東京パラ 陸上日本代表 新たに12人内定 辻沙絵や村岡桃佳も

この夏の東京パラリンピック、陸上の日本代表に新たに12人が内定し、リオデジャネイロ大会銅メダリストの辻沙絵選手(26)や、冬のピョンチャン大会の金メダリストで陸上に挑戦している村岡桃佳選手(24)の代表内定が決まりました。

日本パラ陸上競技連盟と日本知的障がい者陸上競技連盟は、先月1日付けの世界ランキングで6位以内など、国際競技団体の定める条件を満たした選手12人を、新たに東京パラリンピックの代表に内定したと発表しました。

このうち女子は、
▽リオデジャネイロ大会400メートル腕に障害のあるクラスの銅メダリストの辻選手や、
▽冬のピョンチャン大会、アルペンスキーで金を含む5つのメダルを獲得し、100メートル車いすのクラスに挑戦している村岡選手ら6人が内定しました。

男子も6人が内定し、このうち5人がパラリンピック初出場ですが、▽マラソン、腕に障害のあるクラスで世界ランキング2位の永田務選手(37)や、
▽1500メートル知的障害のクラスで世界ランキング4位の赤井大樹選手(22)など、
実力者ぞろいです。

パラ陸上ではおととしの世界選手権で16人が内定していて、内定選手は合わせて28人となりました。

次の代表選考は来月以降、国際大会の成績などをもとに行われます。

また、マラソン視覚障害のクラスも日本が新たに男女1つずつの出場枠を獲得し、国内の選考会で上位に入った熊谷豊選手(34)と、西島美保子選手(66)の代表入りが濃厚になりました。

女子400メートル腕に障害のあるクラスで代表内定 辻沙絵

辻沙絵選手は北海道函館市出身の26歳。

生まれたときから右ひじの先がありませんが、高校時代はハンドボール選手として全国大会に出場するなど活躍し、大学在学中にパラ陸上に転向しました。

その翌年に開かれたリオデジャネイロパラリンピックの女子400メートル腕に障害のあるクラスで銅メダルを獲得し、一躍注目を集めました。

おととしの世界選手権では7位に終わり、目標としていた東京パラリンピックの代表内定を逃しましたが、先月の大会でおよそ2年ぶりにみずからが持つ日本記録を更新しました。

選手の登録名を重本から辻に戻して挑む東京パラリンピックでは2大会連続のメダル獲得を目指します。
辻選手は「2度目のパラリンピック出場資格を得ることができて、ホッとしたとともにうれしく思います。自分自身がコントロールできることにフォーカスし、大会本番まで最大限の準備をして試合に挑みたいと思います」とコメントしました。

女子100メートル 車いすのクラスで代表内定 村岡桃佳

村岡桃佳選手は埼玉県深谷市出身の24歳。

4歳のときに脊髄の病気の影響で車いす生活になりましたが、中学生のときチェアスキーで競技を始め、2018年のピョンチャンパラリンピックではアルペンスキーで日本選手最多となる金を含む5つのメダルを獲得しました。

おととしからはスキーで現役を続けながら、陸上で東京パラリンピックを目指す“二刀流”に挑戦し、その年に陸上の女子100メートル車いすのクラスの日本記録を更新しました。

新型コロナウイルスによるパラリンピックの1年延期で、東京大会の半年後に冬の北京大会が行われる、異例のスケジュールとなりましたが、陸上とスキーを行き来する強行日程をこなし大会に臨みます。
村岡選手は「自国開催となる東京パラリンピックの内定をいただけたこと、心よりうれしく思っています。1人でも多くの皆様に応援していただけるよう、今後も1人のアスリートとして今できることに全力を注いでいきます」とコメントしました。

