「エア・ドゥ」・「ソラシドエア」共同で持ち株会社設立で調整

新型コロナウイルスの影響で航空会社の経営が厳しさを増す中、北海道を拠点とする「エア・ドゥ」と、九州を拠点とする「ソラシドエア」が、共同で持ち株会社を設立する方向で調整を進めていることが分かりました。

関係者によりますと、いずれも地域の航空会社で、札幌市に本社を置く「エア・ドゥ」と、宮崎市に本社を置く「ソラシドエア」は、共同で持ち株会社を設立する方向で調整を進めています。

新たにつくる持ち株会社の傘下に両社が入り、2つのブランドは維持する案を軸に検討しているということです。

地域の航空会社は、人口減少や新型コロナウイルスの影響で経営が厳しさを増していて、去年4月から9月までの半年間の決算は、エア・ドゥは過去最大の赤字に、ソラシドエアも赤字に陥りました。

両社は、機体の整備や部品の調達、それに、事務部門を共通化するなどして収益力を高めるねらいがあるものとみられます。

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、航空業界で再編に向けた動きが明らかになるのは初めてです。

エア・ドゥとは

札幌市に本社を置く「エア・ドゥ」は、北海道経済の活性化のために安価な空の便を実現することを目指して新規参入した航空会社で、1998年に新千歳と羽田を結ぶ路線で運航を始めました。

しかし、厳しい経営が続き、4年後の2002年には民事再生法の適用を受けて全日空の支援を受けて再建を進めました。

その後は、北海道内の各地と羽田を結ぶ路線を就航するなど、経営基盤を拡大しました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、去年9月までの半年間の中間決算は、最終的な損益が過去最大の67億円余りの赤字となりました。

ソラシドエアとは

宮崎市に本社を置く「ソラシドエア」は、2002年にスカイネットアジア航空として宮崎と羽田を結ぶ路線で運航を始めました。

しかし、資金不足から経営難に陥り、2004年には当時の「産業再生機構」の支援を受けることになり、その後、全日空と共同運航を行うなどして再建に取り組みました。

2011年にブランド名を「ソラシドエア」に改め、現在は九州各地と羽田を結ぶ路線などを運航しています。

去年4月から9月までの中間決算は、54億円余りの最終赤字となりました。

新型コロナ長期化 厳しい状況続く航空各社

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、航空各社の経営は厳しい状況が続いています。

昨年度の大手2社の決算は、最終的な損益が、
▽ANAホールディングスは、過去最大の4046億円の赤字に、
▽日本航空は2866億円の赤字で、経営破綻後に株式を再上場した2012年以降、初めての赤字となりました。

両社は、大型機を中心に旅客機の数を減らしたり、社員を外部に出向させたりしてコストの削減を進めています。

しかし、感染の収束が見通せない中、大幅な減便や運休を余儀なくされていて、このうち日本航空は今年度の業績予想の開示を見合わせています。

両社は、感染が収束したあとも、主力のビジネス需要がコロナ前の水準に回復することは難しいとみて、観光での利用が多いLCC=格安航空会社の事業や、需要が伸びている貨物事業に力を入れるなど、戦略の転換を急いでいます。