政府 緊急事態宣言31日まで延長 愛知 福岡を追加 分科会に諮問

東京、大阪、兵庫、京都の4都府県の緊急事態宣言について、政府は、来週11日の期限を5月31日まで延長するとともに、愛知県と福岡県を来週12日から対象地域に加える方針を専門家でつくる分科会に諮りました。

新型コロナウイルス対策をめぐり、感染症などの専門家でつくる政府の「基本的対処方針分科会」は、西村経済再生担当大臣らが出席して、午前9時から始まりました。

この中で西村大臣は「大阪や東京の状況を見ると、きのうの新規陽性者の数は、大阪は747人、東京は591人と、いまだ『ステージ4』を大きく超える状況だ。特に大阪は、病床が極めて厳しい、危機的な状況だ」と述べました。

そして、愛知県と福岡県は、新規陽性者の増加傾向が継続しており、病床も厳しい状況になっていると指摘しました。

そのうえで、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県の緊急事態宣言について、来週11日の期限を5月31日まで延長するとともに、愛知県と福岡県を来週12日から対象地域に加える方針を諮りました。

「まん延防止等重点措置」は8道県に拡大へ

また、首都圏3県などに適用されている「まん延防止等重点措置」についても期限を5月31日まで延長するとともに、北海道、岐阜県、三重県を9日から追加し、宮城県については、来週11日の期限をもって対象から外す方針を諮りました。

そして、それぞれの知事が決める「重点措置」の対象地域について、▼北海道は札幌市、▼岐阜は岐阜市と大垣市など16の市と町、▼三重は四日市市と桑名市など12の市と町になるという見通しを示しました。

今回の方針によって、▼宣言の対象は東京、大阪、兵庫、京都、愛知、福岡の6都府県に、▼「重点措置」の適用は北海道、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、三重、愛媛、沖縄の8道県に拡大されることになります。

西村大臣は、宣言のもとで講じる措置について▽飲食店などに対する休業要請の対象に、酒やカラオケ設備を提供している店だけでなく、新たに酒の持ち込みを認めている店も加えるほか、▽休業要請を行ってきた百貨店など、建物の床面積の合計が1000平方メートルを超える大規模な施設について、営業時間を午後8時までに短縮することや、▽原則、無観客での開催を要請してきたイベントについては、人数の上限を5000人かつ収容人数の半分までとしたうえで午後9時までの開催とすることを要請する方針を説明しました。

また、▽医療機関や高齢者施設での感染拡大を防止するため、早期に感染者を見つけられるよう、抗原検査の簡易キットを最大800万回分配布するほか、▽インドでの変異ウイルスの急拡大を受けて、水際対策を強化する方針を明らかにしました。

そのうえで、西村大臣は「引き続き住民の皆さんに対しては、日中も含めた不要不急の外出自粛、都道府県間の移動の自粛、混雑している場所や時間を避けての行動などの要請を行っていきたい」と述べました。

政府は、こうした方針について、分科会の了承が得られれば、国会への報告と質疑を経て、午後5時から開く対策本部で決定することにしています。

立民 安住国対委員長 「短期集中は失敗」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「菅総理大臣は『短期集中で宣言を出す』と言っていたが、結果的にそうならず失敗したんだと思う。また、制限を一部緩和しながら宣言を続けるとしているが、どういう戦略を持っているのか全くわからず、行き当たりばったりだ。リーダーシップの欠如を厳しく追及していきたい」と述べました。

公明 山口代表 「安心感を持てるように対策を」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「緊急事態宣言によって、大型連休中に人流を減らす大きな目的はある程度達成されたが、明らかな効果は表れ切っていないところがある。宣言の期間延長によって、国民が安心感を持てるように対策を徹底していく必要がある」と述べました。

愛知 大村知事 「事態切迫 対策徹底を」

愛知県の大村知事は7日午前、記者団に対し「今の段階で医療提供体制はなんとか持ちこたえているが、事態が切迫している」と述べました。

そのうえで「今月末まで緊急事態宣言の対象になるので、県民や事業者にいま一度、行動の自粛、変容と感染防止対策の徹底をお願いしたい」と述べました。

そして、5月12日から31日までの緊急事態宣言の期間中、▼県内のすべての飲食店に営業時間を午後8時までに短縮し、酒の提供もやめるよう要請する方針を改めて示しました。

また、▼百貨店やショッピングセンターなどの大型商業施設に、営業時間を午後8時までとするよう要請することや、▼イベントの開催制限を、収容人数の半分か5000人の少ないほうにする方針も重ねて示しました。

