大阪府幹部「高齢者の入院 優先順位下げざるをえず」府は撤回

大阪府の医師資格を持つ幹部が新型コロナウイルスの感染拡大で病床がひっ迫し入院調整が厳しくなっているとして、府内の保健所にあてて高齢の患者については「入院の優先順位を下げざるをえない」とするメールを送っていたことが分かりました。大阪府は府の方針とは全く異なるとして29日、各保健所に内容を撤回する連絡を行い謝罪しました。

大阪府によりますと、健康医療部の次長級の幹部で医師の森脇俊医療監が4月19日、府内に18あるすべての保健所の所長にあてて、新型コロナの感染拡大で病床がひっ迫し以前にも増して入院調整が厳しくなっているとして「当面の方針として、少ない病床を有効に利用するためにも年齢が高い方につきましては、入院の優先順位を下げざるをえない」とするメールを送りました。

また、高齢者施設の入所者で、心停止などの場合に蘇生措置を行わないよう希望している人については「みとりも含めて、対応をご検討いただきたい」と記入していました。
府は医療監が送ったメールの内容は府の方針とは全く異なるとして29日、各保健所に内容を撤回する連絡を行うとともに謝罪しました。

メールを送ったことについて医療監は30日午前、記者団に対し「施設の対応能力を上げてほしいという思いで書いてしまった。誤解を招いたことを深く反省している」と釈明しました。

大阪府健康医療部の藤井睦子部長は「立場のある幹部が府の方針でもないメールを送ったことは大変申し訳なく本人にも注意した。高齢の患者の入院の受け入れに影響はなかった」と陳謝しました。

大阪府 吉村知事「府の方針ではない」

大阪府の吉村知事は記者団に対し「府の方針とは明らかに違う内容であり、誤解を招くものだったということで本人も訂正して撤回しているとおりだ。年齢で患者の優先順位を判断することは府の方針ではない」と述べました。

介護老人保健施設協会「命の大切さを認識してほしい」

大阪府内の188の介護老人保健施設が加盟する大阪介護老人保健施設協会の川合秀治会長は「きょうも施設で2人亡くなったという連絡が来ました。部長はただちに取り下げたが、トップがそういうことだと職員もわれわれもやる気がなくなります。何のために頑張ってきたのか、高齢者の命の大切さを認識してほしい」と話していました。