女子走り幅跳び視覚障害のクラスで代表内定 澤田優蘭

澤田優蘭選手は東京・北区出身の30歳。

6歳の時に視力と視野が徐々に低下する進行性の病気を発症し、残っている視野はわずかです。

中学生の時に本格的に陸上を始め、2008年の北京パラリンピックに女子走り幅跳びと100メートルで出場しました。

しかし、視力がさらに低下し、ロンドン大会に出場できずに一時は競技を引退。

その後、東京大会の開催が決まったことから、復帰を決断しました。

3年前、中国 北京の大会の走り幅跳びで5メートル70センチを跳んだ日本記録は現在も破られていません。
澤田選手は「これまで私を信じ、支えてくださったたくさんの方々に恩返しができるよう、本番までの残りの時間を大切にしっかり準備していきたいと思います。そして、見ている人たちがワクワクするようなパフォーマンスを目指し頑張ります」とコメントしました。

女子マラソン車いすのクラスで代表内定 喜納翼

喜納翼選手は沖縄県うるま市出身の30歳。

中学と高校で沖縄県の代表に選ばれるほどバスケットボールに打ち込んでいましたが、大学1年生のときトレーニング中の事故で車いす生活になりました。

スポーツからはしばらく離れていましたが、大学卒業後、風を切って走る疾走感にひかれて車いす陸上を始め、2016年からフルマラソンに出場するようになりました。

ひとこぎで長い距離を進める腕の長さを武器に、おととしの大分国際車いすマラソンでは世界記録まで8秒差に迫る日本新記録をマークしています。
喜納選手は「日頃より応援いただいている皆様に、ようやくスタートラインへの一歩を踏み出せたことを報告できることを何よりうれしく思っています。今後は、これまで以上に、サポートいただいている皆様、応援いただいている皆様、関わっているすべてのかたへの感謝の気持ちを忘れず、精いっぱいベストを尽くせるよう、日々トレーニングに励んで参ります」とコメントしました。

男子やり投げ腕に障害のあるクラスで代表内定 山崎晃裕

山崎晃裕選手は埼玉県鶴ヶ島市出身の25歳。

生まれたときから右手首の先がありませんが、小学生のころから野球に打ち込み、高校では甲子園を目指しました。

6年前、パラリンピックに出場するため野球で培った強肩を生かせるやり投げに転向し、2017年の世界選手権とよくとしのアジアパラ大会ではいずれも5位に入りました。

同じ障害のある子どもたちに夢を与えるため、みずからが持つ日本記録、60メートル65センチを超える投てきで、東京パラリンピックの表彰台を目指します。
山崎選手は「コーチやスタッフなど周りの皆様に支えられ、ここまでたどり着けました。まだ通過点にすぎず、ここからが勝負です。共に作り上げてきたものを大舞台で証明し、必ず世界の強豪に勝ちたいと思います。最高の形で恩返しができるよう、残りの期間、準備していきます」とコメントしました。

男子400メートル腕に障害のあるクラスで代表内定 石田駆

石田駆選手は岐阜県各務原市出身の22歳。

中学から陸上競技を始め、短距離で高校総体にも出場しましたが、大学入学直後の2018年4月に左上腕部に骨肉腫という病気がわかり、肩に人工関節を入れました。

よくとしから本格的にパラ陸上に転向すると、半年足らずで100メートルと400メートルの2種目で日本記録を更新しました。

大学の陸上部で一般の選手とともに練習を重ねて成長を続け、おととしの世界選手権では400メートルで5位に入賞しました。

東京パラリンピックでみずからの名前のとおり国立競技場を駆け抜け、世界新記録での金メダル獲得を目標に掲げています。
石田選手は「内定をいただき誠に光栄です。コロナ禍により、計画どおりに活動することが厳しかった時期があり、ランキング更新に対して不安だらけの期間ではありましたが、自分自身を信じ続けてきたことが、このような結果を導き出せたと思っています。東京パラリンピックでの金メダル獲得に向け、この3か月間、トレーニング強化に努めます」とコメントしました。

男子マラソン 腕に障害のあるクラスで代表内定 永田務

永田務選手は新潟県村上市出身の37歳。

働きながらマラソン大会に出場していた26歳のとき、工場での勤務中の事故で右腕に障害を負いましたが、その後も100キロを走る「ウルトラマラソン」で世界選手権に出場するなど、一般の陸上選手として活躍を続けました。

