全日本私立幼稚園連合会 関連団体で不適正出入金も監査見逃す

「全日本私立幼稚園連合会」で、およそ4億円の資金が使途不明になっている問題。関連団体の公益財団法人でも、1億4000万円の資産の不適正な出入金が繰り返されていたにもかかわらず、2年度にわたって監査で見逃し、事実と異なる内容の報告書を内閣府に提出していたことが新たに分かりました。公益財団法人は、組織の立て直しを図る必要があるとして、みずから内閣府に公益認定の取り消しを申請したということです。

全国およそ7500の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」では、昨年度までの4年間で、およそ4億円の資金が使途不明になり、幼稚園連合会は、香川敬前会長と元事務局長を業務上横領などの疑いで刑事告訴しています。

元事務局長は、関連団体の公益財団法人「全日本私立幼稚園幼児教育研究機構」の口座も管理していましたが、この団体でも、定款で定められた理事会などの承認をえないまま、1億4000万円の資産の不適正な出入金が繰り返されていたことが新たに分かりました。

関係者によりますと1億4000万円は、平成30年度末=おととし3月末までの時点で現金で引き出され、およそ1年間にわたって基本財産が欠損した状態が続いていたということで、その後、現金による入金や出金を繰り返し、去年11月に行われた令和元年度決算の監査の直前に全額が戻されていたということです。

しかし、平成30年度と令和元年度の会計監査の際には、担当した監事の弁護士らが銀行口座の通帳や残高証明などを確認しないまま、不適正な出入金を見逃し「定款に違反する重大な事実は認められない」などとする事実と異なる内容の監査報告書や収支決算書などを内閣府に提出していたということです。

この団体は、内閣府の公益認定等委員会から事実関係の報告を求められていたということで、今月11日、適正な運営ができるよう、組織の立て直しを図る必要があるとして、みずから内閣府に公益認定の取り消しを申請しました。

関係者によりますと、出入金の記録を確認したところ、この団体と幼稚園連合会、それに関連団体の「全日本私立幼稚園PTA連合会」の3団体の間で、資金移動を繰り返していた形跡があるということです。

元事務局長「前会長の指示」前会長「関与していない」

幼児教育研究機構の内部調査に対し元事務局長は「すべて幼稚園連合会の香川前会長の指示でやったことだ」などと説明しているということです。

一方、香川前会長は、ことし3月のNHKの取材に対し「私は関与していない」と話しています。

不正発覚後に幼児教育研究機構の新しい理事長に就任した安家周一理事長は「ガバナンスが欠落した状態になっていたのは非常に遺憾で、公益認定の取り消しは断腸の思いだ。今回の問題を真摯(しんし)に受け止め、一からやり直す気持ちで一般財団法人として事業を継続していきたい」としています。

「公益財団法人」とは

「公益財団法人」は、学術や教育、スポーツなどの事業を行い、不特定多数の利益の増進を図ることを目的に設立された団体です。

公益財団法人になるには、法律で定められた公益性やガバナンスなどの厳格な基準を満たす必要があり、内閣府や都道府県が設ける有識者の委員会が認めれば、税制上の優遇措置を受けることができます。

公益財団法人は事業運営の透明性を確保するため、毎年度、内閣府などに財産目録や監査報告書などを提出する必要がありますが、基準を満たさず法律に違反する疑いがある場合、内閣府などは「勧告」「命令」を出して是正を求め、場合によっては、公益認定を取り消すことができます。

また公益認定の取り消しの申請があった場合は、認定が取り消されます。

「全日本私立幼稚園幼児教育研究機構」とは

「全日本私立幼稚園幼児教育研究機構」は、幼児教育に関する調査・研究や教育力の向上などを目的に、幼稚園連合会が1億円の基金を拠出し、平成18年2月に設立された公益財団法人です。

事業計画書などによりますと、主な事業として、文部科学大臣の認定を受けて各都道府県で教員の免許状更新のための講習を実施しているほか、全国の幼稚園や認定こども園の園長などを対象にした研修を実施しています。

また、平成22年度以降、文部科学省から毎年、さまざまなテーマで調査研究の委託を受けていて、昨年度は、障害のある幼児への望ましい指導の在り方などの調査研究のため、およそ800万円が支出されました。

団体の定款では、基本財産について「適正な維持や管理に努めなければならず、一部を処分しようとするときは、あらかじめ理事会と評議員会の承認を要する」と定められています。