感染対策も“密”発生 東京五輪への模索 飛び込みテスト大会

東京オリンピックの会場となる東京 江東区の東京アクアティクスセンターで
2日に開幕し、日本を含む46か国の選手が参加している飛び込みのワールドカップ。どうすれば新型コロナウイルス感染を防ぎつつ、大会を進めることができるのか、本番を見据えて模索が続いています。

テスト大会 初めて海外選手が参加

飛び込みのワールドカップは東京オリンピックの最終予選とテスト大会を兼ねた大会で、コロナ禍以降に行われたテスト大会としては初めて海外選手が参加した大会となりました。
しかし、リオデジャネイロオリンピックでほとんどの種目で金メダルを獲得した強豪の中国がトップ選手を派遣せず、オーストラリアも日本国内の感染状況や選手のワクチン接種が終わっていないことを理由に参加を見送った結果、大会にエントリーしたのは日本を含む46か国の選手225人となりました。

選手やコーチなどは来日の72時間前までに行ったPCR検査で陰性が条件で、空港の到着時とその3日後に検査するほか、大会期間中も定期的に検査を受けることで入国後2週間の待機が特別に免除されました。

また、宿泊するホテルでは一般の利用者と接触しないよう措置がとられ、無観客の会場でも報道陣はプールサイドに立ち入らないなどできるかぎりほかの人との接触を避けるいわゆる「バブル」の状態に置く配慮が行われています。

初日は“密”も

感染対策を取って実施されている大会ですが、初日の試合前には会場で選手が密集する場面も見られました。
写真はこの翌日に試合が始まる男子シンクロ板飛び込みの選手などが練習のため飛び込み台で順番待ちをしている様子です。

飛び込み台には選手どうしの距離を保つため1.5メートルごとに目印が置かれていましたが、オリンピックの出場権がかかる演技に備えて選手が少しでも練習回数を重ねようと前にいる選手を抜かすなどしたことから選手が密集してしまったということです。
日本の坂井丞選手はこの日の翌朝、会場でのどの痛みを訴え、大事をとって試合を棄権しました。坂井選手はへんとう炎と診断され、PCR検査でも陰性でしたが、仮に陽性だった場合は大会の運営に影響が出る可能性もありました。

選手が密集したことを受けて日本水泳連盟は飛び込み台の近くに係員を置いて人数を制限する措置をとり、大会2日目からは練習での混雑が緩和されました。

ホストタウンは影響危惧

飛び込みの東京オリンピック最終予選とテスト大会には、日本国内の感染状況や選手のワクチン接種が終わっていないことを理由にオーストラリアが参加を見送る事態となり、ホストタウンの自治体からはオリンピック本番への影響を危惧する声があがっています。

新潟県長岡市は4年前にオーストラリアの水泳連盟と協定を結び、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンに登録しました。
市内には国際大会が開ける国内有数のプールがあり、これまでにも日本や韓国で国際大会が開かれる際にはオーストラリア代表の事前合宿が行われてきました。そのたびに地元の子どもたちとの交流も行われ、東京大会の延期が決まってからもオーストラリアのコーチが地元のジュニア選手の映像を見てアドバイスする催しを開くなどオンラインで交流を続けてきました。

しかし、ことし3月末にオーストラリアの水泳連盟から東京オリンピック・パラリンピックでは感染リスクを減らすため競泳チームの事前合宿は行わず、直接、選手村に入る方針が伝えられました。

飛び込みの代表チームは今のところ事前合宿を行う意向を示しているため、市は選手が宿泊するホテルを確保したり、感染対策を検討するなど受け入れの準備を進めています。

しかし、オーストラリアが今回のテスト大会への参加を見送るなど感染予防に厳しい姿勢を示していることから、大会本番の事前合宿は実現する可能性は低くなっているのではないかと危惧しています。
長岡市の高見真二副市長は「これまでオーストラリアの選手がSNSで交流を世界に発信をしてくれて市民との共感を呼ぶなど有意義な交流をしてきた。首都圏に比べれば感染の程度は低く、来られなくはないのではという思いもあったが、東京の感染状況や移動の時間を考えるとおそらく長岡には行けないという連絡がいずれ来るのではないか。状況が劇的に改善することはないかもしれないが、最後まで希望は持っている」と話しています。

“バブル”状態のテスト ホテルは

今回の大会ではオリンピック本番と同様に選手や関係者が外部と接触しないようにするいわゆる「バブル」の状態を作るテストも行われていて、宿泊先のホテルは対応に追われています。
このうちオリンピック本番で大会関係者の受け入れが決まっている東京 江東区のホテルは今回も先週から30の国と地域から来日した審判などおよそ70人が宿泊しています。

選手などはホテルと競技会場のみの行き来しか許されていませんが、226室ある客室には大型連休中で一般客も多く宿泊しているため、一般客と一切、接触しないよう動線を完全に分ける対応をとっています。

具体的には9階建ての建物のうち2階分を専用フロアにして出入りは一般客が使う正面玄関ではなく裏口を間仕切りで二つに分け、そのうちの一つを専用の出入り口としました。宿泊フロアに向かうエレベーターも専用に1機確保し、そのフロアにしか停止しないように設定しました。

そして、大会関係者はツインルームを1人で利用し、対応する従業員は13人に限定して期間を前半と後半に分け業務前のPCR検査を義務づけました。

さらにホテルが受け入れにあたって最も注意を払っているのが食事の提供です。食事の際の感染リスクを考え、テイクアウト形式にしてすべての食事を自室で食べてもらうことにしたのです。

貸し切りフロアのエレベーターホールに食事を提供する受付を設置し、関係者はそこで食事を受け取り、空いた皿もすべて受け付けにあるゴミ箱に捨ててもらいます。こうした窮屈な環境でも少しでも「おもてなし」の心を感じてもらおうと、ホテルがこだわったのが食事を入れる容器で、料理が冷めにくい紙製ものを選びました。また、毎食、菜食主義者、専用のメニューも用意しました。
東京イーストサイドホテル櫂会の多田敬一営業部長は、「コロナ禍の状況なので安全を最優先に受け入れできるのか苦慮しながら進めてきた。安全第一にはなるが、日本としてのホスピタリティーを少しでも出していきたいし大会を無事に実施できるようお手伝いしていきたい」と話していました。