都モニタリング会議 分析 “感染者 高い水準で推移”

6日のモニタリング会議で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況 「高い水準で推移」

新たな感染の確認は、5日時点の7日間平均が768.1人となりました。

1週間前の4月28日時点の727.0人と比べると、増加比はおよそ106%で、専門家は高い水準で推移していると指摘しています。

増加比がおよそ106%で継続すると、1日あたりの新規陽性者数は、
▽2週間後には1.12倍のおよそ863人、
▽4週間後には1.26倍のおよそ970人になるという試算を示しました。

そのうえで、大型連休中と連休明けの新規陽性者数は、医療機関の休診による検査数の減少や報告の遅れの影響を受ける可能性があるため、過小評価しないよう注意する必要があると指摘しました。

また、都内の検査で、感染力が強い「N501Y」の変異があるウイルスの割合は、4月25日までの1週間では57.0%で、その前の週より12ポイント近く増加しました。

一方、5月3日までの1週間に新型コロナウイルスの感染が確認された人の年代別の割合は、
▽20代が最も多く27.1%
次いで、
▽30代が18.3%
▽40代が16.7%
▽50代が12.6%
▽10代が7.8%
▽60代が5.7%
▽70代が4.3%
▽10歳未満が3.7%
▽80代が2.6%
▽90代以上が1.2%でした。

専門家は、10代から40代の割合が依然として高く、新規陽性者全体のおよそ7割を占める状況が続いていると分析したうえで「第3波では若年層の感染者数の増加から始まり、重症化しやすい高齢者層に感染が広がった。若年層から他の世代に拡大する危険だけでなく、若者であっても後遺症が長引くリスクや変異ウイルスによる重症化の懸念もある」と指摘しています。

新規陽性者のうち65歳以上の高齢者について、今週は614人で、前の週から53人増加した一方、割合は10.4%で、ほぼ横ばいでした。

感染経路がわかっている人のうち、
▽同居する人からの感染が53.0%と最も多く、
次いで、
▽高齢者施設や病院、保育園や学校といった施設での感染が16.2%
▽職場が15.1%
▽会食が5.8%でした。

今週は、10歳未満と10代で、教育施設での感染が占める割合がおよそ20%に上りました。

20代から50代では、職場での感染の割合がおよそ20%となっています。

80代以上では、施設での感染の割合が63.6%に上りました。

さらに、保育園や小学校、大学の運動部や寮などでは、十数人から数十人規模の比較的大きなクラスターが都内各地で複数発生していると報告されました。

5月3日までの1週間の新規陽性者5876人のうち、18.4%にあたる1081人は無症状で、専門家は「無症状であっても感染源となるリスクがあることに留意する必要がある。感染機会があった無症状者を含めた集中的なPCR検査などの体制強化が引き続き求められる」と指摘しました。

「感染の広がりを反映する指標」とされる、感染経路がわからない人の7日間平均は、5日時点で429.0人、前の週は405.7人で横ばいでした。

感染経路がわからない人の増加比も3月中旬から継続して100%を超えていて、5日時点では103.7%と、高い水準で推移しています。

専門家は「増加比がさらに上昇すると急激に感染が拡大し、第3波を超えるような経過をたどることが危惧される」と注意を呼びかけています。

また、年代別で感染経路がわからない人の割合を見ると、
▽20代から50代で60%を超え、
▽60代でも50%となっています。

医療提供体制 「60代以下 増加傾向に」

検査の「陽性率」は、5日時点で9.1%となり、先週の6.1%から3ポイント上昇しました。

専門家は「連休の影響もあって検査の件数が減少した一方、新規陽性者数は増加したため、陽性率が大きく上昇した」と指摘しています。

入院患者は、5日時点で2167人となり、1923人だった前の週の4月27日時点と比べて244人増えました。

専門家は「変異ウイルスによる新規陽性者数が増加していて、人と人との接触機会が減少しなければ医療提供体制のひっ迫が危惧される」と指摘しました。

入院患者のうち、70代以上の割合が減少傾向にある一方、60代以下の割合がおよそ66%と増加傾向で、中でも4月以降は50代以下の割合が増加傾向にあると分析しています。

また、都の基準で集計した5日時点の重症患者は、4月27日時点より14人増えて69人でした。

重症患者を年代別に見ると、
▽20代が1人
▽30代が3人
▽40代が5人
▽50代が17人
▽60代が22人
▽70代が13人
▽80代が8人で、
60代が最も多くなりました。

今週、新たに人工心肺装置=ECMOを導入した患者は6人で、全員が60代以下でした。

専門家は「N501Yの変異があるウイルスの重症化率は従来のウイルスより高いという報告もあり、その動向を注視するとともに新規陽性者を減少させ、変異ウイルスによる重症患者の発生を防ぐ必要がある」としています。

このほか、人工呼吸器やECMOの治療がまもなく必要になる可能性が高い状態の人は5日時点で220人で、先週の201人から19人増えました。

専門家は「重症患者は新規陽性者の増加から少し遅れて増加してくる。人工呼吸器を外すまで長い期間が必要になるため、ICU=集中治療室の病床を占有する期間が長期化することを踏まえ、重症患者数の推移を注視する必要がある」と指摘しました。

そのうえで「病室を新型コロナウイルスの患者用に転用することで、通常の医療も含めて長期間にわたり厳しい状況が続いていて、通常の医療への影響がより深刻になりつつある」と懸念を示しています。

このほか、4月27日時点と5日時点を比べると、
▽自宅で療養している人は650人増えて2110人
▽都が確保したホテルなどで療養している人は2人減って1465人
▽医療機関に入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は73人増えて1169人で、
特に自宅で療養している人の増加が著しいと分析しています。

「療養が必要な人」全体の数は、5日時点で6911人で、4月27日時点から965人増えていて、専門家は「増加の勢いが早まっている」としています。

また、5月3日までの1週間では、新型コロナウイルスに感染した22人が亡くなりました。

前の週より7人減っています。

亡くなった22人のうち、16人が70代以上でした。