東京 高齢者ワクチン接種 担い手や会場の不足が課題

高齢者向けの新型コロナウイルスのワクチン接種の課題を洗い出す会議が都庁で開かれ、区市町村からは接種を担う医療従事者の不足などが指摘されました。

高齢者向けのワクチンは、全国で今週から本格的に配送が始まり、政府は、7月末を念頭に希望するすべての高齢者に、2回の接種を終えられるよう取り組む考えを示しています。

会議は、こうした状況をうけて開かれ、都や区市町村、都内の医師会などが参加しました。

小池知事は「変異株が広がる中、ウイルスを抑え込んでいくためのゲームチェンジャーであるワクチンは、まさに有効な手段だ」と述べました。

その後、会議は非公開で行われ、都によりますと、区市町村からは接種を担う医療従事者や集団接種を行う会場の不足などが課題としてあげられ、財政的な支援を求める意見が出されたということです。

また、ワクチンが到着する時期を国にしっかり示してほしいなどの意見のほか、医師会からは、迅速に接種を進めるために、かかりつけ医など、診療所での個別接種をさらに進めるべきだといった意見が出されました。

政府によりますと、9日の時点で都内では、2万650人の高齢者が1回目の接種を終えたということですが、都内の高齢者およそ311万人の0.7%にとどまっています。

“7月中には完了できない” 都内の3分の1の自治体

政府は、7月末を念頭に希望するすべての高齢者に2回の接種を終えられるよう取り組む考えを示していますが、都によりますと、今月7日時点では、都内の3分の1の自治体が調査に対して、7月中には完了できない見通しだと回答しているということです。

調査は総務省が行っていて、都内の区市町村の状況は都が取りまとめました。

具体的な区市町村名は明らかにしていませんが、都によりますと、完了できない理由として、接種を担う医療従事者が確保できないことやワクチンの供給が遅いこと、人口が多いこと、などをあげているということです。

また、山間部など交通網がぜい弱なことなどをあげた自治体もあるということです。

これらの自治体も、8月中には接種が完了する見通しだと回答しているということで、都は、かかりつけ医がいる診療所での個別接種を行う態勢を強化するなど支援策を検討したいとしています。