都心の病院も満床に近い状態 若い世代や基礎疾患なくても悪化

新型コロナウイルスの第4波とされる感染の再拡大で、東京都心にある病院でも専用病床が満床に近い状態になっています。若い世代で基礎疾患がなくても重い肺炎を起こす患者も多くみられ、医師は危機感を募らせています。

東京 港区の東京都済生会中央病院では、およそ20床のコロナ専用病床で患者の受け入れを行っていて、先月下旬から今月にかけて、満床に近い状態になっているということです。

1日に、6人の入院の要請があった日もあり、その際は半数しか受け入れができなかったということです。

第3波では、患者の多くが高齢者でしたが、第4波とされる感染拡大では、若い世代や働き盛りの世代が入院する割合が増え、基礎疾患がなくても重い肺炎を起こすケースもみられるということです。

この病院では、変異ウイルスの検査は行っていないものの、医師は変異ウイルスの可能性もあるとみています。

また医師によりますと、これまでは治療を始めて10日ほど経過すると、退院の見通しが立つケースが多かったものの、最近は10日たってから再び発熱し、症状が悪化するケースも出てきているほか、原因は分からないものの、胃から出血するなどの合併症もみられ、コロナの治療だけでなく全身の状態の変化を注意深く診る必要があるということです。

東京都済生会中央病院の感染症専門医の吉藤歩医師は「第4波の特徴として、若い人、働き盛りの人で、基礎疾患がない人が肺炎の症状が重症化している。満床の状態が続いていて、入院の依頼も断らざるをえない状況になっている」と危機感を募らせています。

治療にあたる医師が感じる「第4波」は…

東京都済生会中央病院で、新型コロナ患者の治療にあたる感染症専門医の吉藤歩医師は、第4波とされる感染拡大は、第3波のときよりも若い世代や働き盛りの世代の入院患者が増えているとしています。

病床がひっ迫し始めた1週間前には、院内に2つあるコロナ病棟には19人が入院していて、20代が2人、30代が1人、40代が3人、50代が6人、60代が1人、70代が2人、80代が1人、90代が3人となっています。

若い世代や働き盛りの世代の入院患者が多くなっています。

症状が悪化するスピードも早く、働き盛りの世代でも人工呼吸器をつけるかどうか検討が必要なケースも出てきているということです。

また治療を始めて10日ほど経過すると、退院の見通しが立つケースが多かったものの、最近は10日たってから再び発熱し、症状が悪化するケースも出てきているほか、原因は分からないものの、筋肉の細胞が壊れてしまう症状や、胃から出血するなどの合併症もみられ、コロナの治療だけでなく全身の状態の変化を注意深く診る必要があるということです。

吉藤医師は「新型コロナだけではなく、こうした合併症などを総合的に治療していく必要があり、より高い専門性が必要になってきている。治療によっては、手間や人手などがこれまで以上に必要になるケースも出てきている」と指摘しています。

「医療がひっ迫状態にならないように 今が瀬戸際」

若い世代や働き盛りの世代のコロナ患者が増えている、東京都済生会中央病院では12日、私たちが院内で取材を行っていた時にも、新たに50代の患者を2人受け入れることになりました。

このうちの1人は、重い基礎疾患はありませんでしたが、検査してみると、血液中の酸素の状態が悪くなっていて、人工呼吸器をつけるかどうか検討が行われていました。

また入院中の40代の患者も、基礎疾患はありませんが、高い熱が続いていたため入院したところ、すでに重い肺炎を起こしていることが分かったということです。

当日のうちに酸素の吸引が必要な状態まで症状が悪化し、人工呼吸器をつけるかどうか検討が必要なケースだったということです。

一方、一時、症状が悪化しても、回復させることができたケースもあるといいます。

60代の患者は、けん怠感はあったものの、自宅での生活を続けることができていましたが、突然、意識を失って救急車で搬送されてきたということです。

すでに血液中の酸素の状態は悪くなっていたため、この病院ですぐに人工呼吸器が装着されました。

しかし、その後の治療で症状はよくなり、近くリハビリ施設に移ることができるところまで回復しているということです。

これまでの経験から、コロナの治療方法が定まってきたことで、重症患者でも回復するケースもあり、助けられる命を救うためにも医療をひっ迫させてはならないと訴えています。

東京都済生会中央病院の感染症専門医の吉藤歩医師は「これまで、自宅待機やホテル療養をしていた人が入院しないといけない状態になることが、医療ひっ迫の1つの原因になっている。1年前では命を助けることが難しかった患者も、治療が安定してきたことで助けられるようになっている。治療すれば、よくなる命を救うには、医療がひっ迫する状態にならないようにすることが必要で、今が瀬戸際だ」と話しています。