話していました。

一方、横浜市は予約の受け付けも順次進めていて、17日から70歳以上のおよそ68万人を対象に、このうち8万7000人分について受け付けを始めました。

しかし、アクセスが集中して専用サイトでの受け付けは1時間半で終了したということです。

横浜市は7月末までに希望する高齢者の接種を終えるため今後、集団接種会場での受け付け時間を延長したり個別接種を行う医療機関を増やしたりするほか、市独自に大規模な接種会場を設ける方針を示しています。

横浜市の担当者は「一日も早く高齢者の方への接種を安全に終えることができるよう改善すべき点は改善しながら進めていきたい」と話しています。

加藤官房長官「予約重複や“予約代行”の話に注意」

加藤官房長官は午前の記者会見で「自衛隊の大規模接種センターは市区町村が実施するワクチン接種を強力に後押しすることを目的とし、国が確保したワクチンを可及的速やかに住民に接種してもらうためのものだ」と述べました。

そのうえで「すでに市区町村で1回目の接種を受けた人は予約を受け付けることはできないので注意してほしい。また重複の予約を排除できる仕組みにはなっていないので、センターでの接種を希望する人は市区町村で予約をしていないことを必ず確認してもらいたい。万が一、重複している人は速やかに利用しないほうの予約を取り消してほしい」と呼びかけました。
また「センターの予約は十分なサーバーの容量を確保するなど不便をおかけすることのないような対応になっていると承知している」と述べました。

一方、加藤官房長官は午後の記者会見で「今月に入ってから『ワクチン接種の予約の代行をします』と言って市役所の職員を名乗った人が自宅に訪ねてきたといった相談が増加している。複数の自治体が予約代行を行っているケースも確かにあるが自治体名を出して話があった場合は、まず自治体に確認していただきたい。詐欺被害にもつながりかねない相談事例もあるので、金銭の支払いや個人情報の提供の要求などがあった際には特に十分注意していただきたい」と呼びかけました。

自民 二階幹事長「一刻も早い収束へ力を尽くす」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「一刻も早い収束に向かうためにワクチン接種が最大の重要な課題なので、力を尽くしていきたい」と述べました。

一方、各種の世論調査で、政府の新型コロナウイルス対策を評価しない意見が多いことについて「今の状況では怒りや心配の持って行き場がなく、政府に向けて不満や不信の声が起こってくるのは予測されることだ。謙虚に受け止めながら、しっかりと対応していきたい」と述べました。

接種後の症状の相談先

接種後に症状が出て相談したい人のために、東京都や大阪府はコールセンターを設置しています。

連絡先は
▽東京都が03(6258)5802、
▽大阪府は0570(012)336で、
いずれも土日祝日を含め、24時間対応しています。