緊急事態宣言 6都府県に拡大 “まん延防止”は8道県に拡大

緊急事態宣言は、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に、12日から愛知県と福岡県が加わって、対象地域が6都府県に拡大されました。
「まん延防止等重点措置」も、今月9日から北海道、岐阜県、三重県が追加されて8道県に拡大しており、いずれも今月31日が期限となります。

官房長官「解除できるよう協力を」

加藤官房長官は、午前の記者会見で「大型連休中を中心に集中的に厳しい人流抑制策をとったが、引き続き感染レベルが高く病床がひっ迫していることから、大型連休を終えて通常の生活パターンに戻ることを踏まえて、人と人との接触を減らすことも含めた徹底した対策を講じることにした」と述べました。

そのうえで「延長ということで、大変厳しい内容の措置であり、国民の皆さんには、さらなるご負担をおかけするが、ぜひ現状をご理解いただきながら感染者数や入院者、重症者を減少させ、宣言が解除できるよう、ご協力をいただきたい。政府としても、各都道府県と連携をしながら全力で取り組んでいきたい。ワクチン接種の対応についても各市町村、都道府県とも連携して、1日も早く多くの方に接種していただけるよう努力をしていきたい」と述べました。

立民 蓮舫代表代行「対策が混乱に拍車」

立憲民主党の蓮舫代表代行は、記者会見で「宣言延長に伴う緩和措置にちぐはぐさが目立ち、本当に5月いっぱいで感染防止ができるのかや、人流が止まるのかなど国民の不安を呼んでいる。政府の感染対策はあまりに後手後手なうえにバラバラで混乱に拍車をかけており、改めて予算委員会の開催を求め、ただしたいことがたくさんある」と述べました。

福岡県 感染拡大懸念の声

福岡県は12日から緊急事態宣言の対象地域に追加されました。
福岡市の繁華街、天神にある西鉄福岡駅では、これまでと変わらず多くの通勤、通学客が見られ、感染拡大を懸念する声が聞かれました。

福岡市の60代男性は「急行や特急列車は混雑するので避けるようにしたり、電車内ではドアの近くなど、換気のよい場所に座ったりしている。休日もあまり出歩かないように心がけたい」と話していました。

また、感染を心配し、高齢の両親と離れて一時的に福岡市内に住む50代の男性は「1回目の宣言と比べたら人通りが多く、電車内の乗客も、日頃と変わらず、話している人もいた。基礎疾患があるため、なるべく在宅勤務にしたいが、仕事柄難しい。宣言期間中はすぐに帰宅したい」と話していました。

太宰府市の70代の女性は「不要不急の外出は避けているが、きょうは外せない用事のため福岡市内に出てきた。終電の繰り上げは高齢の私にはあまり関係がない。宣言が出ているわりには、人出が多く、緊張感が足りない気がする。早くコロナを終わらせたい」と話していました。

福岡県に緊急事態宣言が出されたことについて、感染症に詳しい県内の専門家は、宣言の効果を見極めるには1週間単位で感染者数の推移を見ていく必要があると指摘しています。

九州大学病院グローバル感染症センターの下野信行センター長は、NHKの取材に対し「福岡県内でも患者数が大幅に増えていて、1週間後には重症化する人がかなり増えてくると心配している。宣言の効果については、最低でも2週間から3週間は注意して見ていく必要がある。少し下がったといって、気を緩めることがないようお願いしたい」と述べ、宣言中の感染者数の推移を1週間単位で注視していく必要があるという考えを示しました。

また、県内の変異ウイルスについて「県内のスクリーニング検査でも変異ウイルスが8割以上となっている。唾液や咽頭を検査しウイルス量をはかると、今までよりかなり多いと言われている。最近の患者の急増を考えると、感染しやすいということを非常に感じている」と指摘しています。

そのうえで下野センター長は、感染者の増加に伴う医療提供体制への影響について「実際のところ、多くの病院がほかの病気で救急医療で見てもらいたいと患者が来ても、なかなか手が回らない。医療体制が危機的状況にある大阪のように、福岡がならないよう一致協力してやっていく必要があると思う」と述べ、強い危機感を示しました。

福岡の企業ではテレワーク強化の動きも

緊急事態宣言を受けて、福岡市の企業ではテレワークを強化する動きが再び見られます。一方で、部署によっては在宅勤務が難しいという声もあがっています。

福岡市で人工知能やVR=バーチャルリアリティーの開発を行うIT企業では、およそ50人の社員のうち半数ほどの社員に在宅勤務を要請していましたが、緊急事態宣言が出された12日から、さらに2割ほど増やしておよそ35人が在宅勤務に取り組み、テレワークの強化を図っています。

