大阪大学病院 ICUをコロナ患者専用に 脳死臓器移植手術に影響

新型コロナウイルスにより医療体制が危機的な状況となっている大阪では、大阪大学医学部附属病院のICU=集中治療室が、1日からすべて新型コロナの患者専用となっています。病院が進めてきた脳死からの臓器移植手術も事実上、実施できなくなっていて、病院では影響を懸念しています。

大阪大学医学部附属病院は、府の要請を受けて1日から10日までの間、30床あるICU=集中治療室をすべて新型コロナの患者専用としました。

病院では、脳死と判定された人からの臓器提供による移植手術を実施してきましたが、この期間はICUでの処置ができないため、手術は行えない状態だということです。

脳死からの臓器移植では、提供者が現れた際に、病院ごとに登録された全国の移植希望者の中から、症状や血液型などの条件に合った患者が選ばれますが、この期間中は、大阪大学病院では条件に合う患者がいても移植は実施できないということです。

日本臓器移植ネットワークのまとめによりますと、大阪大学病院では例年、数十件の脳死からの臓器移植手術を行っています。

ICUを統括する藤野裕士集中治療部長は「移植手術では、術後の治療のためにICUを準備しておくことが必要だ。臓器を提供いただく脳死の患者さんはいつ現れるか分からず、必ず緊急手術となるため、延期はできない。期間が長引けば影響は大きくなり、今後、難しい判断を迫られると懸念している」と話しています。