東京パラリンピック 開幕まで100日 開催への懸念高まる中

東京パラリンピックの開幕まであと100日です。新型コロナウイルスの感染拡大で大会開催への懸念が高まる中、大会組織委員会などは医療体制への影響や安全確保の方策を丁寧に説明し、国民の理解を得られるかが問われています。

ことし8月24日に開幕する東京パラリンピックには、最大でおよそ180の国と地域から4400人の選手が参加する予定で、国内では80人以上の選手が代表に内定し、世界ではおよそ7割の出場枠が決まっています。

パラリンピックには障害や基礎疾患によって新型コロナで重症化するリスクが高い選手も出場することから、組織委員会はテスト大会などを通じて感染対策を確認しながら準備を進めています。

しかし感染拡大が続く中、医療関係者などから、オリンピックに続いて世界中から選手が集まることへの懸念や期間中の医療体制への影響が指摘されています。

NHKが今月行った世論調査では東京オリンピック・パラリンピックについてどのような形で開催すべきと思うか聞いたところ、「これまでと同様に行う」が2%、「観客の数を制限して行う」が19%、「無観客で行う」が23%、「中止する」が49%でした。

インターネット上などでは、選手にワクチンが提供されることやさまざまな業種に休業要請が出される中で競技を続けていることについて、選手が厳しい批判にさらされるケースも相次いでいます。

組織委員会やIPC=国際パラリンピック委員会などは、大会の安全性について明確な方策を示すとともに医療体制への影響などを丁寧に説明し、国民の理解を得られるかが問われています。

「反対する気持ち 理解できる」陸上 樋口政幸

陸上男子5000メートル車いすのクラスで3大会連続のパラリンピック出場が内定している樋口政幸選手(42)は「開催に反対する気持ちは理解できる。中止という判断が下ればそれに従うし、開催されたからには精いっぱい走る。選手としてはそれしかない」と心境を語りました。

東京大会に出場する選手にワクチンが提供されることについて「初めて聞いたときは、順番が違うのではないか、高齢者や疾患のある人が優先されるべきではないのかと正直思った。ただ、ワクチンを準備してくれたことは事実なので、私はワクチンを打って安心・安全の大会にするためにアピールしたい」と話しました。

「元の社会取り戻す努力の先に」競泳 木村敬一

競泳の代表に内定している全盲のエース木村敬一選手は「開催に反対する意見がたくさんあることはもちろん分かっているし、その中で無理をして開催するものではないということもわかっている。しかし東京大会を成功させる努力は、ウイルスを封じ込めてもとの社会を取り戻していく努力と同じだと思うし、その先に東京大会の開催があるということだと思っている」と心境を話しました。

そのうえで「選手としてはトレーニングの努力も、感染を広げない努力もどちらもしていかなくてはいけないと思っている。本当にいま自分がやらないといけないことを積み重ねていくだけだ」と話していました。

IPC会長「最優先事項は日本の人たちの安全」

IPCのパーソンズ会長は大会の開催について「大会参加者の高いワクチン接種率や移動の規制、出国前の監視や出国前や入国時の検査、その後のほぼ毎日の検査など、コロナを防ぐためのすべての対策は安全な大会を提供するには十分に強力なものだ」と8月の開催に自信を示しました。

大会開催によって国内の医療体制に影響を与える懸念があることについては「大会の最優先事項は日本の人たちを守ることなので、自分たちの計画に固執せず、別の方策も模索して日本の人たちのための医療システムは傷つけない」と述べました。

選手へのワクチン提供に批判が出ていることに対しては「パラリンピック選手はリスクが高い障害者もいるから、接種は優先されるべきだ。彼らが批判を受けるべきではない」と指摘しました。

そのうえで「安全な大会を参加者全員に対して提供できなければ開催はしないし、日本の人たちの安全は最優先事項だ。もっと日本の社会との意思疎通をうまく図って、東京大会への懸念や心配ごとをなくすよう努めていく」と述べました。