「まん延防止措置」感染者数が最も深刻な段階で適用 半数近く
「まん延防止等重点措置」は、新型コロナウイルスの感染状況が「ステージ3」の段階までに適用するとされていますが、適用となった都道府県のうち、感染者数が最も深刻な「ステージ4」相当の段階になってから適用されたケースが半数近くとなっています。専門家は、急拡大に至る前のできるだけ早いタイミングで強い対策を打つことが重要だと指摘しています。
「まん延防止等重点措置」は、緊急事態宣言を出すような状態に至る前に、感染の拡大のおそれがあり、医療の提供に支障が生じるおそれがあると認められるときに早期に感染の拡大を防ぐために適用することになっていて、感染状況が「ステージ3」の場合や、「ステージ2」でも局地的に急速に感染が広がっている場合に適用するのが目安とされています。
ステージ判断の指標は目安で、国や自治体が感染や医療の状況の指標などを総合的に判断すべきとされていますが、重点措置が適用されたか適用が決まった17都道府県のうち、北海道、宮城県、岐阜県、大阪府、沖縄県と、14日適用が決まった群馬県、石川県、熊本県の合わせて8道府県では10万人当たりの1週間の感染者数などが、最も深刻な「ステージ4」相当になったあとで適用されていました。
さらに、今回、重点措置が適用されないまま、緊急事態宣言が出されることが決まった岡山県、広島県も感染者数がすでに「ステージ4」相当となっていて、専門家は改めて、感染が急拡大に至る前のできるだけ早いタイミングで重点措置など強い対策を打つことが重要だと指摘しています。
厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「変異ウイルスによって拡大のスピードが上がり、従来なら抑えられていたタイミングで強い対策を打っても収まらなくなってきている。それを念頭に対策の判断をする必要がある」と話しています。
措置のタイミングで感染状況に差も
大阪府
まん延防止等重点措置が適用されたのは、その5日後の先月5日からで、その後、25日に緊急事態宣言が出されるまで増加が続き、今月2日には10万人当たりでは90.16人まで増えました。
1週間当たりの感染者数が前の週に比べて減少に向かい始めたのは今月4日以降で、重点措置の適用からおよそ1か月後、緊急事態宣言が出されてから9日後でした。
北海道
重点措置が適用された後も状況はさらに悪化し、13日は1日として過去最多となる712人の感染者が報告され、1週間当たりの感染者数は前の週の2.09倍、人口10万人当たりでも61.49人となっています。
首都圏
このうち、東京都は3月下旬以降、10万人当たりの感染者数が「ステージ3」相当の15人を超え、前の週の1.2倍程度に増加する状態が続く中、「ステージ4」に至る前の先月12日に重点措置が適用されました。
その後、先月14日には10万人当たりで「ステージ4」相当の25人となり、先月21日に前の週の1.34倍となりました。
25日に緊急事態宣言が出され、感染者数は今も1日に1000人前後と非常に高い水準が続いていますが、これまでのところ、大阪などで見られた前の週の2倍を超えるような急激な感染拡大には至っていません。
さらに、神奈川県、埼玉県、千葉県は「ステージ3」に当たる10万人当たり15人に至るか至らないかの段階の先月20日に重点措置が適用され、その後10日間から2週間で増加傾向が緩やかになり、これまでのところ、「ステージ4」の10万人当たり25人には至っていません。
専門家「早めの判断や対策の重要性増している」
そのうえで「重点措置を適用しても、その後で緊急事態宣言に至るところがあるなど効果がないと思う人もいるかもしれないが、早いタイミングで適用すれば、大きな拡大を防ぐ効果が期待できる。全国で感染力の強い変異ウイルスに置き換わり、従来なら間に合ったタイミングで対策を打っても、拡大を抑えられなくなってきているおそれがある。早めの判断、早めの対策の重要性が増していると認識すべきだ」と話しました。