政治の男女格差を減らそう

政治の男女格差を減らそう
日本で女性の参政権はいつ実現し、政治分野での男女格差はどのくらいあるか知っていますか?
まずこちらの数字から。
世界の156か国中、日本は120位。
これは、2021年3月に世界経済フォーラムから発表された男女格差についての調査結果です。
日本は「政治参加」と「経済」の分野で評価が低く、120位になりました。
1位だったのはアイスランドです。現在、首相は女性です。世界各国の議員たちでつくるIPU=列国議会同盟によると、国会議員の女性比率は39.7%です。
一方、日本の女性比率はというと、衆議院が9.9%、参議院が23%なんですね。

そこで、入試問題です。

問題に挑戦!

問題
2018年5月、国会や地方議会の選挙で候補者数を男女均等にする努力をうながす、候補者男女均等法が成立しました。
婦人参政権(女性参政権)が認められた日本ではじめての国政選挙は何年に実施されましたか。次の(ア)~(エ)から一つ選び、記号で答えなさい。

(ア)1889年
(イ)1925年
(ウ)1946年
(エ)1951年

(浦和明の星女子中学校 2019年)
戦前?戦後?

正解を見ていきましょう。
女性の参政権を求める運動が本格化したのは、大正時代です。市川房枝や平塚らいてうを中心に進められました。
認められたのは、戦後、昭和20年のことです。翌、昭和21年4月に行われた衆議院選挙で、初めて女性が投票をします。
そして、女性初の国会議員が39人誕生しました。
ということで、正解は昭和21年、つまり「(ウ)1946年」です。

それから75年。
なぜ、日本では政治の分野で男女格差が開いたままなのでしょうか。

女性最年少の前市長に聞く

就任当時、女性最年少の市長として政治を経験した越直美さんに話を聞きました。
越さんは、平成24年、36歳6か月で大津市長に就任しました。
市長を2期8年務めたあと政治の世界を離れ、現在は、弁護士として民間の法律事務所で働いています。

市長時代、女性であるということを意識することはあったのでしょうか。
越さん
「市役所の中もそうですし、いろいろな会議に行ったときにも、ほとんど男性で、また、ほとんど年上なんです。私が女性だから話を聞いてもらえないのかどうかは分かりませんが、机をバンとたたかれたり、ドアをバンと閉めて出て行かれたりということはありました」
力を入れた政策のひとつが子育て支援です。
保育所の整備などを進め、待機児童を大幅に減らしました。
しかし、批判もあったといいます。
越さん
「私に対する批判としては、『人の意見を聞かない』というのがすごくあったんです。それは『トップダウンである』と。男性に対しては、トップダウンのリーダーシップというのがそれほど批判されず、『リーダーシップがある』と評価されるのに、女性が同じように物事を決めると『人の意見を聞かない』と言われます。一方で男性も、いろいろな人の意見を聞いて調整して決めると、『リーダーシップがない』男性だと言われることがありますよね」
「ジェンダーバイアス(性別による偏見)」は、女性だけに一方的にあるものではなくて、男性側にも必ずあるということですよね。

一方で、有権者からは“女性だから”という偏見は感じなかったといいます。
越さん
「女性だからダメということがもし市民の中にあったら、私は2回当選することはないので、市民は男女に関わりなく判断されていると思います」

なぜ女性政治家は少ない?

では、女性の政治家が少ない原因はどこにあるのでしょうか。
越さん
「何が悪いかというと、選挙に出る女性が少ないんです。選挙に出るというのは特に国政選挙だと、政党に選んでもらわないといけない。どうしても選ぶ側が男性であったりとか、男性が決めてきたルールで選挙に出る人を選んでいます」
そして、越さんがもうひとつ指摘したのは、政治家を目指す女性が少ないということです。
背景には、政治家に限らず、社会全体に女性のリーダーが少ないことがあるといいます。
越さんは市長時代、大津市の小中学校の児童会長や生徒会長の男女割合を調べたことがあります。
越さん
「小学校は女の子と男の子が半分半分でした。でも中学校になると、ある年、20%が女の子で、あとは全部男の子が生徒会長だったんです。生徒会自体は女の子が結構いるんですけど、生徒会長を見ると男の子が多いです」
「副」まではいる、サポート役まではいるのに、トップには女性が、なかなかいない。
まさに「ガラスの天井」です。
これは、社会の縮図と言えるかもしれません。
越さん
「女の子は、中学校だと目立ちたくないと言います。例えば、学校の校長先生にしても男性が多くて、なんだかリーダーというのは男性が多いと。その中で女の子がやると目立つ、ということに抵抗感があるのではないかと思います」
社会の中で男性に比べてリーダーの立場の女性が少ない、だからそういう選択肢が、あまり人生にないと思い始めてしまうのでしょうか。

政治にもっと多様な意見を

越さんは、平成30年に国政選挙などで男女の候補者の数ができるかぎり「均等になる」ことを目指す法律が成立したことについては、どう見ているのでしょうか。
越さん
「自主的に取り組むということなので、この法律ではほとんど効果がないと私は思っています。少なくとも政党に一定の女性候補者を擁立するように義務づけることが、効果を上げるために必要なことのひとつと考えられます」
今後は、政治も社会もより多様な意見が尊重される必要があると言います。
越さん
「女性だけではなくて、もっといろいろな人が入っていけるような、LGBTの人も若い人も障害者の方も入っていけるような仕組みにしないといけないと思います。多様性というのは、決して女性のためとか少数者のためだけでもなくて社会全体が成長していく、もっと言うならば、社会全体の生き残り戦略である、というふうに思っています」
もしかしたら、政治家や企業の管理職に、女性を増やすという目標について、「なぜ”女性”という理由だけで取り立てられるのか」と疑問に思う人もいるかもしれません。
その点について、越さんは「能力を判断する基準が男性側の視点になっていて、男性と同じように働けないことを能力がないと言われる場合もある」と指摘しています。
これまでの、フルタイムでずっと働ける人を前提にした評価基準も変わる必要がある、というわけです。

もちろん、変わりつつありますけれどももっと取り組みが必要ですよね。
越さんの指摘のように女性に限らず、さまざまな立場の人が活躍できる社会とは、結局、誰にとっても生きやすい社会になるということだと思います。
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