通常は、社員どうしがデスクで隣あわせに座りますが、12日は使われていないデスクがところどころに見られました。

システム開発部で広報を担当する田中利奈さんは、在宅勤務の社員とオンラインで打ち合わせを行い、ウェブの制作について話し合っていました。

田中さんは「1、2回目の緊急事態宣言ではほぼ強制的に9割の社員を在宅勤務にしていたが、今回は在宅勤務が難しいという社員の意見を受けて7割程度の実施となり、限界も感じている。在宅勤務は業務に支障はないが昼休みの雑談からアイデアが生まれる機会がなくなることも課題だ」と話していました。

一方で、仮想による試着の機器を開発する社員からは、等身大の画面に全身を映して動きを確認する必要があるため自宅に十分なスペースを確保することが難しいという声が上がったということです。

愛知県「早くワクチン接種が進んでほしい」

愛知県が12日から緊急事態宣言の対象地域に加わったことについて、名古屋市中心部で聞きました。

名古屋市の20代のシステムエンジニアの男性は「電車が混雑していて驚きました。去年の宣言の時は、各社で在宅ワークをしていたと思いますが、何度も宣言が出る中で、今は出社を求める会社も多く、人々の意識も変わっていると感じています。自分もできるだけ在宅で仕事をするようにして、消毒や手洗いなどの対策も続けたいと思います」と話していました。

名古屋市の主婦は「もう何度目かなという感じですね。ワクチンをみんなが打たないと感染は収まらないと思います。自分は高齢者なので、来月ワクチンの予約ができましたが、若い人も含めて早くワクチン接種が進んでほしいと思います」と話していました。

また、飲食店勤務の愛知県春日井市の20代の女性は「緊急事態宣言を出したり解除したりをくり返していますが、飲食店は売り上げが減って本当に大変です。きょうからは、またお客さんが来なくなると思いますが、宣言を出すだけではなくて、影響が出る側の立場になって考えてほしいと思います。お酒が夜8時までとか全面禁止とか、ルールもコロコロ変わるので、現場は振り回されていると感じます」と話しました。

工事会社に勤務する名古屋市の40代の男性は「宣言を出すのがそもそも遅すぎたと思うし、一部の地域だけでなく、日本全国に出すとか、せめて愛知の周辺地域にも一緒に出して、しっかり抑えないと意味がないと思います。自分は単身赴任中で、全く飲みにも行かなくなったし、東京の家族に会う頻度も減っているので、早く収束するといいなと思います」と話していました。

名古屋のホテルではバーを休業に

愛知県は緊急事態宣言の期間中、飲食店に対して酒の提供を取りやめることなどを要請しています。

名古屋市のホテルではバーを休業したり、レストランでノンアルコールのカクテルを提供したりする対応に追われています。

愛知県は、12日から今月31日までの緊急事態宣言の期間中、県内の飲食店に対し酒の提供は取りやめたうえで、営業時間を午後8時までとするよう要請しています。

こうした中、名古屋市中村区の「名古屋マリオットアソシアホテル」では、12日から酒の提供がメインとなるバーを休業しています。

一方、ホテル内のレストランなどは酒を提供せず、営業を続けることにしています。

このうち52階にあるレストランでは、愛知県が緊急事態宣言の対象地域に加わることが決まったあと、予約客に電話で「酒が提供できない」と伝えると、キャンセルや予約の変更が相次ぎ、対応に追われたということです。

店では、席の数を7割程度に絞るなどの感染対策を徹底したうえで営業を続けるため、今回の緊急事態宣言に向けて、ノンアルコールのカクテルを新たに開発して、アルコールが入っていない飲み物のメニューを増やしたということです。

ホテルの松任徹治総支配人は「キャンセルや日程変更の影響があるが、お客様に安心して過ごしてもらえる環境づくりを続けていきたい」と話していました

“まん延防止”解除 仙台では

「まん延防止等重点措置」の解除を受けて、仙台市は適用期間中、利用を停止していた図書館など、仙台市内の公共施設の利用を12日から再開しました。

仙台市は「まん延防止等重点措置」の適用で、図書館や市民センターや資料館など、およそ70の公共施設の利用を1か月余り停止しました。

この措置が11日で解除されたことを受けて、市は12日から利用を再開し、青葉区にある市民図書館には、朝9時半の開館とともに市民が訪れ、好きな本を探したり、あらかじめ予約していた本を受け取ったりしていました。

市民図書館は、利用者に対しマスクの着用や手指の消毒を徹底し、滞在時間はできるだけ短くするよう呼びかけるとともに、映画などを視聴できるコーナーは当面、利用の停止を続けることにしています。

2歳の子どもを連れて訪れた母親は「以前は2週間に1度は来ていたので、休館の期間が長く感じました。子どもが好きな乗り物の本をたくさん借りられるので助かります」と話していました。

仙台市民図書館の樋口千恵館長は「市民に利用してもらってこその図書館なので、皆さんを迎えられてうれしく思います。引き続き感染防止に気をつけ、安全に利用してもらえるようにしたいと思います」と話していました。