変異したウイルス 感染収束までに従来型より時間かかるか

変異した新型コロナウイルスの現状を報告する緊急シンポジウムが開かれ、国立感染症研究所の専門家は、国内でも広がる感染力が強い変異ウイルスについて、感染が収束の方向に向かうまでに従来より時間がかかるとして「強力な対策を取らざるをえない」と指摘しました。

シンポジウムは、横浜市で開催中の日本感染症学会などの合同学会の中で開かれました。

国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長は「N501Y」の変異があるウイルスについて、大阪でのデータをもとに感染のしやすさを示す実効再生産数を従来のウイルスと比較した分析結果を紹介しました。

鈴木センター長は、従来のウイルスだと3月下旬をピークに、4月上旬には感染が収束の方向に向かった一方、変異ウイルスでは同じ時期でも拡大し、収束の方向に向かうまでにより時間がかかっているとして「従来の感覚だと感染を減らせていたはずが、なかなか減ってこないので、強力な対策を取らざるをえない」と指摘しました。

インドで広がる変異ウイルスについても報告され、国立感染症研究所の齋藤智也感染症危機管理研究センター長が、イギリスで見つかった変異ウイルスと同等の感染力があるおそれがあるとして、7日、イギリスで警戒度の高い変異ウイルスに指定されたことを紹介し「日本でもより警戒を強める必要がある」と訴えていました。