処理水の海洋放出 “濃度監視のモニタリング計画作るべき”

政府が、福島第一原発で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する方針を決めたことについて、専門家は、トリチウムの測定の難しさを踏まえて、濃度などを監視するモニタリングの計画を作るべきだと指摘しています。

福島第一原発でたまり続けるトリチウムなどを含む処理水を2年後をめどに海に放出するにあたり、政府と東京電力は、地元関係者や国際機関の協力を得るなどして環境のモニタリングを強化するとしています。

これについて、福島第一原発の放射性物質の測定を行っている日本分析センターによりますと、トリチウムが出す放射線はエネルギーが弱く、測定には、不純物を取り除くための蒸留など複数の前処理が必要で、海水で3日以上、魚介類では1か月半程度かかるということです。
この分野に詳しい環境科学技術研究所の柿内秀樹 博士は「トリチウムは測定に手間と時間がかかり、福島県産の食品の放射性セシウムの検査のように出荷前のきめ細かい測定は現状では難しい。代表的な海域や魚介類を決めて重点的に測定するなど関係者が納得できる計画を作る必要がある」と指摘しています。
そのうえで、柿内博士は、トリチウムが生物には濃縮しない性質を周知することや測定に習熟した人材を育成することなど、安心が得られる情報発信や分析体制の構築も今後の課題だとしています。