大村知事は、このほかの愛知県内で講じる措置について、国の方針を踏まえて検討し、きょう午後にも発表するとしています。

名古屋「しかたがない」

政府が緊急事態宣言の対象地域に愛知県も加える方針を固めたことについて、名古屋市の中心部で聞きました。

80代の男性は「宣言が出るのはしかたがないと思う。ワクチン接種も進んでなく、6月下旬にやっと予約が取れた。ある程度制限をかけないと感染が広がってしまうと思う」と話しました。

40代の広告業の男性は、「宣言を出すのが遅すぎる。名古屋では人出が多い状態が続いているので、東京や大阪のように連休前に出したほうがよかったと感じる。今後も、マスクや消毒、会食を控えるなど、みんなで気をつけて基本的な対策をしていくしかないと思う」と話していました。

また、ペットの美容師「トリマー」を目指して専門学校に通う、19歳の女性は、「またかという感じだ。1月に緊急事態宣言が出た時は授業が全部オンラインになってしまったが、実技の授業で犬に触りながら学ばないと技術が習得できない。宣言が出ると授業がどうなってしまうのか心配だ」と話し、飲食店でアルバイトをしている19歳の専門学校生の女性は、「今までは、午後7時に酒類のラストオーダーを取って対応していたが、宣言でお酒を全面的に提供できないとなると、お客さんも来なくなるし、シフトも減りそうで心配だ」と話していました。

福岡 服部知事 「夕方に対応決定」

福岡県の服部知事はけさ記者団に対し「きのう西村経済再生担当大臣から専門家の強い危機感も踏まえ、福岡県が及ぼす影響の大きさを考えて、緊急事態宣言を発出したいという話があった。強い判断をしたことを受け止めざるをえない」と述べました。

そのうえで「政府の新たな対処方針の内容を見て、県の対応を決定したい」と述べ、きょう夕方にも県の対策本部会議を開き、県民や事業者への要請事項を決める考えを示しました。

福岡「飲食関係者にとって死活問題」

飲食関係の仕事をしている50代の男性は「人出は多いので宣言はしかたないとは思うが、飲食関係者にとっては死活問題です。長期的な展望がなく、場当たり的な感じがする」と話していました。

IT関係の会社で働く20代の女性は「ずっと在宅ワークをしているので、あまり影響はないと思います。ただ、周りの知り合いは航空業界などで働いていて精神的につらい思いをしています。やるならやるで、1回で終わらせてほしい」と話していました。

80代の女性は「宣言は3回目で終わって、感染が早く終息してほしいです。来週の聖火リレーを楽しみにしていて、応援しようと思っていましたが、公道での実施が取りやめになり残念です」と話していました。

70代の男性は「宣言は遅かったのではないか。みんなが外出する長期休暇の前に出していたほうが効果があったのではないか」と話していました。

三重 鈴木知事 「全力で感染抑えたい」

三重県の鈴木知事は、7日午前、記者団に対し「適用を重く受け止め、全力で感染を抑えたい」と述べたうえで、重点措置の対象地域は、四日市市や桑名市、伊賀市など12の市と町とすることを明らかにしました。

その理由については、感染状況や医療提供体制が厳しい状況にあることや、大阪府や愛知県など感染が拡大している地域と生活圏が重なっていることなどを考慮したと説明しました。

一方、具体的な措置の内容については、7日午後に三重県の対策本部の会議を開き、決定する考えを示したで、すでに県独自で行っている飲食店に対する営業時間の短縮要請については、引き続き県内全域を対象に継続する方針を明らかにしました。

三重 四日市 「子どもたちの成長 心配」

四日市市で話を聞きました。

80代の女性は「感染が始まって1年以上たってもさらに広がっているのでしかたないと思う。これまでどおり自粛するしかないが、気分転換もできず、しんどい思いもあります」と話していました。

50代の男性は「高校生と大学生の子どもがいるが、部活動の大会がなくなるなど、自宅にいることが多くなっている。子どもたちの成長の妨げになってしまうのではないかと心配です」と話していました。

1週間前に四日市市に引っ越してきた20代の男性は、「新たな生活に慣れる間もなく外出できなくなってしまう。不安です」と話していました。

0歳と1歳の子どもがいる30代の母親は「今できる対策はしているので、いまさら措置を適用しても何も変わらないのではないか。この状態でなぜ全国から人を集めるオリンピックなどを開催するのかわからない」と話していました。