大阪府内の大学病院 連休中も重症患者の搬送相次ぐ

新型コロナの医療体制が危機的な状況が続く大阪府内の大学病院では、大型連休中も重症患者の搬送が相次ぎ、一時的に増やした病床もすぐに埋まるなど厳しい状況が続いています。自宅などで待機していた人の容体が治療を受けられないまま悪化し、運び込まれるケースが増えていて病院は危機感を強めています。

大阪府では4日の時点で、新型コロナの重症患者は449人に上り、確保している重症病床を上回っていて、中等症用の病院で治療する危機的な状況が続いています。

大阪・高槻市にある大阪医科薬科大学病院は、府の要請を受けてICU=集中治療室とは別に重症病床を今月1日に2床、2日にさらに2床増やしました。

この病院の重症病床は合わせて14床となりましたが、その日のうちにすべてのベッドが埋まり、5日まで満床の状態が続いています。

病院では比較的容体が安定した患者を中等症の病院に転院させることで重症患者を受け入れていますが、大型連休中も病床が空くと、すぐに新たな受け入れを求める電話がかかってきていました。

病院によりますと、“第4波”に入ってからは感染者の急増ですぐに入院できず自宅やホテルでの療養中に容体が悪化し、搬送されてくる患者が増えていて、今月2日の時点では入院中の患者11人のうち半数以上の6人がこうした患者でした。

今月2日に搬送された30代の男性は、感染確認から5日がたってようやく療養先のホテルに入ることができましたが、血中の酸素飽和度が低下するなど症状が悪化しました。

4日後の先月26日になって中等症用の病院にようやく入院できましたが、症状はさらに悪化し、翌日には人工呼吸器が必要な重症状態に陥りました。

重症患者を治療するこの病院に搬送されてきたのは、さらにその5日後でした。

大阪医科薬科大学病院集中治療部の梅垣修部長は「ホテル療養からもっと早く中等症の病院に入院できていたら重症化していなかったかもしれない」と話し、病床ひっ迫による治療の遅れが、重症化する患者をさらに増やしている可能性があると指摘していました。

さらに梅垣部長は「中等症病院でより早く治療を受けられる患者が少なくなっている。中等症も重症も病床がいっぱいとなり、助けられる命も助けられていないのかもしれない」と話し、危機感をあらわにしていました。