【得点詳細】体操NHK杯女子 優勝の村上茉愛ら4人 東京五輪内定

東京オリンピックの代表選考を兼ねた体操のNHK杯は、15日、女子の競技が行われ、村上茉愛選手が3年ぶり3回目の優勝を果たしました。
NHK杯の結果、村上選手を含めて4人が東京オリンピックの代表に内定しました。

体操のNHK杯は、東京オリンピックの代表選考を兼ねて15日から長野市で始まりました。

大会は先月の全日本選手権の得点を持ち越して行われました。
全日本選手権で優勝した村上選手は、最初の種目、得意の跳馬で14.700の高得点を出しましたが、続く段違い平行棒で片手がバーをつかみ損ねるミスが出ました。
しかし3種目め、課題の平均台では大きなミスのない演技を見せ、最後のゆかでは、H難度の大技、「シリバス」を決めてただ1人、14点台をマークしました。
村上選手は全日本選手権との合計で168.030の得点で、3年ぶり3回目の優勝を果たしました。
2位は畠田瞳選手、3位は平岩優奈選手、4位は杉原愛子選手で、優勝した村上選手と合わせて4人が東京オリンピックの代表に内定しました。
3大会連続のオリンピック出場を目指した寺本明日香選手は5位でした。

日本体操協会の田中光女子強化本部長は、「代表選考の緊張感がある中でそれぞれの思いがあって、それをぶつけた試合だった。本当に上位の選手みんながいい戦いをしたと思っている」と、大会を総括しました。
そのうえで、東京オリンピックの代表に内定した4人について、「個性派ぞろいのメンバーで、チームカラーとしては明るいと思う。きょうは代表が決まって涙があふれていたが、実際には個性豊かですごく明るいメンバーがみんなで盛り上げてやっていけるんじゃないか。ゆかの表現力など芸術的な部分を磨いて、日本が美しい体操を見せられるように、世界にアピールできるように、この4人で戦っていきたい」と話しました。
また優勝した村上選手については「すこし失敗もあったが、4種目で56点から57点を取れるような実力があり、世界でもメダルを狙える位置にいる。オリンピックまでの残り期間でいいところを伸ばして最高峰を目指してもらいたい」と期待感を示しました。
そして、今大会せ4種目の得点が村上選手を上回った2位の畠田選手は、「全日本選手権の予選と決勝、それにNHK杯とこの3大会ノーミスだった。ものすごい安定感で安心して任せられる実力があるので、チームの柱になってくれる存在だと思う。団体でメダルを狙いにいく中でキーポイントになる選手だ」と評価していました。
一方、選手たちへの新型コロナウイルスのワクチンの接種について考えを聞かれ「まだ私たちも情報がなく、これから調整に入る状況だ。具体的なことはまだJOCからも説明がない。いつから打てるのか、本当に打てるのかは今は難しいところで、まだ固まっていないこともあるので話をするのは難しい」と話していました。

村上茉愛「まずは一安心」

村上茉愛選手は神奈川県出身の24歳。2位以下に大きな点差をつけて2大会連続のオリンピックの代表に内定しました。村上選手は、力強い足腰からバネを生かしたダイナミックな演技が持ち味で、ゆかと跳馬を得意としていて、ゆかでは2回宙返り2回ひねりのH難度の大技「シリバス」をこなします。
2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、日本女子の団体4位入賞に貢献し、2017年の世界選手権では、種目別のゆかで日本の女子選手として63年ぶりとなる金メダル。さらに2018年の世界選手権では個人総合で日本の女子選手で初めて銀メダルを獲得し、東京オリンピックでは、日本のエースとしての活躍が期待されています。
村上選手の課題は、平均台と段違い平行棒の得点が低いことで、4種目すべてで14点台の得点を獲得することを目標にこの冬は、平均台の強化に取り組んでいました。
先月の全日本選手権では、練習を積んできた平均台のしゃがんだ姿勢の3回ターンなどを決めて一定の手応えをつかんだものの、他の技でミスが出て得点が伸びず、NHK杯では、より完成度の高い演技を見せることを目標に大一番に臨んでいました。

