平均給与総額13か月ぶり増加 パートで働く人の割合減った影響

働く人1人当たりのことし3月の給与総額は平均で28万2千円余りと、去年の同じ月より僅かに増加し、13か月ぶりのプラスとなりました。これは給与の低いパートタイムで働く人の割合が少なくなったためで、厚生労働省は厳しい状況が続いているとしています。

厚生労働省は従業員5人以上の全国3万余りの事業所を対象に「毎月勤労統計調査」を行っていて、ことし3月の速報値を7日、公表しました。

それによりますと基本給や残業代などを合わせた、働く人1人当たりのことし3月の現金給与総額は平均で28万2164円でした。

これは去年の同じ月より0.2%増加していて、13か月ぶりに前の年の同じ月と比べてプラスとなりました。

ところが実際は多くの人の給与が減少しています。

今回の速報値ではフルタイムで働く人の給与総額は36万5804円で、去年の同じ月より0.3%、パートタイムで働く人は9万6350円で、去年の同じ月より0.8%少なくなりました。

統計上1人当たりの給与総額が増加したのは、給与総額が低いパートタイム労働者の割合が減少したためです。

一方、残業代などの所定外給与は1万8113円と、去年の同じ月より6.2%減少しました。

業種別で所定外給与が最も減少したのは「宿泊・飲食サービス業」で31.8%、次いで旅行業や映画館などを含む「生活関連サービス・娯楽業」で28.2%の減少となりました。

物価の変動分を反映した実質賃金は去年の同じ月を0.5%上回り、2か月連続でプラスとなりました。

厚生労働省は「去年の同じ時期もすでに新型コロナウイルスの影響が見え始めていたが、給与総額はそれよりもさらに減少し、厳しい状況が続いている」としています。