西村経済再生相 “宣言”延長と愛知 福岡の追加 国会に報告

東京、大阪、兵庫、京都の4都府県の緊急事態宣言について、西村経済再生担当大臣は、衆参両院の議院運営委員会で、来週11日の期限を今月31日まで延長するとともに、愛知県と福岡県を来週12日から対象地域に加えることを報告しました。

この中で西村経済再生担当大臣は、緊急事態宣言について「新規陽性者数は『ステージ4』の水準を、いまだ大きく超えており、医療提供体制も厳しい状況が続いている。愛知県、福岡県については、変異株の割合が高い水準にあり、病床の状況も極めて厳しいことから追加する必要がある」と述べました。

そして、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県の緊急事態宣言について、来週11日の期限を今月31日まで延長するとともに、愛知県と福岡県を来週12日から対象地域に加える政府の方針が専門家でつくる分科会で了承されたとして、7日夜の対策本部で決定することを報告しました。

また、首都圏3県などに適用されている「まん延防止等重点措置」についても、期限を今月31日まで延長するとともに、北海道、岐阜県、三重県を9日から追加し、宮城県については、来週11日の期限をもって対象から外すと報告しました。

そのうえで西村大臣は「分科会では、高齢者に対するワクチン接種を早急に進めるべきとか、変異株に対する警戒を強めるべきといった意見が示された。こうした議論も踏まえ、都道府県と緊密に連携しながら感染拡大の防止に向けた取り組みを徹底していく」と述べました。

各党の質疑

4都府県の緊急事態宣言の期限を延長し、対象地域に愛知県と福岡県を追加する決定を前に、国会では、西村経済再生担当大臣が事前の報告を行い、各党による質疑が行われました。

▽自民党の本田顕子氏は「感染者が短期間に急増すると、緊急的な患者対応が求められる。コロナ対応の病床と、後方支援となる一般病床の連携が不可欠だが、病床の確保状況を聞きたい」と質問しました。
これに対し、西村経済再生担当大臣は「去年5月時点のコロナ病床数は1万6000程度だったが、現時点では、およそ3万床に増加している。看護師や保健師などの派遣も行っている。医療提供体制の確保に全力をあげていきたい」と述べました。

▽立憲民主党の泉政務調査会長は、東京オリンピック・パラリンピックについて「およそ1万人の医師や看護師の確保を優先させるのかが問われている。この夏の五輪は、延期か中止を提案したい」とただしました。
これに対し、西村大臣は「コロナ対応やワクチン接種に支障が生じないよう、さまざまな知恵を絞り必要な政策を講じていく。安全安心の大会に向けて、感染拡大をしっかりと抑えていくことに全力を挙げていきたい」と述べました。

▽公明党の竹谷とし子氏は、入国者の水際対策について「一定期間、自主隔離が求められているが、誓約を守らない人が相当数いるのが実態と聞いている。政府の対応を求める」とただしました。
これに対し、西村大臣は「入国後14日間の健康フォローアップや、アプリでの居場所の確認、ビデオ通話による状況確認、さらに連絡の取れない入国者に対して、民間警備会社に委託して見回りを行っている。万全を期していきたい」と述べました。

▽日本維新の会の東総務会長は、ワクチンの接種について「医学生や薬剤師、獣医師に研修を行ったうえで、ワクチンの打ち手を1人でも多く確保していくことが、現状の打開につながっていく」と指摘しました。
これに対し、西村大臣は「現行法上は認められていないということで、さまざまな課題があると聞いているが、非常時であり、接種に必要な人員の確保に向け、提案も含めて不断の検討をしていきたい」と述べました。

▽共産党の塩川鉄也氏は「地域医療機関の支援が必要だ。コロナ患者受け入れの有無にかかわらず、地域医療を支える医療機関に減収補填(ほてん)を行うべきだ」と求めました。
これに対し、西村大臣は「コロナ対応を行っていない診療所や薬局に対しても、医療機関支援としては、全体として4.6兆円の予算を計上し、費用の補助を行ってきている。必要な地域医療を確保できるようしっかりと取り組んでいく」と述べました。

▽国民民主党の浅野哲氏は「クラスターの発生場所は、学校や職場も含まれている。自主的な点検・対策を強化できるような支援も追加でお願いしたい」と求めました。
これに対し西村大臣は「早期に陽性者を発見するため、抗原検査キットを800万回分程度、今月中旬を目途に確保し、高齢者施設に配布を進める。簡易なキットで判断し、陽性となれば関係者にPCR検査を行うことも含め、検討を深めていきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「状況に応じた政策変更で評価」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「感染力の強い変異株が増えており、大変深刻な状況だ。新型コロナへの対応は誰も正解が分からないので、期間の延長は、状況に応じた政策の変更として評価したい。飲食店には大変な苦労をおかけするが、しっかり休業などに関する支援や補填(ほてん)を行っていくことが重要だ」と述べました。

共産 田村政策委員長「単なる期間延長ではだめ」

共産党の田村政策委員長は、記者会見で「これまで人の流れを十分に抑え込めているとは思えず、ただ単に緊急事態宣言の期間を延ばすだけではだめだ。政府には、対策のどの点が不十分だったのか、それを受けて今後はどういう対策をして、どこまで感染者を減らしていくのか説明してもらうことが必要だ」と述べました。