今大会を制し東京オリンピックの代表に内定したことについて村上選手は「まずは代表に内定することを達成できて一安心した。きょうは緊張が一気に出てしまい、2種目めの段違い平行棒でミスが出たがそのことで自分の気持ちを取り戻すことができた。次の種目の平均台を大きなミスなく演技できたし、それがゆかにもつながり、いい流れができた」と振り返りました。
そして腰を痛めておととしの世界選手権で日本代表を外れたことを踏まえ、「もう一度、けがをしたら、気力も体力ももたないと考えながらやっていた。一つ一つの試合がすごく怖くなっていたが、ひたすら練習をして自信に繋がるようにしていた」と話しました。
また、開催を巡って賛否が分かれる東京オリンピックに向けて「やるべきことをやって待っておくことしかできない」と述べたうえで、オリンピックでの演技について「ミスがない完璧な演技をすることが大前提だ。特に平均台の点数はまだまだ実力が足りていないと思っているので、平均台を鍛えることで個人総合の力も上げていきたい。いい練習をすれば後輩である代表に内定した選手たちもついてきてくれると思うので、そういう選手になりたい」と話していました。

畠田瞳「母に喜んでもらえたと思う」

畠田瞳選手は、東京都出身の20歳です。父は、1992年のバルセロナオリンピックで男子団体銅メダル獲得に貢献した畠田好章さんで、母の友紀子さんも元体操選手の体操一家に生まれ小学校低学年から本格的に競技を始めました。
長い手足を生かした表現力豊かな演技が持ち味で、得意の段違い平行棒では、E難度のマロニーハーフを武器にしています。
3年前のNHK杯で村上茉愛選手と寺本明日香選手に次いで3位に入って初めて世界選手権の代表に選ばれ、翌年の世界選手権では、中心メンバーとして活躍しました。
ことしの全日本選手権では、4種目で安定した成績を残し、2年連続で村上選手に続く2位に入っていました。

今大会も得意の段違い平行棒で「マロニーハーフ」など難度の高い技を決めて、出場選手の中でただ1人、14点台をマーク。そのほかの種目もミスなくまとめて2位に入り、初めてとなるオリンピック代表の内定を勝ち取りました。

畠田選手は、「父の出場していたオリンピックに自分も出場してみたいと小さい頃から思っていたので、その夢が実現できたことはとても嬉しい」と話しました。
また、母親について新型コロナウイルスで思うような活動ができなかった1年間を踏まえ「自分の中で本当に辛い1年間を迎えていたのを母も見ていた。その中でも頑張ることができた姿を見てくれていたので、それが試合で発揮されたのを見て、母も喜んでくれたのではないかなと思う」と感謝のことばを述べました。
そして「家族の存在が一番大きかった。けがなく、頑張って練習して、オリンピックの舞台で輝く姿を見せてあげたい」と大舞台での活躍を誓いました。

平岩優奈「パワーアップした姿をオリンピックで」

平岩優奈選手は、東京都出身の22歳です。手足の先まで伸びた美しい体操を持ち味に2014年の世界選手権で初めて代表に入りました。
その後、けがなどで調子の上がらない時期が続きましたが、先月の全日本選手権では、持ち前の美しい体操で4種目で安定した演技を披露し、3位に入っていました。

今大会3位で東京オリンピックの代表に内定した平岩選手は、演技を振り返り「きのうの練習からあまり調子がよくなかったが、最初の跳馬で着地が止まりそこから楽しむことができた。一番大事にしている『きれいな体操』をしてEスコアで勝負できて、代表に選ばれてうれしい」と技の出来栄え点、Eスコアの評価が高かったことに納得の様子でした。

そして東京オリンピックに向けて「さらにEスコアを上げながら難しい技に挑戦し、以前よりパワーアップした姿をオリンピックで見せられるよう頑張りたい」と意気込んでいました。

杉原愛子「寺本選手の思いも」

杉原愛子選手は、大阪出身の21歳。小学4年生の時に本格的に競技を始め、持ち前の瞬発力とバランス感覚を武器に平均台やゆかを得意として、初めて出場した2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、女子団体の4位入賞に貢献しました。
平均台では、片足で2回ターンするE難度の技を世界で初めて成功させて「スギハラ」の名がついています。
ここ数年、腰の状態などに苦しめられていましたが、先月の全日本選手権の決勝では跳馬と平均台で全体2位の得点をマークするなど4種目で安定した演技を見せ4位に入っていました。

