海運大手3社 “巣ごもり需要”とコンテナ不足影響で大幅増益

海運大手3社の昨年度の決算は、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要の高まりで船で輸送する荷物の量が増えたことなどでコンテナが不足し、荷物を運ぶ運賃が高騰していることから、いずれも大幅な増益となりました。

海運大手が10日までに発表したことし3月までの1年間の決算は、グループ全体の最終利益が、
▽日本郵船が前の年度の4.4倍で1392億円、
▽商船三井が2.7倍となる900億円、
▽川崎汽船は20.6倍の1086億円で、
いずれも大幅な増益となりました。

これは新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が高まり、荷物の量が増えたことなどで、世界的に船の輸送で使うコンテナが不足し、荷物を運ぶ運賃が高騰しているためです。

各社はことし夏ごろからコンテナ不足の解消に向かうと想定していますが、見通しは不透明だとしています。

会見で日本郵船の丸山徹執行役員は「去年も3か月ごとに業績を修正する経験のない1年だったので、コンテナ不足の解消の合理的な予想は難しい。荷物を効率的に運ぶための取り組みを続けたい」と述べました。

コンテナ不足解消は不透明 輸入品価格に影響おそれ

船による運搬に使うコンテナは世界的に不足していて、いつ解消されるかは不透明な状況です。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、自宅で使う商品の“巣ごもり需要”が拡大し、荷物が増えていることや、人手不足でアメリカの港などで荷揚げの作業が滞っていることが要因です。

先月、国土交通省で開かれたはじめての対策会議では、出席した事業者から船の運賃が高騰し、企業の負担が重くなっていることや、輸送の遅れで品質が落ちた農産物を廃棄する事例も起きているなど、日本の企業にも影響が出ていることが報告されました。

海運会社は、必要な港に向けて空のコンテナを運ぶための船を運航したり、古いコンテナを再利用したりしています。

しかし、海外の港では人手不足が続いているうえ、国内にはコンテナを大規模に生産している事業者がなく、コンテナ不足がいつ解消されるかはなお不透明な状況です。

コンテナ不足が長期化すれば、企業の業績だけでなく、海外から輸入している商品や部品の価格にも影響が及ぶおそれも指摘されています。