菅首相会見 ワクチン接種 1日100万回を目標とする考え

菅総理大臣は、4都府県の緊急事態宣言を延長し、愛知県と福岡県を対象地域に追加すると決めたことを受けて、7日夜、記者会見し「私自身が先頭に立って、ワクチン接種の加速化を実行に移す」と述べ、7月末を念頭に希望するすべての高齢者に接種を終わらせるため、1日100万回の接種を目標とする考えを強調しました。

緊急事態宣言 愛知県福岡県を追加 31日まで延長を決定

菅総理大臣は、記者会見で「先ほど新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言の対象地域に、愛知県、福岡県を追加するとともに、5月31日まで延長することを決定した。また『まん延防止等重点措置』について、北海道、岐阜県、三重県を追加し、5月31日まで延長すること、宮城県については、5月11日に終了することを決定した」と述べました。

大型連休に合わせ国民に短期集中の措置をお願いした

「今回、ゴールデンウイークという大型連休に合わせ、国民に短期集中の措置をお願いをした。家族での旅行や帰省、友人どうしの買い物や行楽などの外出が一斉に増える大型連休という特別な時期には、人流を抑える強い措置が必要と考え、幅広い要請を行った」と述べました。

延長により負担をおかけするみなさまに深くおわび

「これまで外出を控えるなど、協力をいただいた国民、休業要請などに応じていただいた事業者、医療・介護の現場で、懸命の尽力をいただいている関係者に、心から感謝を申し上げる。また、今回の延長により、引き続き負担をおかけするみなさまに、深くおわびを申し上げる」と述べました。

ウイルスに対する強い警戒を維持 改めて対策が必要と判断

「東京や大阪の人流は4月はじめと比較し、夜間は6割から7割、昼間は4割から5割程度、減少している。しかしながら、新規感染者数は東京、大阪ともに『ステージ4』を大きく超える水準にあり、それぞれの圏域の中心である愛知や福岡においても『ステージ4』を超えている。大阪では、病床のひっ迫状況を改善するために、一定の期間を要すると考えられる」と述べました。

その上で「感染力が強いとされる変異株の拡大も続けている。このため、今般、緊急事態宣言を延長し、ウイルスに対する強い警戒を維持し、改めて対策が必要であると判断した」と述べました。

1日100万回の接種を目標とする考えを強調

「長引く感染対策の決め手となるのが、ワクチンだ。私たちが、安心した日常を取り戻すことができるかどうかは、いかに多くの方にワクチン接種ができるかどうかにかかっている。私自身が先頭に立って、ワクチン接種の加速化を実行に移す」と述べました。

その上で「来週より、順次、全国の自治体で本格的な接種が始まる。今月24日からは、東京、大阪の大規模接種センターでも始まる。その後、1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に、希望するすべての高齢者に2回の接種を終わらせるよう、政府としては、あらゆる手段を尽くし、自治体をサポートしていく」と述べました。

高い効果の見込まれる措置を徹底して対策を講じていく

「この1年、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、実に多くの業種の方々に影響が生じており、飲食業をはじめ、観光業、商業施設、イベントや演劇、スポーツなどの業種において特に大きな影響となっている。これらの業種の方々が努力と工夫を重ね、効果的な感染対策を進めてきて頂いたことに、重ねてお礼を申しあげる」と述べました。

また「大型連休という1つの山を越えた今後は、通常の時期にあわせた高い効果の見込まれる措置を徹底して対策を講じていく。飲食店におけるお酒やカラオケの提供の停止を続けるとともに、新たにお酒の持ち込みを制限することを対策に加える。飲食店以外でのお酒が、感染につながることのないよう十分な注意をお願いしたい」と述べました。

テレワークを徹底 出勤者の7割削減を目指していく

「今後も、夜の人流を抑えることは重要だ。デパートなどの大規模施設は午後8時まで、スポーツや音楽などのイベントは午後9時までの時間短縮をお願いする」と述べました。

また「職場での感染も増えている。これまで以上にテレワークを徹底し、出勤者の7割削減を目指していく。『まん延防止等重点措置』の地域では、飲食店の時間短縮や見回り、高齢者施設の検査などの集中的な対策により、感染をおさえ込んでいく」と述べました。

