深刻な食糧不足 世界で2000万人増 コロナ感染拡大で経済悪化も

世界の食糧危機の問題について国連などは、去年深刻な食糧不足に陥った人はおよそ1億5000万人にのぼり、前の年より2000万人増えたとする報告書を発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大を要因の1つに挙げていて、さらなる事態の悪化に警鐘を鳴らしています。

WFP=世界食糧計画やFAO=国連食糧農業機関などの国際機関は5日、世界の食糧危機に関する報告書を発表しました。

それによりますと去年、深刻な食糧不足に陥り緊急の対応が必要となった人は、世界で少なくとも1億5500万人にのぼり、前の年より2000万人増えたということです。

このうち66%にあたる1億300万人は、内戦や紛争が続くイエメンやシリア、アフガニスタン、それにコンゴ民主共和国などの10か国に集中していて、紛争が食糧危機の最大の要因だとしています。

また新型コロナウイルスの感染拡大による経済の悪化が、人々の間で食糧不足を招いており2番目の要因になったと指摘しています。
そのうえで、ことしも感染の拡大が続く中、多くの家庭が収入の減少などに苦しむことになり、経済的な影響がより深刻になるとの見方を示しています。

FAOのドミニク・ブルジョン緊急・復興支援部長は「飢きんの拡大を防ぐには、命を救い、生活を守るために大規模な人道支援をいま始める必要がある」と述べ、早急な対策を呼びかけています。