グーグルと法務省 不適切な投稿削除に向けた情報共有で連携へ

ネット上のひぼうや中傷の問題が深刻化する中、法務省とIT大手グーグルが不適切な投稿の削除に向けた情報共有の態勢を強化する方針を固めたことがわかりました。日本の政府機関が「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業と具体的な対策に乗り出すのは初めてです。

法務省によりますと、全国の法務局に寄せられたネット上のひぼうや中傷などに関する相談は平成30年以降、去年10月までにおよそ2万件に上っています。

このうち1200件余りは、法務局がプロバイダーなどIT事業者に削除を要請しましたが、およそ3割は事業者が要請に応じず、実効性の確保が課題となっています。

こうした中、法務省人権擁護局と動画投稿サイト「ユーチューブ」を運営するIT大手グーグルが、不適切な投稿の削除に向けた情報共有の態勢を強化する方針を固めたことがわかりました。

具体的には、ヘイトスピーチや嫌がらせなどの投稿動画を削除する「ユーチューブ」の取り組みに、人権擁護局が認定を受けた個人やNGOとともに参加し、不適切な投稿の情報を積極的に「ユーチューブ」に提供します。

「ユーチューブ」は、提供される情報を独自のガイドラインに沿って、優先的に審査し、必要に応じて削除するということです。

ネット上のひぼうや中傷をめぐる問題で、日本の政府機関が「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業と具体的な対策に乗り出すのは初めてで、成果が期待されます。

一方、投稿の削除に政府機関が関与を強めることは、「表現の自由」の観点から、慎重さが求められるという指摘もあり、どのような形で運用されるかも注目されます。

専門家「『表現の自由』保障の観点からも情報公開を」

ネット上のひぼう・中傷の問題に詳しい森亮二弁護士は「行政が、個々の事業者と協力関係を築くのはよいことで、事業者は権利を侵害する情報の拡散を止めるために、削除要請に応じるかの判断を迅速に行うことが求められている。一方、現状では、日本の政府がどのような判断や、態勢で事業者に削除依頼をしているのか透明性の確保が不十分で、『表現の自由』を保障する観点からも情報公開を進める必要がある」と話しています。

「ユーチューブ」の削除対策は

グーグルが運営する動画投稿サイト「ユーチューブ」は、ヘイトスピーチや嫌がらせなどから利用者を守る独自のガイドラインを定め、違反する投稿は、AIによる自動検知とユーザーからの報告などをもとに、削除などの対策をとっています。

こうしたユーザーのうち、ガイドラインに違反している可能性がある投稿を高い頻度で報告し、信頼度が高い個人やNGO、政府機関は、「公認報告者」に認定され、ユーチューブが優先的に審査します。

グーグルによりますと、こうした取り組みで去年10月からの3か月間に世界全体で、およそ930万件の動画を削除したほかおよそ200万件のチャンネルを停止したということです。

日本の政府機関でユーチューブの「公認報告者」に認定されるのは、法務省が初めてだということです。