国立競技場で陸上の五輪テスト大会 感染対策などを確認

東京オリンピックの陸上のテスト大会が国立競技場で行われ本番を想定した新型コロナウイルスの感染対策や競技運営の手順の確認などが行われました。

陸上のテスト大会は緊急事態宣言が出されるなか、9日、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場で無観客で行われました。

大会はオリンピック本番と同じ午前の部と夕方の部の2部構成で行われこのうち午前の部では女子100メートルなど男女16種目が行われました。

競技場にはおよそ1600人のスタッフが動員され、トラックやフィールドでマスクをつけたスタッフがスターティングブロックの設置方法や選手を誘導するルートなど運営面の確認をしていました。

また新型コロナの感染対策では、円盤投げでスタッフどうしの接触を減らすため投げられた円盤の回収に自動車型の小型ロボットが使われスタッフが拾った円盤を乗せるとロボットが投げ終わった選手の近くに円盤を運んでいました。

選手のインタビューが行われるミックスゾーンでは取材中も、選手と報道陣が2メートルの距離を保てるよう目印となるテープがはられていました。

テスト大会は午後5時前からは夕方の部が行われ感染対策をとって来日した海外の選手も参加してトップ選手による男子100メートルなどで熱戦が繰り広げられました。

選手の評価は

競技場の内外で行われた新型コロナウイルスの感染対策について、選手からは一定の評価の声が聞かれました。

組織委員会によりますと今大会、選手のウォーミングアップ場では検温と消毒が義務づけられました。

またサブトラックに向かう際の地下通路の動線は行きと帰りで分けられ、競技の前に待機する召集所では選手どうしの椅子の間隔が広くとられました。

競技中以外の移動の際は常にマスクの着用が指導されたほか、まとまって歩く際も間隔をあけるように呼びかけられました。

こうした感染対策について男子100メートルに出場した多田修平選手は「こんなに徹底された感染対策をした大会は初めてだった」と話していました。

また同じく男子100メートルに出場した小池祐貴選手は「多くの場面で消毒が行われていたし、大会前の体調チェックも徹底されていた。よく考えて準備された大会だと感じた」と評価していました。

海外選手の感染対策も

今回のテスト大会は海外から9人の選手が来日し、オリンピック本番を想定した感染対策が行われました。

海外の選手たちは、フロアを借り上げたホテルの部屋で食事をし、移動は決められた車両だけを使用するなど外部の人たちと可能なかぎり接触をせずに滞在するいわゆる「バブル」と呼ばれる状態を作って過ごしました。

大会の会場では国内の選手たちとウォーミングアップ場のエリアが分けられるなど感染対策を徹底したということです。

男子100メートルに出場したアリメカのジャスティン・ガトリン選手は「バブルの守られている状況がどれほど安全なのか、日本の人たちをどのように守っていけばいいかを考えてテスト大会に参加した。これまでの大会と比べると違う面もあったが順応できるものだった。結果として成功だった」と評価していました。

テスト大会にさまざまな意見

緊急事態宣言が出されるなど新型コロナウイルスの感染が拡大する中、テスト大会が行われた国立競技場の周辺ではさまざまな意見が聞かれました。

都内に住む30代の男性は「無観客での開催ならいいと思うが、海外からの参加者もいることを考えると、変異ウイルスが拡大しないかなど心配な面もある」と不安を語りました。

一方で「選手たちは頑張っているので感染対策をしたうえで頑張ってほしい」とエールも送っていました。

また都内に住む60代の男性は「感染対策をすればテスト大会の開催は問題ないと思う。リハーサルをやらないと本番の大会はできないので積極的にやるべきだ」と話していました。

そのうえで「テスト大会では選手の移動や密対策などをしっかり確認して本番を迎えてほしい」と話していました。

神奈川県に住む女性は「ウイルスがまん延しているので、すぐに中止にしたほうがいいと思う。医療がひっ迫しているなかでの開催は矛盾している」と強い口調で話していました。

世界陸連会長「開催は光をともす」

陸上のテスト大会を視察したIOC委員を務める国際競技団体、世界陸連のセバスチャン・コー会長が9日夕方、記者会見しました。

コー会長は冒頭で「テスト大会は選手にとって非常に重要な機会だ。東京大会は数年にわたって準備を整え、それを見届けてきた。コロナウイルスによる困難に直面したが、アスリートはみな東京大会に出場することに期待している」と述べました。

一方で、感染拡大が続く中で、東京大会の開催に反対する声があることについては「ナーバスになっていることは理解できる。深刻な状況ではあるが、組織委員会では感染対策について、きちんとした手順やルールを整備しているし、私たちも日本の行政と連携して感染拡大を防ぐことにしているので安心していただきたい」と理解を求めました。

会見では東京大会の開催の意義を問う質問もあり、自身が2012年ロンドン大会の組織委員会の会長を務めた経験を引き合いに出して「4年に1回の大会は街に光をともし希望を与えるイベントだと信じている。今こういった厳しい状況だからこそ開催の意義があると考えている」と強調しました。

組織委員会 森次長「やれることはしっかりやった」

テスト大会のあと運営を取りしきった組織委員会大会運営局の森泰夫次長が会見を行い「タイトなスケジュールのなかしっかり大会を開催できたことを評価したい。1600人以上のスタッフを統一しながら大会を進行できたことは一定の自信になったしいい経験になった。こうした事例をひとつひとつ積み重ねていきたい」と話しました。

また今大会は無観客で開催されましたが、組織委員会やボランティアなど150人は観客役を務め有観客を想定して動線などを確認したということです。

森次長は「これで十分だとは感じていないが、やれることはしっかりやった」と話していました。