重症者に占める若年層の割合 高くなっている

「全国で重症者、死亡者数の急速な増加が続いており、東京や大阪では、重症者に占める20代から50代の若年層の割合が高くなっている。若い世代の感染を抑制することで、リスクの高い高齢者への波及を防ぐことが重要だ」と述べました。

その上で「ひとりひとりが意識を持って行動し、マスク、手洗い、3密の回避という、基本的な予防策を徹底するよう、改めてお願い申し上げる」と呼びかけました。

変異株 監視体制を強化 新たな変異にも警戒行っていく

「感染の急拡大の要因とされる変異株について、国内の監視体制を強化し、新たな変異にも常に警戒を行っていく。インドにおいて感染が急速に増大し、新たな変異株も確認されている。当分の間、インド、パキスタンおよびネパールからの入国者に、3回の検査と、入国後6日間のホテルでの待機を求め、水際対策を強化していく」と述べました。

緊急小口資金など 支援を必要な方々に届けていく

「緊急小口資金など、暮らしの支援を、必要な方々に届けていく。大規模な施設などには、事業規模に応じた協力金で支援をしていく」と述べました。

来月をめどに 広く一般の方々にも接種を開始したい

「来月をめどに高齢者の接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患がある方々を含めて、広く一般の方々にも接種を開始したい」と述べました。

その上で「接種の予約などで不便が生じていると聞いているが、自治体の業務が円滑に進むよう政府としても必要な支援を行っていく」と述べました。

一方、東京オリンピック・パラリンピックの参加者へのワクチンの提供について「ファイザー社との協議で、東京大会に参加する各国の選手団に対して、ワクチンを無償で供与したいという申し出があった。IOC=国際オリンピック委員会と協議の結果、各国選手への供与が実現し、安全・安心の大会に大きく貢献することになる」と述べました。

2つの作戦に私自身先頭に立って取り組んでいく

「『また緊急事態宣言の延長か』と失望する方も多いと思う。しかし、私たちは必ず、近い将来、この局面を乗り越えていく。国民に安心できる日々を取り戻して頂くため、ワクチン接種の加速化を実行していく。そして、それまでの間に、感染拡大を何としても食い止める。この2つの作戦に、私自身、先頭に立って取り組んでいく」と述べました。

そして「政府はもとより、医療・介護従事者、地方自治体をはじめ、関係者の力を結集していく。国民の皆さんのご理解とご協力を心からお願い申し上げる」と述べました。

緊急事態宣言を解除する基準 ステージ4脱却が目安

緊急事態宣言を解除する基準を問われたのに対し「基本的対処方針にも書かれているように、『ステージ4』を脱却することが目安となるが、具体的には専門家や自治体の意見も聞きながら、総合的に判断をしていきたい」と述べました。

人流の減少という所期の目的は達成できた

「特に多くの人出が予想される、ゴールデンウイークという特別の期間において、短期集中的な対策として、感染源の中心である飲食の対策に加えて、人流を抑える対策をとった。この結果、対策を講じる前や、前回の緊急事態宣言と比べても、人出が少なくなっており、人流の減少という所期の目的は達成できたと考える」と述べました。

その上で「こうした対策は国民生活に大きな制約を与えるものだ。今回の延長に際しては、平常時の時期にあわせた、高い効果が見込まれる措置を徹底することにより、対策を講じていきたい」と述べました。

9月末までに5000万回分追加 来年分の2億回分の供給を協議

ワクチン接種を加速化する具体策について「必要なのは確実なワクチンの供給とスタッフの確保だ。すでに全国の市町村に、来月末までの供給量を示しており、来月はじめまでにおよそ4000万回分を届ける。医師や看護師などの確保についても個別の市町村の状況に応じてしっかりと対応していく。先日、日本医師会の中川会長と日本看護協会の福井会長に直接、協力要請を行うとともに、休日夜間の体制拡充への支援を決定をした」と述べました。

その上で「医療機関に勤務している医師や看護師の方々が兼業して接種を手伝うこと、さらに歯科医師の協力を得ることも進めていく。先日、アメリカを訪問した際にファイザー社のCEOと協議した結果、新たに9月末までに5000万回分のワクチンが追加されることとなった。さらに来年分としてモデルナ社やノババックス社と合計2億回分の供給を受けることを前提に協議を進めている」と述べました。

