新型コロナ感染拡大 大阪・東京などはペース落ちるも全国へ

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で前の週と比較すると、緊急事態宣言が出されている大阪府や東京都などでは、感染拡大のペースは落ちてきているものの、31の都道府県で前の週より増えていて、依然として全国的に感染の拡大が続いています。

全国では

NHKは、各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国では、3月上旬まで1日当たりの新規感染者数は1000人前後でしたが、その後、感染が拡大し、
▽4月1日までの1週間平均は前の週に比べて1.44倍、
▽4月8日は1.30倍、
▽4月15日は1.28倍、
▽4月22日は1.28倍、
▽東京や大阪などで緊急事態宣言の期間に入った29日までの1週間平均は前の週の1.12倍となっていて、1日当たりの新規感染者数は5000人余りとなっています。

全国31の都道府県で、前の週より新規感染者数が増えていて、感染拡大のペースは11の道と県で前の週より上がっています。

「緊急事態宣言」の地域では

【大阪府】
新規感染者数が最も多い大阪府では
3月中旬以降、感染拡大の傾向が顕著となり、4月1日までの1週間の平均は前の週に比べて2.39倍と急増しました。
▽「まん延防止等重点措置」が適用されたあとの今月8日は1.67倍、
▽4月15日は1.42倍、
▽4月22日は1.16倍、
そして
▽緊急事態宣言の期間に入った29日までの1週間平均は、1日当たり1100人で、前の週のおよそ1.00倍と感染拡大のスピードは徐々に下がってきています。

【兵庫県】
兵庫県も、3月中旬以降、拡大傾向が顕著になり、
▽4月1日までの1週間の平均は前の週の2.07倍と急増しましたが、
▽重点措置が適用されたあとの4月8日は1.55倍、
▽4月15日は1.54倍、
▽4月22日は1.34倍、
▽緊急事態宣言の期間に入った29日までの1週間平均は500人余り、前の週の1.10倍で感染が拡大するスピードは徐々に鈍くなっています。

【京都府】
京都府でも3月下旬以降、拡大傾向が顕著で、
▽4月1日までの1週間の平均は前の週に比べて2.34倍と急増、
その後
▽4月8日が1.89倍、
▽重点措置が適用されたあとの4月15日が1.33倍、
▽4月22日が1.36倍、
そして、
▽緊急事態宣言の期間に入った29日までの1週間平均は140人近くで、前の週の1.18倍と感染拡大のスピードは徐々に鈍くなっています。

【東京都】
東京都は、3月下旬ごろから新規感染者数が増え始め、
▽4月1日までの1週間の平均は前の週に比べて1.16倍、
▽4月8日は1.15倍、
▽重点措置が適用されてからも4月15日は1.23倍、
▽4月22日は1.31倍と感染拡大のスピードは少しずつ速くなっていました。
そして、
▽緊急事態宣言の期間に入った29日までの1週間平均は1日当たりおよそ780人、前の週の1.14倍と感染が拡大するスピードは下がりましたが、依然として感染拡大が続いています。

「まん延防止等重点措置」適用中の地域では

「まん延防止等重点措置」が適用されている地域では、首都圏の3県と愛知県では引き続き感染が拡大する一方、沖縄県と宮城県、それに愛媛県では、新規感染者数が減少の方向に向かっています。

【神奈川県】
神奈川県は、
前回の緊急事態宣言が解除された3月下旬以降、新規感染者数が増え始め、
▽4月1日までの1週間平均は前の週に比べて1.10倍、
▽4月8日は1.17倍、
▽4月15日は1.31倍、
▽4月22日は1.36倍と感染拡大のスピードは上がっていましたが、
▽29日までの1週間平均では1日当たりおよそ220人で、前の週のおよそ1.00倍となり、横ばいで推移しています。

【埼玉県】
埼玉県は、
▽4月1日までの1週間平均は前の週に比べて1.11倍、
▽4月8日も1.11倍、
▽4月15日は1.04倍、
▽4月22日は1.33倍、
▽29日までの1週間平均は1日当たりおよそ200人で、前の週の1.07倍となっています。

