愛知県 西尾市副市長が企業経営者らにワクチン優先接種で便宜

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐって愛知県西尾市が副市長の指示で、市内に住む企業経営者とその妻の予約を優先的に受け付けていたことがわかり、11日会見した中村市長は「公平性を欠き心からおわびしたい」と陳謝しました。

西尾市によりますと、10日始まった新型コロナウイルスワクチンの高齢者への集団接種で、大手薬局チェーンの「スギホールディングス」の会長とその妻の予約を優先的に受け付けていたということです。

4月12日から会長の秘書から「2人のワクチンを早く打てないか」と市の担当部署に何度も要望があり当初は断っていましたが、担当の健康福祉部の部長と近藤芳英副市長が相談したうえで便宜を図る判断をしたということです。

正式な予約が始まる前に、“仮予約”という形で10日の接種枠を確保したうえで、本来の受け付けの番号とは違う電話番号を秘書に教え、5月6日にその番号にかければ予約できるようにしたということです。

10日、外部からの指摘を受けて市は、急きょ予約を取り消し、2人はワクチンを受けていないということです。

11日午前、開かれた記者会見で近藤副市長は「本当に公平性を欠くことになり、私が誤った判断をしたもので深くおわびします」と述べました。

また中村健市長は一連の対応で報告はなかったとしたうえで「不適切で弁解の余地はない。市民の信頼を損ない心からおわびしたい」と陳謝し事実関係の調査をして関係者の処分を検討する方針を示しました。

スギHD「深くおわび」

スギホールディングスは、11日夕方、ホームページに一連の経緯を説明する文書を掲載し「コロナワクチンの優先的接種を西尾市に依頼したことについてワクチン接種を待つ西尾市をはじめ全国の方々に不快な行為であったこと、全国の行政の方々の努力に水を差す結果となってしまったことに深くおわび申し上げます」とコメントしました。

さらに、大きな手術を経験した会長の妻に「一日も早いワクチン接種を」とおもんぱかった秘書が西尾市に問い合わせたことが発端だとしたうえで「会長自身は、過去にアナフィラキシーショックを経験しており、ワクチン接種は希望していません。今後このようなことがなきよう努めてまいります」とコメントしています。

加藤官房長官 「公平な接種に反し遺憾」

加藤官房長官は午後の記者会見で「今回のワクチン接種にあたっては公平な接種が求められており、それに反するようなことは誠に遺憾だ」と述べました。

そのうえで「接種の実施や予約の受け付けにあたっては、行政の中立性やワクチン接種にあたっての中立性に疑念を抱くようなことがないよう、それぞれにおいて適切に対応していただきたい」と述べました。