大阪の医師“宣言延長は当然 医療体制のひっ迫はまだ続く”

新型コロナの感染拡大で大阪の医療体制は危機的な状況が続く中、6日、大阪府が緊急事態宣言の延長要請を決めたことについて、新型コロナ患者を受け入れる泉佐野市の病院の医師は「当然延長すべき」としたうえで「今後、2週間は重症患者は増え続け、医療体制のひっ迫は続く」と厳しい認識を示しています。

大阪 泉佐野市にあるりんくう総合医療センターは新型コロナの重症患者用に15床、中等症の患者用に28床を確保し、多くの患者を受け入れています。
患者の治療にあたる医師で、府の専門家会議のメンバーでもある倭正也感染症センター長は「大型連休中も毎日、3人から4人の患者の受け入れが続き、重症病床は満床の状態が続いている。さらに、中等症の病床でも重症に相当する患者2人の治療を行っている。すでに重症になっていたり重症に近かったりする患者がどんどんと入院してきていて、状況に変化はない」と述べ、依然として危機的な状況が続いているという認識を示しました。

また、新規感染者の状況については「緊急事態宣言の効果が見えるのは、2週間ほどたってからだが、現場で効果を実感することはない。ここ数日は府内の感染者数が1000人を切ることもあったが、重症化する患者は今後2週間ほどは続くと考えられるので、医療体制のひっ迫はまだ続くと思う」と厳しい見通しを示しています。

大阪府が6日、緊急事態宣言の延長要請を決めたことについては「現在の厳しい医療体制では当然、延長するべきだ」という認識を示しました。

期限については「今の大阪の医療体制は特に重症患者の受け入れ可能な人数を大きく超えている状態なので、宣言の延長を『2週間』『4週間』と期間で決めるべきではない」と述べたうえで、大阪府の医療体制を考慮すると現在、400人を超えている重症患者の数が30人を下回るまで、宣言を延長するべきだという考えを示しました。

そして「インドで見つかっている変異ウイルスが今後どうなるかわからない中、不十分な状況で解除すると、解除後、すぐに感染者が急増した、第3波の繰り返しになることを強く危惧している。助かる命が助けられなくなるという厳しい現状を十分、考えて判断してもらいたい」と訴えていました。

また「いま、大阪ではコロナに感染してもそう簡単には入院できないし、それ以外の、例えば心筋梗塞や脳卒中、交通事故でケガをしても簡単には入院できないほど厳しい状況にある。今の大阪はそこまで追い込まれていることを、府民の皆さんには理解してもらい、不要不急の外出をしないようご協力を強くお願いしたい」と呼びかけていました。