イスラエル首相 ガザ地区へ攻撃強化の方針表明 緊張高まる

イスラエルとパレスチナの衝突が続く中、パレスチナのガザ地区から発射されたロケット弾によって、イスラエル最大の商業都市テルアビブの近郊などで死傷者が出た事態を受けて、イスラエルのネタニヤフ首相はガザ地区への攻撃を強化する方針を示し、緊張が高まっています。

中東のエルサレムでは、イスラム教の断食月ラマダンが始まった4月中旬以降、イスラエルとパレスチナの衝突が続いていて、パレスチナのガザ地区ではイスラエル軍による空爆で、これまでに子どもを含む30人以上が死亡しています。

これに対して、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは11日夜も、イスラエル最大の商業都市テルアビブなどに向けて200発以上のロケット弾を発射したとしていて、イスラエル側によりますと、これまでにロケット弾が着弾したテルアビブ近郊などで、少なくとも3人が死亡、複数のけが人が出ました。

こうした事態を受けて、イスラエルのネタニヤフ首相は緊急の記者会見を開き「イスラエルは全力で攻撃を続ける。ハマスなどは非常に高い代償を払うことになる」と述べ、ガザ地区への攻撃を強化する方針を示しました。

ガザ地区からの映像では、日本時間の12日正午前、爆発音とともに複数の場所で黒い煙が立ち上がり、イスラエル軍による攻撃が行われているもようです。

現地メディアによりますと、イスラエル軍は今後、数日間にわたり地上部隊も投入して軍事作戦を展開する構えを見せており、緊張が高まっています。

国連安保理 緊急会合で対応協議へ

イスラエルとパレスチナの攻撃の応酬を受けて、国連の安全保障理事会は議長国の中国やノルウェー、それにチュニジアからの要請に基づいて、12日に緊急の会合を開いて対応を協議することを決めました。

安保理では10日に開いた会合で、イスラエルの治安当局に対して暴力を防ぐ措置を取るよう求めることなどを盛り込んだ声明案が中国などから各国に示されていて、12日の会合で安保理として一致した対応を示せるかが焦点となっています。

一方、国連のグテーレス事務総長は11日、イスラエルの治安当局に最大限の自制を求めるとともに、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスによるロケット弾の無差別発射を非難する声明を発表しました。

また、国連総会のボズキル議長も自身のツイッターに「各国の要請があれば国連総会で議論する準備ができている」と投稿し、事態の沈静化を求める声が相次いでいます。

米 バイデン政権 中東和平問題への対応迫られる

イスラエルとパレスチナの衝突が激しくなる中、アメリカのバイデン政権は、これまで積極的に関与する姿勢を見せてこなかった中東和平問題への対応を迫られています。

バイデン政権は外交政策の重点を、中国やイランの核問題、気候変動などに置いてきたからです。

発足から100日以上たっても、パレスチナ問題の特使を起用したり、駐イスラエル大使を指名したりしておらず、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長との首脳間の電話会談も行っていません。

過去にオバマ政権が政権発足の翌日に特使を起用したり、トランプ政権が「世紀のディール」と呼んでイスラエルに有利な形で問題に積極的に関わろうとした姿勢とは対照的です。

こうした背景には、イスラエルとパレスチナの対立が深まる一方で、イスラエルが一部のアラブ諸国と国交を正常化して、対立の構図が大きく変化したことや、イスラエルで2年間に4度の選挙が行われるなど、政権基盤が安定していないことなどがあると見られています。

今回、大規模な衝突に発展したことを受けて、11日にはブリンケン国務長官がイスラエルのアシュケナジー外相と電話会談して、双方に自制を求めたほか、安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官も、これまで双方の仲介にあたってきたエジプト政府の高官に電話するなど、緊張の緩和に向けた働きかけに乗り出しました。

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは「バイデン大統領は関与を避けたかった困難な問題に時間や労力、政治的資産を費やさなくてはならなくなるだろう」と指摘し、バイデン政権が距離をとろうとしてきた中東和平問題に関与せざるをえなくなるのではないかという見方を伝えています。

NYのイスラエル総領事館近くで抗議デモ

アメリカ ニューヨークにあるイスラエル総領事館の近くでは、パレスチナ人や支援者ら、およそ250人が集まって抗議デモを行い「パレスチナに自由を」などとシュプレヒコールを挙げました。

一方、道路を挟んで反対側ではイスラエルの国旗を持った人たちが集まり、互いを非難しあう光景が見られました。

また、それぞれの側にいた一部の人たちが小競り合いになり、警察官が制止するなど、現場は緊迫した雰囲気になりました。

抗議デモを呼びかけたナディーン・キスワニさんは「エルサレムからガザ地区までパレスチナの人々と連帯し、イスラエルはもうたくさんだと声を上げるために来ました」と話していました。

ロンドンでも抗議デモ

イスラエルがパレスチナのガザ地区への攻撃を強めていることを受けて、欧米では11日、攻撃をやめるよう求める抗議デモが相次いで行われました。

このうち、ロンドンの中心部では、大勢の人が「虐殺をやめろ」などと書かれたプラカードを掲げて、イスラエルに対してガザ地区への攻撃をやめるよう求めました。

一部の人たちは、近くに集まっていたイスラエルを支持する人たちに向けて爆竹のようなものを投げたり、イスラエルの国旗を奪ったりしたため、制止しようと間に入った警察との間でもみ合いになっていました。