東京五輪 マラソンテスト大会 女子は一山が優勝 自己ベストで

東京オリンピックのマラソンのテスト大会となるハーフマラソンが5日、札幌市で行われ、女子では代表に内定している一山麻緒選手が自己ベストとなる1時間8分28秒のタイムで優勝しました。

テスト大会は、本番と同じコースで行われ、マラソンの代表に内定している男女6人の選手のうち男子の服部勇馬選手、女子の前田穂南選手、鈴木亜由子選手、それに一山選手の4人が出場しました。

大会は新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、沿道での観戦を控えるようレース前から主要駅や沿道で呼びかけが行われるなどの対策が取られ、本番を想定した感染予防策や警備など運営面の確認が行われました。

女子のレースは代表に内定している一山選手と鈴木選手、それに補欠となっている松田瑞生選手の3人がスタート直後からトップを併走し終盤、鈴木選手が遅れる中、一山選手が松田選手を突き放して自己ベストとなる1時間8分28秒のタイムで優勝しました。

2位は松田選手でこちらも1時間8分32秒の自己ベストの走りでした。

鈴木選手が1時間8分53秒で3位、前田選手は1時間10分50秒で5位でした。

一方、男子の服部選手は順位やタイムよりもコースを確認することを重視して大会に臨み、みずから設定したペースより速いペースの1時間2分59秒でフィニッシュし24位でした。

男子の優勝はケニアのヒラリー・キプコエチ選手でタイムは1時間46秒でした。

一山「本番では私らしい元気な走りを」

女子で自己ベストをマークし優勝した一山麻緒選手は「ほっとしています。苦しい場面もありましたが風も押してくれましたし、走りやすかったです」とオリンピック本番のコースを走ったレースを振り返りました。

そのうえで開幕まで79日となった東京オリンピックに向けては「まだ万全な状態まで持ってこれていないので、残り3か月で状態を少しずつ上げていって本番では皆さんの前で私らしい元気な走りをしたいです」と意気込んでいました。

鈴木「いい状態でスタートラインに」

けがからの復帰レースを3位で終えた鈴木亜由子選手は「オリンピックの実際のコースを走ってみて、細かなアップダウンや、現状の力を確認できた」と冷静に振り返りました。

そのうえで3か月後に迫った本番のレースに向けて「しっかりとスピードと持久力を養えるように今できることに集中して、いい状態でスタートラインに立てるよう頑張りたい」と意気込んでいました。

前田「残り3か月で強化を」

前田穂南選手は「思った以上に曲がり角が多く、位置取りなどのポイントをつかみながら走りました。オリンピックでも重要になってくると思うので、いいレースになったと思います」と振り返りました。

そのうえでオリンピックに向けては「きょうのレースでイメージを作り、あと残り3か月で強化していきたい」と話していました。

服部「しっかりペースを維持できた」

男子で代表に内定している3人の選手のうち唯一、テスト大会を走った服部勇馬選手は「風が強かったが、しっかりペースを維持することができた。レースの流れに乗りながら、よいレース運びができたと思う」と本番のコースを走ったレースを振り返りました。

その上で「レースという形で走ることができ本当に自信になった。本番に向けてしっかり準備していきたい」と3か月後の本番に向け意気込んでいました。

選手の感染対策は?

大会では参加した選手の感染対策についても徹底されました。

このうち、競技会場の受付では、選手の消毒や検温が行われたほか、選手が着替えるテントは海外グループと、国内から参加するグループで分けました。

また、レース途中の給水所では紙コップの代わりにペットボトルが使われ、捨てられたペットボトルは手袋をつけたスタッフが回収していました。

このほか、フィニッシュ地点では選手へのタオルの手渡しをやめて机の上に並べたものを選手自身に取ってもらっていました。

海外選手の感染対策は?

今回のテスト大会では、オリンピック本番と同様に海外選手が外部と接触しないようにするいわゆる「バブル」の状態を作る感染対策も行われました。

このうち、4日、行われた海外選手の事前練習では、札幌市内の無観客の競技場を使用し、選手たちが乗った専用のバスを施設内まで入れたのちシャッターを閉めるなど、ほかの人との接触を避けるための対策が講じられました。

また、選手たちはフロアごと借り上げた市内のホテルに宿泊して、食事は自室でのみ行うとしたほか、ホテルと練習会場を除いて、原則、外出は認めないという行動制限が取られました。

このほか、日本に向けて出国する72時間前と羽田空港でPCR検査や抗原検査をしたほか、滞在中は毎日スクリーニング検査が行われました。

沿道での感染対策は? 一部 人が集まった場所も

今回のテスト大会はスタジアムなどの競技場ではなく一般の道路で行われたため、大会の実行委員会は沿道に人が集まらないよう感染対策に力を入れました。

札幌市は5月2日にこれまでで最も多い246人の新型コロナウイルスの感染が発表されるなど、感染が拡大していることから大会の実行委員会は沿道での観戦を自粛するよう呼びかけていました。

今回、大会が大型連休と重なったこともあり、関係者が競技開始前の午前9時ごろから大勢の人が集まる市内の主要駅となる札幌駅と大通駅で「感染症予防のため観戦自粛をお願いします」と書かれたプラカードを掲げて観戦に訪れないように呼びかけました。

しかし、沿道では、一部、人が集まった場所もあり、札幌市が募集した都市ボランティアなどおよそ800人が通行人などに密にならないよう声かけもしていました。

組織委 橋本会長「大会が安全だということを立証」

テスト大会の視察に訪れた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本会長は「大会がより安全、安心だということを立証してもらった。札幌市や北海道の皆様には非常にご迷惑をおかけしたが、今回の開催が非常に意義があったと言ってもらえるような大会になったと思う」と評価しました。

そのうえで「オリンピックの機運を高めるためには新型コロナウイルスの対策をしっかりやらないと安心感を得られない。国や北海道、札幌市などの関係者とコロナの感染を抑え込んで、安心と安全を実感してもらったなかで8月の本番を迎えたい」と話していました。

市民からは戸惑いの声も

新型コロナウイルスの感染が拡大するなかテスト大会の会場となった札幌市内では、市民から戸惑いの声も聞かれました。

沿道での観戦の自粛が呼びかけられる中、繁華街・ススキノの沿道では、訪れた人が他の人と距離を取りながらレースを見守ったりカメラで写真を撮ったりする姿などが見られました。

市内に住む17歳の男子高校生は、「今の厳しい感染状況のなかで大勢の人が訪れてしまうテスト大会を行うのは反対だった。感染が拡大してしまわないか心配だ」と話していました。

また、コース沿道を通りかかった市内の70代の女性は、「感染拡大で市の施設が閉鎖となるなか、こうしたイベントが開催されているのは疑問に感じます。私も高齢者で感染したときのリスクが高いので、感染拡大が心配です」と話していました。

一方、レース開始前に会場を訪れた市内の80歳の男性は「選手と一般の人の入れる場所が大きく分けられていて、対策が徹底していると感じました。自粛も大事ですが、感染対策でできることをしたうえでのイベントは歓迎したいですし、応援したいです」と話していました。

このほか、中止となった市民マラソンに出場する予定だった道内の63歳の男性は「私も薬局で勤務していて医療に携わる立場なので、イベントについては複雑な気持ちもあります。ただ、本番に向けた試金石になると思うので、安全に開催できるようにさまざまな面で対策の確認をしてほしいです」と話していました。