神戸市 新型コロナ 20代女性と30代男性死亡 30代以下は初めて

神戸市は、新型コロナウイルスに感染した20代の女性と30代の男性が亡くなったと発表しました。神戸市で30代以下の患者の死亡が発表されるのは初めてで、市は変異ウイルスの拡大で若い世代の重症化リスクが高まっているとして注意を呼びかけています。

神戸市は、先月28日に新型コロナウイルスに感染していた30代の男性が、また、今月2日に20代の女性が亡くなったと発表しました。

いずれも糖尿病などの基礎疾患があったということです。

神戸市で30代以下の患者の死亡が発表されるのは初めてです。

市は、変異ウイルスの拡大で若い世代の重症化リスクが高まっているとして注意を呼びかけています。

感染確認から入院できたのは3日後

亡くなった1人は北区に住む30代の会社員の男性で、糖尿病などの持病がありました。

遺族などによりますと、男性は先月19日に新型コロナウイルスに感染したことが確認され、その後、会話ができないほどのせきや高熱が続いたということです。

同居する両親は保健所に対し入院や救急搬送の依頼を繰り返したということですが、入院できたのは22日で、そのときにはすでに肺炎を患っていて、28日に死亡しました。

男性の母親はNHKの取材に対し「息子との最後のやり取りは、亡くなる4日前のLINEでの『まだあかん』の5文字でした。自分も感染していたので、息子の死に目にも立ち会えず、なきがらを見ることもできず、ひとりで亡くなった息子を思うと、心の整理ができません。もう誰も息子のような目に遭わないでほしいです」と話しています。

看護師「握りしめても指の隙間から命がこぼれ出る」

亡くなった30代の男性の看護にあたった訪問看護師がNHKの取材に応じました。

訪問看護師の藤田愛さんは、神戸市からの委託で先月22日、男性の自宅を訪れました。

男性は呼吸が速く血中の酸素濃度が低下するなど重症で、母親から入院させてほしいと懇願されたといいます。

藤田さんは「お母さんが私に『病院の廊下の隅っこでもいいから、どうぞ息子を入院させてやってくれないか』と、両手を私に拝むみたいに合わせられた。本人は話はできないが『助けてくれ』というメッセージを感じた」と振り返りました。

救急搬送を要請し、何度か「病床がない」として断られていましたが、藤田さんが保健師と連絡を取り、その日中に入院先が見つかったため、一安心したといいます。

しかし数日後、容体を尋ねようと母親に電話し、男性が亡くなったことを知りました。

藤田さんは「自分のやってることに意味があるのだろうかと思うし、握りしめても握りしめても指の隙間から命がこぼれ出ていく、そんな経験だった。なぜ入院治療が受けられないのか、なぜ死ななければならなかったのかと聞かれても、何も返せない。同じことが繰り返されなければいいと思う」と話しました。