菅首相“宣言延長は感染高水準で判断”“五輪パラ実現が責務”

菅総理大臣は、衆議院予算委員会の集中審議で、緊急事態宣言の延長について、新規感染者数が高い水準にあり、大阪や兵庫などでは病床のひっ迫も続いていることから延長を判断したと説明しました。また、東京オリンピック・パラリンピックの開催をめぐり、国民の命と健康を守りつつ、安全で安心な大会が実現できるよう全力を尽くすことが、みずからの責務だと強調しました。

自民 橋本岳氏「宣言延長で感染者数減らすことが大事」

緊急事態宣言の延長や、対象地域の拡大などをめぐり「全国的に、まだまだ新型コロナウイルスのまん延が止まっていない。今月31日まで延長したということは、そこでしっかりと新規感染者数を減らしていくことが大事だ」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「ゴールデンウイークに、短期集中的な対策として人流を抑える対策を講じた。一方で、新規感染者数は大都市を中心に全国に広まって高い水準にあり、大阪や兵庫などでは病床のひっ迫も続いている。感染力が強いと言われる変異株も拡大を続けている。緊急事態宣言を延長して、通常の時期に合わせて高い効果が見込まれる措置を徹底することにした」と述べました。

公明 国重徹氏「国産ワクチンの治験に新たな基準を」

国産ワクチンの開発について「国内の製薬メーカーは、大規模な最終段階の治験について、各国のコロナの感染拡大とワクチン接種が進んでいる中で、実施が極めて困難な状況にあると窮状を訴えている。新たな作成基準を作ったらよい」と指摘しました。

これに対し菅総理大臣は「国内で開発・生産をし、速やかに接種できる体制の確立は、危機管理上も極めて重要だ。新たな方法での治験の実施について、国際的な規制当局の会合で、わが国から提案している。また、安全性・有効性の確認を前提としながらも、より速やかに承認できるような承認制度の見直しを検討する必要がある」と述べました。

立民 枝野幸男代表「東京五輪・パラ 奇跡的に開催 不可能」

東京オリンピック・パラリンピックについて「奇跡的に、ここから感染が抑制できて開催できることを期待しているが、国民や来日する皆さんの命と健康を守ることと、開催を両立させることは不可能と言ってもいい。『安全で安心のオリンピックのために徹底します』と繰り返して1年間だが、何の説得力もない」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「国民の命と健康を守り、安全・安心な大会が実現できるように全力を尽くすことが私の責務だ。選手などの行動範囲を、原則として宿泊施設や競技会場などに限定する。そのうえで、一般の日本人との接触を厳に回避するため、それぞれの場所での動線分離を徹底させる。厳格な行動管理を実施し、ルールに違反した場合には、大会参加資格を剥奪する」と述べました。

共産 清水忠史氏「今の関西の医療ひっ迫 首相に責任」

大阪などで医療の提供体制がひっ迫していることをめぐり「『国民の命と健康を守る』と言ったのは、菅総理大臣自身なのだから、今の関西の現状を救えなかった責任は菅総理大臣にある。自身の責任について答えてほしい」と求めました。

これに対し、菅総理大臣は「大阪においては、国民の命と健康を守る観点から、政府としても主体的に関与しながら対策を講じている。特に病床の確保が重要だと考えており、4月以降、800以上の病床追加を国として支援している。ただ、そういうなかで、まだ厳しい状況であることについては大変、申し訳なく思う」と述べました。

維新 藤田文武氏「支援策 補償の在り方に問題」

新型コロナで影響を受ける事業者への支援策をめぐり「緊急事態宣言の延長が決まり、営業の自粛をお願いせざるをえない中で補償や支援のパッケージが後付け、後付けで出てくる。不公平感がまん延する補償の在り方が続いていて非常に問題だ」とただしました。

これに対し西村経済再生担当大臣は「さまざまな現場の声、あるいは国会での議論などを踏まえて運用を補強する場合や、改善をしていく場合がある。現場の声もしっかり聞きながら、事業者の影響度合いに応じた支援について、引き続き不断の検討を進めていきたい」と述べました。

国民 玉木雄一郎代表「東京五輪・パラ 国民に税負担の可能性も」

東京オリンピック・パラリンピックについて「外国の観客は入ってこないとすると、その収益は吹っ飛ぶ。ものすごい資金不足になるオリンピックになるのではないか。立候補ファイルでは『最終的な穴埋めは国がやる』と言っていて、最後に国民の税負担が生じる可能性もある」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「運営方針や収入と支出なども含め、大会運営の主体である組織委員会で、さまざまな想定をしながら準備を進めていると承知している。観客については、今後の国内外の感染状況も踏まえて、安全・安心な大会とすべく検討していきたい」と述べました。

河野規制改革相「潜在的看護師は“扶養から外れない”」

また、河野規制改革担当大臣は、ワクチン接種の担い手の確保をめぐり「潜在的な看護師は『年収130万円』という、扶養の範囲を超えることを気にしている方が多かったので、今回『扶養から外れない』ということを周知した」と述べ、看護師の資格を持つ人が接種を担うことで一時的に収入が増えても、配偶者などが加入する健康保険の扶養対象から外れないよう措置することを明らかにしました。