今大会で4位になり、代表チームの得点が最大となる選手として東京オリンピックの代表に内定した杉原選手は、「代表に自動的に内定する上位3位までに入ることができなかったのであとは神頼みだと思っていた。内定したときは安心したのと嬉しかったので涙が出た」と語りました。

杉原選手が代表の切符を獲得するまでには、内村航平選手や女子のエース、村上茉愛選手から受けたアドバイスがありました。
リオデジャネイロオリンピックの代表だった杉原選手は去年12月の全日本選手権では8位に終わりました。
大会後、14点台前半だった跳馬での得点を高めることに最も時間をかけて取り組みました。そのために選んだ技が「ユルチェンコ2回ひねり」でこの技を習得するのに、内村選手や村上選手からアドバイスをもらったと言います。

内村選手からはナショナルトレーニングセンターでひねりのきっかけやひねり方を、また村上選手からは、違う種目のゆかのひねりの技を例にあげてひねりの方法を具体的に教えてもらいました。
杉原選手は「村上選手からは結構教えていただいて、内村選手からもひねりで意識しているところをたくさん教えていただいた」と話しました。
また自身も海外の選手などの2回ひねりを研究して、自分に合ったスタイルを探り、先月の全日本選手権では跳馬で14点台後半の得点をあげ、代表内定に近づく要因となりました。
杉原選手は代表に内定したことについては「一安心」と笑顔をみせたものの、「まだスタートラインに立ったばっかりなのでここからまた気を引き締め今よりもっと強くなってメダルを獲得したい」と、すでに本番に向けて気持ちを切り替えていました。

寺本明日香「10年間 本当に楽しかった」

3大会連続のオリンピック出場を目指した寺本明日香選手は、NHK杯で5位に終わって代表に内定しなかったことについて「すごくすっきりしている。まわりの方々からたくさんの応援をいただき、“代表に入ってほしい”と言ってもらえていたが、正直、今のコンディションと今の体操では、ちょっと違うなと思っていた」と話しました。
さらに代表争いについて「勝負の世界だし、甘ったるいものではない。今の自分の体操で戦えるかと言われるとそうではない。NHK杯では寺本明日香の体操をファンや観客のみなさんに届けたいと思っていたので、本当に楽しかった」と笑みも浮かべて振り返りました。
また代表に内定した4選手について「半年前の私だったら悔しくて声をかけられなかったかもしれない。今はなぜかわからないが、応援したい気持ちがある。オリンピック本番に向けた合宿などで一緒に練習ができるかはわからないが、何らかの形で4人をサポートしていきたいし、補欠と言われればそれも受ける。それが最大限の仕事だと思う」と話していました。
そして、2回のオリンピック出場などを踏まえ「本当にこの10年間はよくここまでやったなと思う。10年間トップでいたから、いろいろな思いがあったし、いろいろなこともあった。ここまで日本を引っ張ってこられてよかった。幸せだったなと思うし、本当に楽しかった。最後に自分にできることは、絶対にみんなをサポートすること」とあふれる涙を止めることなく話していました。

NHK杯 得点詳細

1位 村上茉愛 合計168.030(持ち点112.564)
▽跳馬 14.700(3)
▽段違い平行棒 13.033(11)
▽平均台 13.533(4)
▽ゆか 14.200(1)

2位 畠田瞳 合計166.196(持ち点110.598)
▽跳馬 14.100(12)
▽段違い平行棒 14.466(1)
▽平均台 13.566(2)
▽ゆか 13.466(2)

3位 平岩優奈 合計163.230(持ち点108.631)
▽跳馬 14.300(7)
▽段違い平行棒 13.400(5)
▽平均台 13.433(5)
▽ゆか 13.466(2)

4位 杉原愛子 合計162.196(持ち点108.498)
▽跳馬 14.433(5)
▽段違い平行棒 13.166(9)
▽平均台 12.833(8)
▽ゆか 13.266(6)

5位 寺本明日香 合計160.761(持ち点107.162)
▽跳馬 14.733(2)
▽段違い平行棒 13.400(5)
▽平均台 13.633(1)
▽ゆか 11.833(20)

※( )…は種目別の順位