去年3月、東京パラリンピック出場に必要な障害の「クラス分け」を受け、ことし2月にはびわ湖毎日マラソンの腕に障害のあるクラスで世界ランキング2位となる2時間25分23秒をマークしました。

東京パラリンピックでは一般のマラソン選手としても評価される2時間19分台の記録を目指しています。
永田選手は「コロナ禍の中、大会準備に尽力されている方々、医療に従事される方々に感謝いたします。東京パラリンピックでは障害を持った選手たちのたくさんの可能性や力を自分の走りで伝えることができたらと思います。日本開催、そして東京で走れることを楽しみに9月5日まで1日1日、後悔のない練習をおこなっていきます」とコメントしました。

男子5000メートル車いすのクラスで代表内定 樋口政幸

樋口政幸選手は新潟県十日町市出身の42歳。

24歳の時に交通事故で脊髄を損傷して車いす生活となり、そのよくとしに先輩に誘われて陸上競技を始めました。

パラリンピックにはロンドン大会から2大会連続で出場していて、前回のリオデジャネイロ大会では男子5000メートル車いすのクラスで4位入賞を果たしています。

競技用の車いすをこぐために使うグローブをみずから購入した3Dプリンターで自作するなど、道具にもこだわりを持つ選手です。
樋口選手は「厳しい状況の中、大会準備のため、尽力されている方々、医療に従事される方々に感謝いたします。東京パラリンピックでは『やっぱり東京でオリンピック・パラリンピックが開催されてよかった』と思っていただけるよう、見ていただける方々に感動を届けられる走りをするべく本番までの残りの日々を大事に過ごしたいと思います」とコメントしました。

代表入り濃厚 西島美保子

西島美保子選手は、福井県南越前町出身の66歳。

病気のため視覚に障害がありますが、44歳からマラソンを始め、47歳のとき、大阪国際女子マラソンで3時間11分33秒の自己ベストをマークしました。

その後も国内外の大会への出場を続け、マラソン女子で視覚障害のクラスが初めて採用された前回のリオデジャネイロパラリンピックにも出場しました。

東京パラリンピックの代表選考会に位置づけられたおととし8月の北海道マラソン、視覚障害のクラスで2位に入り、本番で問われる夏場の強さが高く評価されています。

代表入り濃厚 熊谷豊

熊谷豊選手は、秋田市出身の34歳。

生まれたときから視覚に障害があり、陸上は中学から始めました。

大学卒業後は競技から離れていましたが、2017年に働きながら競技ができる会社に転職して以降、陸上やマラソンの大会で優勝を重ねました。

おととしの福岡国際マラソンでは当時の視覚障害のクラスの世界ランキングで2位につける2時間25分11秒をマークし、東京パラリンピックで金メダル獲得を目指しています。

代表内定 岩田悠希

岩田悠希選手は千葉県流山市出身の22歳。

知的障害があり、数字に強いこだわりがある岩田選手は、所属する陸上クラブの指導者から示される目標タイムを一つ一つ達成することで実力を伸ばしてきました。

去年の日本選手権の男子1500メートル知的障害のクラスでは、世界ランキング5位に相当する好タイムをマークして東京パラリンピック出場を引き寄せました。

東京パラリンピックでは、知的障害のクラスの陸上選手として日本初となるメダル獲得を目指します。

代表内定 古屋杏樹

古屋杏樹選手は、埼玉県桶川市出身の25歳。

知的障害と発達障害があり、複雑な運動や状況認識が苦手だといいますが、16歳のときに特別支援学校のマラソン大会で賞状をもらったことがきっかけで陸上競技を始めました。

卒業後は陸上クラブに所属し、男子選手たちと練習を重ねることで実力をつけ、2017年の世界選手権の女子800メートル知的障害のクラスで銀メダルを獲得しました。

去年の日本選手権では1500メートルで世界ランキング2位に相当するアジア新記録で優勝し、東京パラリンピックのメダル候補に名乗りを上げました。