「スポーツ医」の五輪ボランティア希望者 募集の半分以下に

東京オリンピック・パラリンピックで活動する医療ボランティアについて、組織委員会が日本整形外科学会を通じて参加の意向を調査したところ、希望者が募集の半数以下にとどまったことが分かりました。調査を受けた医師からは「コロナ禍で医療がひっ迫する中で、現場を離れられない」という声も聞かれ、確保が難航することも予想されます。

組織委員会は東京大会の期間中、競技会場などで1万人程度の医療従事者に活動してもらう計画で、医療関連の団体などに協力を要請しています。

このうち日本整形外科学会は、「スポーツ医」と認定した全国の4784人の医師を対象に医療ボランティアとして参加する意向があるか、先月以降アンケートを行いました。

その結果、200人の募集に対し、参加の意向を示したのは92人だったということです。

調査を受けた30代の医師は「新型コロナウイルスで経験したことがない非常事態になっているのに、オリンピック第一で現場を見てくれていないと感じました。内科も外科もさらに忙しくなっている中で同僚を残して現場を離れることは難しい」と話しています。

組織委員会は、日本スポーツ協会と日本看護協会にも医師200人程度と看護師500人を確保するための協力をそれぞれ求めていますが、医療のひっ迫が続く中で難航することも予想されます。

医療スタッフの募集要項は

組織委員会の要請を受けて、日本整形外科学会が行ったアンケートでは医療スタッフの募集要項が示されています。

それによりますと、活動期間は3日間程度でも可能で、1回当たりの活動時間は休憩を含めて9時間程度となっています。ボランティアのため、謝礼金は支払われません。

会場までの移動には原則、公共交通機関の利用が求められ、一定の交通費が支給される予定です。深夜や早朝の移動手段は組織委員会が手配し、遠方に住む人のために宿泊施設の手配も検討しているということです。

海外の選手やスタッフの診療は英語で行い、選手村の診療所など、競技会場以外で活動する可能性もあります。

募集要項を見た会員の医師は、「勤務先の病院や医師への報酬もなく、感染症が流行している地域で活動するのか、いつ検査を受けられるのか、すぐに職場に戻れるのかといった情報も示されないことに憤りを感じます」と話しています。

組織委員会「必要な医療スタッフの精査を行う」

組織委員会は、各団体への要請について「地域医療への影響に考慮しながら、日頃からおつきあいしている団体に、コロナ対応の業務に従事していないような医療スタッフの方にご協力いただくことが可能かどうかといった相談をしている」としたうえで、「医療機関、競技団体などのご意見を丁寧に伺いながら、必要な医療スタッフの精査を行ってまいります」などとコメントしています。