米製薬会社モデルナ開発のワクチン 第1便が関西空港に到着

アメリカの製薬会社モデルナが開発し現在、承認申請中の新型コロナウイルスワクチンの国内への輸送が始まり、関西空港にワクチンを入れた6つの専用コンテナが到着しました。モデルナのワクチンが承認されれば、政府が東京と大阪に開設する大規模な会場などで使用する方向で調整しています。

モデルナのワクチンを載せた航空機は日本時間の29日夜、ベルギーの空港を出発し、30日午前9時すぎ、関西空港に到着しました。

この航空機は国内への輸送の第1便で、関係者が見守る中、ワクチンの入った保冷用の6つの専用コンテナが貨物室から降ろされました。

5月も複数回輸送される予定だということで、承認されるまでの間、倉庫で保管されるということです。

国はモデルナのワクチンをことし9月までに5000万回分、人数にして2500万人分の供給を受ける契約を結んでいます。

モデルナのワクチンの流通などを手がける武田薬品工業は3月、厚生労働省に承認の申請を行いました。

承認されれば、政府が東京と大阪に開設する大規模な会場などで使用する方向で調整しています。

モデルナのワクチンとは

モデルナが開発したワクチンは、すでに国内で承認されたファイザーのワクチンと同様に遺伝物質の「mRNA」が使われています。

新型コロナウイルスの遺伝情報を体内に取り入れて、ウイルスの一部を作ることで免疫を獲得する新しいタイプのワクチンで、海外では、1回目の接種から28日後に2回目の接種を受けることになっています。

臨床試験では、およそ94%の発症予防効果が確認されています。

アメリカでは去年12月に緊急使用の許可が出たほか、EU=ヨーロッパ連合もことし1月に使用するための販売許可を出しました。

モデルナによりますと、カナダやイスラエル、イギリス、スイス、シンガポール、カタール、それに台湾でも使用の許可などが出ているということです。

このうち2000万人分は、6月までに供給されることになっています。

国内では3月、モデルナのワクチンの流通などを手がける武田薬品工業が、厚生労働省に承認の申請を行いました。

田村厚生労働大臣は3月下旬、「予断を持って言えないが、5月中にも承認ということもあるかもしれない」と発言しています。

政府は、東京と大阪に新型コロナウイルスワクチンの大規模な接種会場を設置する方針で、東京の会場については、5月24日の開設を目指していますが、モデルナのワクチンを使用する方向で調整していて、厚生労働省が有効性や安全性の審査を進めています。

加藤官房長官「迅速に審査を進める」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「モデルナ社のワクチンは5月には国内治験データが提出される予定と企業側が公表している。医薬品の審査を行うPMDA=医薬品医療機器総合機構における有効性や安全性などの確認を最優先に迅速に審査を進める」と述べました。

田村厚労相「来月中に承認もありえる」

田村厚生労働大臣は記者会見で「特例承認の申請が来ているのでなるべく早く審査して判断し、承認されればすぐに接種の体制に入っていくことになる。来月には審査のデータがそろうので、すべての条件がそろえば来月中に承認することもありえると考えている」と述べました。