【得点詳細】体操NHK杯 橋本大輝・萱和磨 五輪代表に内定

東京オリンピックの代表選考を兼ねた体操のNHK杯は、16日、男子の競技が行われ、19歳の橋本大輝選手が初優勝を果たしました。
橋本選手と2位の萱和磨選手の2人は、東京オリンピックの代表に内定しました。

体操のNHK杯は東京オリンピックの代表選考を兼ねて長野市で行われ、16日は男子の競技が行われました。

大会は先月の全日本選手権の得点を持ち越して行われ、全日本選手権で優勝した橋本選手は2種目め、課題としていたあん馬で持ち味の足がまっすぐに伸びた美しい演技で14点台後半の得点をあげました。
その後、得意の跳馬で難度の高い「ロペス」を跳んで15点台の高得点を出しました。
続く平行棒では着地が乱れましたが、最後の鉄棒は大きなミスなく演技を終えて全日本選手権との合計、259.530の得点で初優勝を果たしました。

2位は去年の全日本選手権を制した萱選手で、橋本選手と萱選手が東京オリンピックの団体の代表メンバー4人のうちの2人に内定しました。

3位は谷川航選手で、全日本選手権で右ひじをけがした北園丈琉選手は9位でした。

団体の代表メンバーの残る2人と、種目別の代表は来月の全日本種目別選手権までの成績で決まります。

橋本大輝「自分がエースとなって引っ張っていきたい」

橋本選手は、東京オリンピックの代表に内定したことについて、「オリンピックはテレビで見ていた夢で、いま現実となったがまだ実感がわかない」と話しました。
優勝のポイントとして、去年の実戦からミスが続いていた2種目めのあん馬を挙げ、「落下しそうになる場面があったがそこで落ちずに堪えて最後までいけたのは大きな経験になった」と振り返りました。
また跳馬では、演技の途中に予定していた最高難度の大技「ヨネクラ」からひねりを減らした「ロペス」に変更したことを明かし、「ヨネクラがしっくりこず、急きょひねっているときに技を変えた。ずっと練習でやっていたので、不安は無かった」と話しました。
そして東京オリンピックに向けて「これから日本代表として戦っていくことは間違いなく大きな責任でもあるし、プレッシャーもあると思うが、東京オリンピックをやってよかったとか体操ニッポンが金メダルを取れてよかったと思えるような試合にしたい。自分がエースとなってチームを引っ張っていきたい」と意気込みました。

橋本選手は、千葉県出身の19歳。6歳のときに2人の兄の影響で体操をはじめました。手足の先まで伸びた美しい演技にダイナミックさを兼ね備え、あん馬や跳馬、鉄棒を得意としています。
おととし、高校生で世界選手権の代表に選ばれ、本番では、日本の団体銅メダル獲得に貢献しました。先月の全日本選手権では予選ではミスが続いて7位でのスタートとなりましたが、決勝ではゆかでG難度の大技、「リ・ジョンソン」など、冬の間に大幅に難しさを上げた演技を大きなミスなくこなし、逆転で初優勝を果たしました。

大会後は、しばらく疲れがとれず、コンディションを取り戻すことを最優先に調整を行いました。今大会では、去年の実戦からミスが続いている2種目めのあん馬を安定して終えることをポイントの1つにあげ、後半の3種目、跳馬と平行棒、鉄棒で一気に得点を重ねたいと意気込みを話していました。
さらに、「絶対に1位で代表に内定し、日本のエースとしてオリンピックの金メダル獲得に向けて貢献したい」と本番への思いも話していました。

萱和磨とは

2位に入った萱選手は全日本選手権の3位から逆転でオリンピック代表の内定を決めました。
萱選手は、今大会の演技について「やってきたことが結果につながった。点数を意識するより自分に勝てば代表に入ると思っていた。いろいろな重圧を乗り越え成長したと思う」と話していました。
そのうえで、「2種目めのあん馬でいい演技を出して乗ることができた。最後の鉄棒は先月の全日本選手権でミスしたので、『二度とミスしない』という気持ちで練習したことをやりきった」と満足そうでした。
代表内定が決まった瞬間については、「泣かないと決めていたのに泣いてしまった。5年前のオリンピックで試合に出られず悔しかった思いがこみあげてきた」と振り返っていました。そして、東京オリンピックに向けて、「きょうは着地が動いてしまったが、オリンピックは少しのミスでメダルの色が変わるので、もっとやるべきことは多い。日本を引っ張る立場なので、目標を高く持って前を向いて頑張りたい」と話していました。

萱選手は、千葉県出身の24歳。ミスの少ない安定した演技で「あん馬」や「平行棒」などの種目を得意とし、大学1年生で出場した2015年の全日本選手権では個人総合で6位に入り、世界選手権の代表に初めて選ばれました。
世界選手権では、日本の団体優勝に貢献すると、種目別の「あん馬」では難度の高い技をミスなく決めて銅メダルを獲得しました。
リオデジャネイロオリンピックは補欠メンバーで、現地に帯同しましたが、出場はできませんでした。
その時の悔しさを胸に、オリンピック後も成長を続けて日本代表を担う中心的な存在となり、2018年と翌年の世界選手権では2年続けて団体の銅メダルを獲得、個人総合でも日本選手最上位の6位に入りました。
国内大会では去年12月の全日本選手権で初めての優勝を果たしていました。

