政府 都道府県の事業者支援にコロナ予備費から5000億円支出へ

政府は30日の閣議で、3度目の緊急事態宣言などを受けて、都道府県が事業者を支援する際の費用などとして、新型コロナウイルス対策のための予備費から5000億円を支出することを決めました。

政府は令和3年度予算で、新型コロナウイルスの感染拡大に引き続き対応するため、国会の承認を得ずに使いみちを決められる予備費を5兆円計上しています。

この予備費から30日の閣議では、5000億円の支出を決めました。

今年度の予備費の活用は、これが初めてです。

今回の使いみちは、3度目の緊急事態宣言などを受けて、地方自治体の財政を支えることを目的とした「地方創生臨時交付金」の中に、事業者を支援するための新たな予算枠を設けます。

そして、都道府県が経営環境が悪化している中小企業などを支援する場合や、感染対策が適切に行われているかを調査する場合などに交付金を支給します。

新型コロナウイルスに対応するための予備費は、昨年度には11兆5000億円が計上され、ほぼすべてを使い切りました。

感染収束のめどが立たない中、企業や個人などへの機動的な支援が欠かせない状況ですが、予備費の支出は、事前に国会での十分な審議が行われないため、政府は予算の使いみちや実効性の丁寧な説明が求められます。

麻生副総理兼財務相「万全を期したい」

予備費の支出を決めた閣議のあとの記者会見で、麻生副総理兼財務大臣は「緊急事態宣言の発出で人の流れが減少し全国的に経済活動への影響が生じている。地域の実情に応じて事業者を支援できるよう5000億円を措置した。今後も支援策がいろいろ出てくるかもしれないが、引き続き万全を期したい」と述べました。

一方で、麻生大臣は「日本の財政はもともと厳しいが、その厳しさが増していることは事実だ。さらに少子高齢化という中長期的な国難ともいえる大きな問題も抱えている。まずは、きちんと経済を立て直す必要はあるが、この1年間で大きく膨れあがっている財政を健全化していく姿勢を持ち続けなければ日本の財政への信頼が失われる」と述べ、経済再生と財政健全化の両立が欠かせないという認識を改めて強調しました。