二酸化炭素排出少ない航空燃料 欧米航空会社で対応の動き加速

脱炭素社会の実現が世界的な課題となる中、アメリカの航空大手がほかの企業の資金協力も得て、二酸化炭素の排出が少ない航空燃料を調達する取り組みを始めるなど、欧米の航空会社の間では、対応を強化する動きが加速しています。

このうち、アメリカのユナイテッド航空は温暖化対策に積極的な顧客企業にも資金を出してもらい、廃棄される油などを原料とする、二酸化炭素の排出が少ない航空燃料を共同で購入する新たな枠組みを先月設けました。
アメリカのナイキや日本の武田薬品工業など14社が参加し、これまでの年間使用量の3倍以上にあたる、340万ガロンを年内にも調達する計画で、参加企業にとっても温室効果ガスを算定する際に排出量を減らせるメリットがあります。

二酸化炭素の排出が少ない航空燃料は、石油由来のものに比べて、価格が2倍から4倍ほど高いことが普及の課題です。
ユナイテッド航空のローレン・ライリーマネージング・ディレクターは「今は新型コロナの影響もあり航空会社は単独でコストを支払える状況になく、参加企業が持続可能なフライトのために一歩踏み出し、協力してくれることは非常に重要だ」と話しています。

また、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズなどを傘下に持つ大手航空グループも先月、こうした航空燃料を生産する工場の建設に投資して年間100万トンの調達を目指す計画を明らかにし、対応を強化しています。

コロナ禍でも対応迫られる背景は

廃棄物などを原料とする航空燃料の導入では、欧米の航空会社が先行しています。

新型コロナウイルスの影響で業績が極めて厳しい中でも調達に力を入れる背景には、二酸化炭素を大量に排出する航空業界に厳しい目が向けられ、対応を迫られていることがあります。

ヨーロッパ投資銀行がことし1月発表した調査では、感染拡大に伴う渡航制限が解除されたあと、気候変動対策として飛行機に乗る頻度を減らすかどうか尋ねたところ、「常にそうする」または「時々そうする」と答えた人をあわせた割合は、EU=ヨーロッパ連合で74%、アメリカで70%、中国で80%にのぼっています。

また、国連の専門機関、ICAO=国際民間航空機関は、国際線で排出される二酸化炭素の量を規制する枠組みを設けています。

2027年からはさらに多くの加盟国が対象となり、二酸化炭素の排出が少ない航空燃料の活用が規制対応の柱の1つとなっています。
三菱総合研究所サステナビリティ本部の永村知之 主席研究員は「欧米の航空会社はサプライチェーンの確立など大規模に供給を受けられるモデルを今のうちから段階的に作っている。日本の航空会社もいまは経営が苦しくても先を見据えた取り組みとして前に進めないと取り残される危惧もある」と話しています。