オリンピック ・パラリンピック 安心・安全の大会実現は可能

東京オリンピック・パラリンピックの開催について「心配の声が国民の皆さんからあがっていることは承知している。まずは、いまの感染拡大防止に全力を投入していく。東京大会の開催にあたっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり行い、そして国民の命と健康を守っていくことが大事だ」と述べました。

その上で「IOC=国際オリンピック委員会と協議の結果、各国選手へのワクチン供与が実現することになった。さらに選手や大会関係者と一般の国民が交わらないように、滞在先や移動手段を限定したい。選手は毎日検査を行うなど、厳格な感染対策を検討している。こうした対策を徹底することで、国民の命や健康を守り、安心・安全の大会を実現することは可能だと考えており、しっかり準備をしていきたい」と述べました。

ワクチン 日本の選手団にも接種したい

東京オリンピック・パラリンピックの参加者へのワクチンの提供について「当然、日本の選手分もその中にあり、接種についても、JOC=日本オリンピック委員会の山下会長などから要望が表明されているので、丸川担当大臣を中心に、対応していきたい。世界の選手の中の一部として、日本の選手団にも接種をしたい、そういう方向になるだろう」と述べました。

一般国民のワクチン接種終える時期 目標時期は明言せず

一般の国民へのワクチン接種を終える時期の目標を問われたのに対し「来月中をめどに、高齢者の接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患を有する方々を含めて、一般の方々への接種も開始したい。まずは高齢者の方を終えて、そして国民に広く接種をしていきたい。現時点においては、そこまで、述べさせていただきたい」と述べ、具体的な目標時期は明言しませんでした。

憲法改正「緊急事態に備える中 国民の関心は高まっている」

憲法改正をめぐり、緊急事態への対応を憲法にどう位置づけるべきか問われたのに対し「緊急事態に対応する憲法の規定は、参議院の緊急集会しかない。現実のコロナ対策で海外の国を見ると、私権制限がない中で、強制的な執行ができるということもある。コロナ禍で、緊急事態に備える中で、国民の関心は高まっていると思う」と述べました。

また「ワクチンの国内での治験が求められ、接種が遅れてしまうなどといった、いろいろな問題が今回、浮き彫りになった。落ち着いたら、そうしたことを検証して、対策を考える必要がある」と述べました。

1日100万回のワクチン接種を目標「十分可能だ」

1日100万回のワクチン接種を目標とする考えを示したことをめぐり、その根拠を問われたのに対し「インフルエンザのワクチン接種は平均で1日60万回くらいできていると報告を受けている。体制としては今回の方がはるかに広く取っているので、接種を始めて本格的になり、慣れてくるとそういうことも十分可能だ」と述べました。

高齢者接種「体制さえ組めば7月末までには終えることできる」

高齢者向けのワクチン接種について「7月末という目標を掲げてから、まだ日数は少ないが、1700を超える市町村の中で、およそ1000については、7月末までに終えられる状況だと報告を受けている。接種ができる体制さえ組めば、すべて7月末までには終えることができると思う」と述べました。

その上で「医師や看護師が少ないなど、いろいろな問題があって遅れるという自治体については国としてしっかりと支援して、まずは、高齢者への接種がいち早く終わるような対策を丁寧に行っていきたい」と述べました。

オリンピック・パラリンピック 選手以外は安全対策を徹底

「東京オリンピック・パラリンピックで、選手以外にも数万人が来日する予定だが、どう対策を講じるのか」と問われ「海外の選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて、国民の命と暮らしを守っていく。選手以外の方は、水際も含めてさまざまな制約があり、安全対策を徹底していきたい」と述べました。

インドにいる日本人 望む方は帰国できるよう対応

新型コロナウイルスの急激な感染拡大が続いているインドに滞在する日本人への対応を問われたのに対し「現在、インドにいる日本人とは領事館を中心に連携をとっている。そして、帰国を望む方については、帰国できるように対応している。日本に帰ってくる飛行機は、毎日報告を受けているが、2000席ぐらい空いているので、帰国したいということであれば、すぐ帰ることができるような態勢を領事館でとっていると報告を受けている」と述べました。

その上で、帰国のための検査証明書の取得が現地で難しくなっているという指摘が出ていることについて「PCR検査についても、いろんな場所があるので、領事館としてしっかり紹介して、安全なところで検査を行うことができるようになっていると報告を受けている」と述べました。