中国のロケット 落下は日本時間9日昼前後 NZ沖か 米軍予測

中国のロケットが近く大気圏に再突入し、残骸が地表に落下するおそれが指摘されている問題で、アメリカ軍はロケットが日本時間の9日昼前後に大気圏に再突入すると予測しています。

アメリカ軍は、中国が先月29日、独自の宇宙ステーション建設のために打ち上げた大型ロケット「長征5号B」が近く大気圏に再突入し、残骸の一部が燃え尽きずに地表に落下するおそれがあると指摘して分析を進めています。

これについてアメリカ空軍は、ロケットは日本時間の9日昼前後に大気圏に再突入すると予測しています。

ただ、再突入の予測時刻は前後6時間の幅を見ています。

また最新の予測では、再突入するのはニュージーランド沖の上空と見ていますが、今後大きく変わる可能性もあるとしています。

アメリカ宇宙軍の制服組トップ、レイモンド作戦部長は7日、議会下院の公聴会で、レーダーや光学望遠鏡も使いロケットの動きを監視していることを明らかにしました。

そのうえで「非常に綿密に追跡しており、大気圏に再突入する位置が判明すれば警告を発する」と述べ、予測が更新されれば速やかに情報を提供するとしています。

「長征5号B」とは

「長征5号B」は中国が独自の宇宙ステーションを建設するために開発された運搬ロケットです。

全長およそ54メートル、直径5メートルで、重さ22トンほどの宇宙船や人工衛星などを地球を回る軌道上に運ぶことができるとされ、2020年5月、初めて打ち上げられました。

今回は2回目の打ち上げで、4月29日に宇宙ステーションで基幹となる施設を搭載していました。

中国外務省「ほとんど燃え尽きる」 ただし過去には…

残骸が地表に落下する可能性があるという指摘に対し、中国外務省の報道官は7日の記者会見で「ほとんどの部品は大気圏に再突入する過程で燃え尽きてなくなる。航空機の運航や地上において危険が生じる確率は極めて低い」と説明しました。

ただ、去年「長征5号B」が初めて打ち上げられた際は、残骸の一部とみられる金属が西アフリカのコートジボワールの陸地に落下し、複数の家屋に被害が出たと伝えられましたが、中国は公式の反応を示しませんでした。

過去の「落下」ケースは…

宇宙空間から大型の人工物が落下し地表まで到達した例として、1979年にアメリカの宇宙ステーション「スカイラブ」が大気圏に再突入し、オーストラリアに多くの破片が落下したことがあります。

また、ロシアの宇宙ステーション「サリュート7号」は1991年に大気圏に再突入し、南米・アルゼンチンに破片が落下しました。

いずれの例でも被害は報告されていません。

一方、中国が去年5月に打ち上げたロケット「長征5号B」は、大西洋の上空で大気圏に再突入した際、破片の一部とみられる物体がアフリカ・コートジボワールに落下し、地元のメディアは複数の建物に被害が出たと報じました。

アメリカの「スカイラブ」が落下した際に、宇宙空間に打ち上げた物体を安全なところに落下させることの重要性が議論されましたが、今のところ国際的なルールはなく、各国の宇宙機関の方針に任されているのが実情です。

専門家「今後も同様の事態 国際的なルール作り議論を」

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者、ジョナサン・マクダウェル博士は「長征5号B」について「落下する過程でさらに小さく分解すると考えられ、複数の破片がおよそ100キロの範囲に落下するのではないか」との見通しを示したうえで「いま現在ロケットがどこにあるかは正確にわかるが、大気圏に再突入し分解を始めると、落下地点を予測するのはとても難しい」と述べました。

そして「去年も同じ型のロケットの破片がアフリカ・コートジボワールで建物に落ちた例があり、今回も建物にぶつかる可能性は低いもののゼロではない。しかし人的な被害が出る可能性はさらに低いだろう」と述べました。

その上で「中国は宇宙ステーション建設のために繰り返しロケットを打ち上げる計画だが、今後も同様の事態が起きることが懸念される。国連の宇宙空間平和利用委員会の場などを利用して国際的なルール作りを議論すべきだ」と話しています。