緊急事態宣言延長で 再開?休業? 対応分かれる

東京都では、緊急事態宣言が延長される一方でイベントの開催に関する要請が緩和され、12日から劇場や演芸場での公演が再開されました。

一方、緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」の対象地域にある映画館は、運営会社や地域などによって対応が異なっています。

映画館は異なる対応に

緊急事態宣言の対象地域では、政府は床面積の合計が1000平方メートルを超える映画館について、人数の上限が5000人かつ、収容率を50%以内にすることと、午後9時までの営業時間短縮の2つを要請しています。

東京都と大阪府は独自に大規模な映画館に対して休業を要請しています。

また、「まん延防止等重点措置」の対象地域にある大規模な映画館について、政府は、自治体から営業時間の短縮や入場制限などの要請があった場合、協力するよう求めています。
これらを受けた、主な映画館の営業の状況は以下のとおりです。

今後変更される可能性があり、運営会社はホームページなどで最新の状況を確認するよう呼びかけています。

MOVIXなどを運営する松竹マルチプレックスシアターズは、東京と大阪の映画館で休業、千葉、神奈川、愛知、京都、兵庫の映画館と埼玉の一部の映画館は、時間を短縮して営業します。

このうち、兵庫の映画館では平日のみの営業としています。

109シネマズなどを運営する東急レクリエーションは、東京と大阪の映画館で休業、神奈川、愛知、兵庫の映画館と三重の一部の映画館は、時間を短縮して営業します。

このうち、兵庫の映画館では平日のみの営業としています。

ティ・ジョイは、東京と大阪の映画館で休業、千葉、神奈川、京都、福岡の映画館は時間を短縮して営業します。

イオンシネマは、東京と大阪の映画館で休業、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、愛知、京都、兵庫、福岡の映画館と三重の一部の映画館は、時間を短縮して営業します。

このうち、京都と兵庫の映画館は平日のみの営業としています。

TOHOシネマズは、東京と大阪の映画館で休業、埼玉、岐阜、愛知、京都、兵庫、福岡の映画館と千葉、神奈川の一部の映画館で時間を短縮して営業します。

このうち、兵庫の映画館は平日のみの営業としています。

ユナイテッド・シネマグループは東京と大阪の映画館で休業、北海道、千葉、愛知、福岡の映画館と埼玉の一部の映画館で時間を短縮して営業します。

シネマサンシャインは、東京にある映画館で休業、愛媛の一部の映画館では14日から時間を短縮して営業します。
一方、東京都が独自に出した休業要請に対して、全国の映画館や演芸場などが加盟している全興連=全国興行生活衛生同業組合連合会は、11日声明を出し、「痛恨の極みです」としたうえで、「今回の措置に合理的かつ公平なご説明をいただきたいと願うばかりです。それが、非常に重い私権の制限を我々に課す行政側の責務であるとも考えております」と訴えています。

博物館や美術館は地域ごとの対応に

緊急事態宣言が延長・追加された6都府県にある博物館や美術館などのうち、床面積の合計が1000平方メートルを超える施設について、政府は、人数の上限が5000人かつ、収容率を50%以内にすることと、午後8時までの営業時間の短縮を要請しています。

一方、対象地域の自治体は対応が分かれ、東京都と大阪府が休業を要請しているほか、兵庫県は午後7時まで、愛知、京都、福岡の3府県は午後8時までの営業時間短縮を要請しています。
東京都内では都の要請に従って、都立の東京都美術館や東京都現代美術館、江戸東京博物館などをはじめ多くの施設が31日までの休館を決定しています。

また、都内にある5つの国立の施設、国立科学博物館、東京国立近代美術館、国立新美術館、国立映画アーカイブ、東京国立博物館は、いったん再開を発表しましたが、文化庁が都からの要請を受け、休館の継続が決まりました。

劇場は再開も大阪府は無観客要請

緊急事態宣言が延長・追加された6都府県の劇場について、政府は、人数の上限が5000人かつ収容率を50%以内にすることと、午後9時までの営業時間短縮の2つを要請しています。

そのうえで、大阪府は公演を無観客で開催するよう独自に要請し、それ以外の東京、京都、兵庫、愛知、福岡の5都府県は、政府と同じ要請をしています。
これを受けて、東京都内にある歌舞伎座や新橋演舞場、新国立劇場、劇団四季の劇場などは、期間中の公演については観客数が定員の50%以上に達しているものは、新規チケットの販売を終了し、観客数が定員の50%に達していないものについては50%となるまで販売を継続するとしています。

松竹は、大阪松竹座と京都の南座で今月行われる予定だった公演やイベントを中止することにしたほか、劇団四季も大阪での公演については引き続き中止すると発表しています。

演芸場再開「人生には笑いも必要」

緊急事態宣言が延長された地域の劇場や演芸場での公演について、政府は原則、無観客での開催としていたのを見直し、人数の上限が5000人かつ収容率を50%以内にすることと、午後9時までの営業時間短縮を要請しています。

東京都も同じように要請を緩和したことから、都内の主な劇場や演芸場は、12日から要請の内容に沿って感染対策を取ったうえで公演を再開しました。
このうち「浅草演芸ホール」では、再開を心待ちにしていたファンが正午前から始まった昼の部に足を運び、久しぶりに聞く落語などを楽しんでいました。

訪れた70代の男性は「休業や自粛ばかりだとみんな困ってしまうと思うので、やっぱり人生には笑いも必要です」と話していました。

今回の緊急事態宣言で、都内にある4つの演芸場は「寄席は社会生活の維持に必要なもの」として、当初、無観客での開催を求める都の要請を受け入れず客を入れて営業を続けましたが、その後、方針を見直し、今月1日から休業していました。

浅草演芸ホールの席亭、松倉由幸さんは「寄席を再開することができて喜ばしい思いです。久しぶりの寄席ということで演者も含めて張り切っていますので、コロナでストレスや窮屈な思いを感じている方々に笑いを届けたいと思います」と話しています。