奄美大島・沖縄本島北部の森林など 世界自然遺産登録の見通し

世界自然遺産への登録を目指している鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島にある森林などについて、ユネスコの諮問機関は、世界自然遺産に登録することがふさわしいとする勧告をまとめました。
これにより、ことしの世界遺産委員会で世界自然遺産に登録される見通しになりました。

鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島にあるおよそ4万3000ヘクタールの森林などについて、政府は、「アマミノクロウサギ」や「ヤンバルクイナ」、「イリオモテヤマネコ」といった固有の生き物が生息し、生物の多様性が残る貴重な地域だとして、世界自然遺産への登録を目指しています。

環境省によりますと、ユネスコの諮問機関、IUCN=国際自然保護連合は、現地調査などを行った結果、世界遺産に登録することがふさわしいとする「記載」の勧告をまとめました。

IUCNは「国際的にも希少な固有種に代表される生物保全上重要な地域である」と評価していて、今回の勧告は4段階ある評価のうち最も高いことなどから、ことし7月に開かれる予定の世界遺産委員会で、世界自然遺産に登録される見通しになりました。

一方、IUCNは特に西表島について、観光客の収容能力や影響を調べ観光客の数に上限を設けるといった措置を取ることや、アマミノクロウサギなどの希少な生き物が車やバイクにはねられて死ぬ事故を減らすことなどの対応を取るよう求めています。

国内の世界自然遺産は、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島の4件で、登録されれば5件目になります。
鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに、沖縄県の沖縄本島北部と西表島について、政府は4年前(2017年)世界自然遺産に登録するよう求める推薦書をユネスコに提出しました。

これを受けて、IUCN=国際自然保護連合は現地調査を行い、2018年、推薦地の中には分断されているところがあり、生態系の持続可能性に重大な懸念があるほか、沖縄本島北部の推薦地に隣接しアメリカ軍から日本に半分以上返還された北部訓練場の跡地の統合を検討することが必要だなどとして、登録を延期するよう勧告しました。

登録が見送られる可能性が高くなったことから、政府は推薦書をいったん取り下げ、北部訓練場の跡地の大半を含む森林地帯を新たに国立公園に編入したうえで勧告の内容に沿って地域を修正するなどして、2019年、改めて推薦書を提出しました。

しかし、去年6月に開催される予定だった世界遺産委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年余り延期され、例年、委員会に先立って5月ごろに行われていたIUCNによる勧告も、去年は行われませんでした。

奄美市長「暗いニュース続く中 朗報」

鹿児島県の奄美市役所では午後6時ごろ、環境省から朝山毅市長に電話で連絡が入りました。

電話を受けた朝山市長は、記者団に対し「IUCNから世界自然遺産に適当であるという評価を勧告したと報告を受けました。コロナ禍で暗いニュースが続く中、朗報をいただきました」と話しました。

そして「改めて関係団体と協力しながら一生懸命取り組んでいきたい」と今後の意気込みを語りました。

沖縄 国頭村長 職員とカチャーシー踊り喜び

沖縄本島北部の国頭村役場には、午後6時ごろ環境省から知花靖村長に電話で連絡が入り、ユネスコの諮問機関、IUCN=国際自然保護連合が沖縄本島北部と西表島にある森林などについて世界自然遺産に登録することがふさわしいとする勧告をまとめたと伝えられました。

知花村長は、記者団に対し「IUCNから登録の勧告が出たことは、大変喜ばしい。勧告の詳しい内容については、まだ情報が入っていないが、待ち続けている村民にいい知らせを伝えて村民みんなで盛り上げていきたい」と話していました。

そして、村長はおよそ15人の村の職員と一緒にカチャーシーを踊って喜びを表現していました。

沖縄県 玉城知事「誠に喜ばしい」

沖縄県の玉城知事は「誠に喜ばしいことだ。貴重な自然環境を子々孫々に引き継いでいくために国や地元の町村と連携し、世界自然遺産にふさわしい持続可能な地域づくりに取り組んでまいりたい」とするコメントを出しました。

小泉環境大臣「質の高い保全管理行えるよう努力」

小泉環境大臣は「コロナ禍での明るいニュースになったことも含め、今回の勧告を非常にうれしく、感慨深く思います。一方で、IUCNからは保全管理上の指摘もあり、自治体や専門家、地元の方々などと連携して、より一層の質の高い保全管理が行えるよう、引き続き努力します」などとする談話を出しました。

河野沖縄北方相「環境保全や活用のバランスを」

河野沖縄・北方担当大臣は、記者会見で「今回指定された地域には貴重な自然や『アマミノクロウサギ』といった動植物が残されている。『グリーンツーリズム』の振興につながると期待しているが、他方で、貴重な自然をしっかりと保全していくことも重要だ。環境の保全や活用のバランスが難しいと思うが、われわれとしても沖縄の取り組みを支えていきたい」と述べました。

地元の写真家は

40年以上にわたって奄美の自然を撮影している地元の写真家の常田守さんは「うれしい、よかったという、ただそのひと言です。それだけ奄美大島には大変な宝物があるのだということを島民がいちばん気付かされたのではないか。今後も徹底して自然を守っていってほしいです」と話していました。

地元の人は

沖縄本島北部の国頭村では、地元の森林などが世界自然遺産に登録される見通しになったことに喜びの声が聞かれました。

70代の女性は「感激しています。やんばるの自然を手を加えずに育てて世界から多くの人に足を運んでもらいたい」と話していました。

40代の男性は「今回のことは大変、喜ばしいことだ。これをきっかけに固有の動植物を守っていきたい」と話していました。

また、地元の観光業の男性は「今後、たくさんの人に来てもらえるよう観光地としてアピールしていきたい」と話していました。

西表島のある竹富町は

沖縄県西表島のある竹富町には午後6時10分すぎに環境省から連絡が入りました。

知らせを聞いた職員たちは一様にほっとした表情を見せていたほか、指笛を吹いて喜びを表した人もいました。

世界遺産推進室の通事太一郎室長は「推薦地を抱える市町村としては、安どしているところです。今後、7月末の世界遺産委員会で正式に決まると思いますが関係機関と協力しながら対応していきたいと考えています」と話していました。