水鳥男子強化本部長「残るべき選手が残っている」

日本体操協会の水鳥寿思男子強化本部長は、NHK杯を振り返り「選手によって大なり小なり課題はあったが代表争いには残るべき選手が残っている印象がある」と話しました。
初のオリンピック代表に内定した19歳の橋本選手については、「難度の高い演技構成をひと冬でつくってきたのは本当に驚異的だし、しっかりやりきれれば、団体の金メダルも、個人の金メダルを取れる可能性が高い。それゆえに荒削りな部分もあってミスもあるが、ここでしっかり挑戦できたのはオリンピックでの金メダルにつながると思う。日本のエースとしてオリンピックで活躍してくれそうな期待やわくわく感がある選手だ」と最大限の評価をしました。
同じく代表に内定した萱選手については「しっかりと勝ち切ったことは、日本のチームの中で安心感を与えてくれる存在になり得ると思ったし、必要な選手だ。オリンピックでも中心選手として安心して送り出せる選手だ」と話しました。
さらに、種目別の鉄棒で高得点をマークし、来月の全日本種目別選手権で個人枠での代表を狙う内村航平選手については、「現地に入ってからもすごく余裕があるとみていたので、心配はしていなかった。着地が止まらなくて残念だという思いすらあったので、かなり調子を上げてきているし、見ていても安心感がある。オリンピックであの演技を出せれば金メダルの可能性は非常に高いと思うのでこのまま積み上げていってほしい」と話していました。

【得点詳細】

1位 橋本大輝 合計259.530(持ち点:173.365/今大会:86.165)
▽ゆか 14.300
▽あん馬 14.733
▽つり輪 13.833
▽跳馬 15.133
▽平行棒 14.100
▽鉄棒 14.066

2位 萱和磨 合計259.394(持ち点:172.696/今大会:86.698)
▽ゆか 14.200
▽あん馬 14.866
▽つり輪 14.233
▽跳馬 14.300
▽平行棒 14.566
▽鉄棒 14.533

3位 谷川航 合計258.693(持ち点:172.728/今大会:85.965)
▽ゆか 14.166
▽あん馬 14.000
▽つり輪 14.200
▽跳馬 15.533
▽平行棒 14.833
▽鉄棒 13.233

4位 三輪哲平 合計258.160(持ち点:171.662/今大会:86.498)
▽ゆか 14.000
▽あん馬 14.233
▽つり輪 13.933
▽跳馬 14.833
▽平行棒 15.033
▽鉄棒 14.466

5位 武田一志 合計255.861(持ち点:170.097/今大会:85.764)
▽ゆか 14.333
▽あん馬 14.233
▽つり輪 14.666
▽跳馬 14.300
▽平行棒 14.166
▽鉄棒 14.066

6位 杉野正尭 合計255.260(持ち点:169.729/今大会:85.531)
▽ゆか14.166
▽あん馬15.033
▽つり輪13.033
▽跳馬14.500
▽平行棒14.133
▽鉄棒14.666

7位 前野風哉 合計254.996(持ち点:170.264/今大会:84.732)
▽ゆか 13.833
▽あん馬 14.200
▽つり輪 14.033
▽跳馬 14.166
▽平行棒 14.400
▽鉄棒 14.100

8位 松見一希 合計254.461(持ち点:169.229/今大会:84.732)
▽ゆか 14.833
▽あん馬 14.000
▽つり輪 13.800
▽跳馬 13.966
▽平行棒 14.533
▽鉄棒 14.100

9位 北園丈琉 合計254.362(持ち点:170.197/今大会:84.165)
▽ゆか 14.133
▽あん馬 14.433
▽つり輪 13.500
▽跳馬 14.233
▽平行棒 14.366
▽鉄棒 13.500

3位谷川「メンタル的な面が大事」

NHK杯で3位となり今大会での東京オリンピック代表の内定はならなかった谷川航選手は「最後の種目の鉄棒でミスが出てしまいすごく悔しい。あの場面で決められない弱さが課題で、技術的な面ではなくメンタル的な面が大事だと考えている」と振り返りました。
また、今大会の演技全体について「跳馬は着地が止まったので点が出たが、ほかの種目は何とかミスが出ないという演技だった。いい演技を試合で出すことに難しさがあり、東京オリンピックまでに出せるようにしたい」と話しました。
そのうえで「オリンピックまで時間がないので、どの種目を改善するというよりはコンディションを整えることなどが大事だと考えている」と話しました。

4位三輪「次につながる」

NHK杯4位の三輪哲平選手は、今大会の演技について、「目標としていた優勝にはたどりつかなかったが、緊張感を楽しんで、課題としていたノーミスの演技ができたことにはいい評価をつけていい。次につながる試合ができたと思う」と冷静に振り返りました。
そのうえで「『自分がオリンピックに行くんだ』ということを伝える演技を意識したが、それが橋本選手や萱選手に及ばず悔しい。体操をもう一回見つめなおして、練習をやっていく必要があるなと思う」と話していました。