【千葉県】
千葉県は、
▽4月1日までの1週間平均は前の週の1.05倍、
▽4月8日は0.88倍、
▽4月15日は1.10倍、
▽4月22日は1.31倍と感染拡大のスピードが上がっていましたが、
▽29日までの1週間平均は1日当たり135人で前の週の1.03倍となり、ほぼ横ばいで推移しています。

【愛知県】
愛知県は、
3月下旬から新規感染者数の増加が増え始め、
▽4月1日までの1週間平均は前の週の1.26倍、
▽4月8日は1.79倍、
▽4月15日は1.41倍、
▽4月22日は1.29倍、
▽29日までの1週間平均は1日当たりおよそ290人、前の週の1.29倍となっています。

【沖縄県】
沖縄県は、
3月上旬ごろから新規感染者数の増加傾向となり、
▽4月1日までの1週間平均は前の週の1.58倍、
▽4月8日は1.29倍、
▽重点措置が適用されたあとの今月15日は1.05倍、
▽4月22日は0.93倍、
そして、
▽29日までの1週間平均は1日当たりおよそ80人で前の週の0.73倍と、減少の方向に向かっています。

【宮城県】
宮城県も同様に、
▽3月25日までの1週間平均は前の週の1.86倍で急増していましたが、
▽4月1日は1.14倍、
▽重点措置が適用されたあとの4月8日は0.73倍、
▽4月15日は0.80倍、
▽4月22日は0.70倍、
▽29日までの1週間平均は1日当たりおよそ30人、前の週の0.53倍で減少の方向に向かっています。

【愛媛県】
また、4月25日から新たに重点措置の適用となった愛媛県は、3月下旬から新規感染者数が増加傾向で
▽4月1日までの1週間平均は前の週に比べて1.75倍、
▽4月8日は1.13倍、
▽4月15日は0.84倍、
▽4月22日は1.35倍となっていました。
重点措置が適用された
▽29日までの1週間平均は1日当たり30人余りで前の週の0.89倍となっています。

そのほか

【福岡県】
福岡県は、
4月上旬以降、新規感染者数が増加に転じ、
▽4月15日までの1週間平均は前の週に比べて2.15倍、
▽4月22日は2.09倍、
▽29日までの1週間平均は1日当たり300人で前の週の1.80倍と、速いペースで増加しています。

【奈良県】
奈良県は、
▽4月15日までの1週間平均は前の週に比べて1.16倍、
▽4月22日は1.24倍、
▽29日までの1週間平均は1日当たり90人を下回り前の週の0.92倍と、減少の方向に向かっています。

専門家「宣言効果は来週半ば以降に」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「大阪府や東京都などの大都市でも、まだ増加する傾向にあるほか、愛知県や福岡県でも増加のペースが衰えておらず、感染状況は第4波のまっただ中にあると考えてよいのではないか。特に、大阪府は増加のペースは緩やかになったが、いまだに1日1000人を超える数の感染者が出ている。重症者も一定程度は出続けるとみられ、医療のひっ迫がしばらくは続くと考えなければならない。大阪府や兵庫県の状況が、きちんと減少に転じるまではとても安心はできない」と話しています。

また、舘田教授は「東京都は、大阪府ほど厳しい状況ではないが、周辺の3県と合わせても減少するところまでは下がっていない。東京都でも1日1000人の新規感染者が出続けるようなことがあれば、医療体制が厳しい状況になると考えられ、楽観はできない。来週半ば以降、緊急事態宣言の効果が出てきちんと減少傾向になるかどうかが今後の鍵になる。すでに連休に入っている人もいると思うが、ここで一人一人の行動が緩むと連休以降、さらに感染者が増えてしまうことにもなりかねない。長距離の移動や不特定多数の人との接触をできるかぎり減らし、感染を広げないという意識で行動してほしい」と話しています。